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放射線治療も技術が進歩し、治療の選択肢となってきた (※写真はイメージ)
肝臓がんにも「放射線治療」 局所制御率9割以上〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161118-00000107-sasahi-hlth
週刊朝日2016年11月25日号より抜粋
肝臓がんには手術やラジオ波焼灼術、肝動脈塞栓療法といった根治的治療がある。肝臓の領域では出遅れていた放射線治療も技術が進歩し、大きながんを消滅・縮小させるなど、治療の選択肢となってきた。
通常がんの3大治療といえば手術、抗がん剤治療、放射線治療だ。しかし肝臓がんの場合、手術、ラジオ波焼灼術、肝動脈塞栓療法となっていて、放射線治療が含まれていない。
筑波大学病院陽子線治療センター部長の櫻井英幸医師が解説する。
「肝臓は放射線感受性が高い。つまりダメージも受けやすい臓器です。治療に必要な線量を照射すると正常な組織が傷ついてしまうため、肝臓がんでは放射線は根治的な治療でなく、症状緩和の場面などで使われてきました」
肝臓内のがんは呼吸とともに動くため、ピンポイントで照射することは難しかった。しかし近年、大幅に改善された。
「エックス線治療機器の進歩は目覚ましいものがあります。息を吐き終えたタイミングを待ち伏せして照射する技術や、ターゲットを追尾して照射することも可能になりました。またエックス線を集めてピンポイントで照射する定位照射の技術によって、必要な線量を無駄なく腫瘍にあてることができるようになりました」(櫻井医師)
現在は、5センチまでの比較的小型で、少数の肝細胞がんならば保険適用となる。通常、治療は4〜5回通院し、照射を行う。放射線治療後にがんが再発しない割合(局所制御率)は9割を超える。ラジオ波焼灼術が行えない、血管や肺に近い病変が、よい適応とされている。
「定位照射のメリットは無痛なことです。高齢者や糖尿病などの持病がある人は、体の負担が少ない放射線治療も選択肢に組み入れて考えてほしい」(同)
定位照射が大型や多数個のがんに適さない理由はエックス線の特性にある。エックス線は病変に照射された後、通過していく。少数、小型ならば影響も少ないが、照射範囲が大きくなれば正常組織に抜けていく放射線も多くなる。その弱点を克服するのが陽子線や重粒子線だ。
「陽子線・重粒子線はターゲットの病巣に最も強い線量があたり、そこで止まります。病巣奥の線量はゼロ。がん周囲の正常組織の被曝が避けられるのです。定位照射ではエックス線の通過を考慮し、照射線量を抑えますが、陽子線・重粒子線では線量を十分にかけることができます」(同)
陽子線・重粒子線でもがんの個数は三つまでと制限がある。しかし、大きさは基本的に無制限。肝臓の片側いっぱいに広がっているような場合にも対応可能だ。
東京都在住の井上俊之さん(仮名・60歳)は2年前の健康診断で肝機能の数値の悪化を指摘され、精査したところ、画像には肝臓の右側を占拠した巨大な腫瘍が映し出された。診断は肝細胞がん。その一部は門脈に浸み込み、肝臓外にも広がっていた。
幸い肝機能は良好だったため、手術で肝臓の4分の3を切除し、術後仕事に復帰できた。しかし、5カ月後、残された肝臓にがんが再発した。再切除は難しく、肝動脈塞栓療法を行ったが、4カ月後にまた再発。血管内にもがんは浸潤しており、塞栓療法の実施も難しい状況だった。井上さんは筑波大学病院陽子線治療センターの扉をたたいた。
「手術で切除した断端近くに腫瘍があり、肝臓内部に向かって血管内を8センチにわたって浸食していました。ただ幸いにも残肝が再生し、肝機能も残っていました」(同)
井上さんは20回同センターに通院し、合計66グレイの陽子線治療を行った。その結果がんは消滅。治療中、治療後は副作用もなく、肝機能も安定している。
「まだ再発の心配もありますが、標準治療が困難と言われてから1年半、充実した毎日を過ごされています。患者さんには、とにかく選択肢を多く持ってほしい。セカンドオピニオンで来ていただくことも一つの方法だと思います」(同)
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