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大学病院の逆襲!ならば言おう「町医者ほど怖いものはない」 現役医師150人のホンネ
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49984
2016.10.21 週刊現代
■平気で専門外の看板を出す
「『週刊現代』は、大学病院は危ない、ガバナンス(組織の統治)が機能していない、新しい研究のために患者をモルモットにしているなどと、批判していますが、とんでもない。私から言わせれば、町医者で診てもらうほうがよっぽど怖いですよ」
こう憤るのは、ある大学病院の医師だ。この医師の言い分は正しいのか―ー。
今回本誌は、医師たちの本音を探るため、150人を超える現役医師に「町医者(開業医)に関する問題点」についてアンケートを実施。大学病院や民間病院で働く「勤務医」からはもちろん、開業医自身からも、町医者の問題点について様々な意見が寄せられた。上の表にはその結果を掲載した。
大学病院の医師たちが指摘したのは、まず町医者の医療に関する「知識不足、勉強不足」だ。
(1)「勉強の機会が少ないこと。問題のある対応をしても、後処理を大病院の医師に任せる」、(2)「診断や治療が正確でないケースがある」、(3)「町医者の場合、新しい治療法やガイドラインについていけていない医師が非常に多い」(数字は表と対応、以下同)。
大学病院のように新しい研究にばかり重きが置かれるのも考え物だが、町医者のように毎日患者を診ることに追われて、ただ独善的に漫然と、旧来の治療法を続けられるのも困る。
実際、開業医自身からも(5)「最新の医療知識を得る機会が少ない」との声が挙がっている。
当然ながら医者は、自分の専門以外の分野に対しては知識が伴っていない。にもかかわらず、町で見かける多くの開業医が、「○○科+内科+小児科」といったようにダブル、トリプルで看板を掲げている。なぜそんなことが許されるのか。
関西の大学病院に勤務する医師が語る。
「実は医師免許さえあれば、専門分野でなくとも、自由に何科でも開設することができるのです。
たとえば皮膚科や泌尿器科などのマイナーな科だけでは、患者が集まりません。そこで開業医としては、少しでも客(患者)を増やすために、『皮膚科+内科』など複数の看板を出すのです。ただこういう町医者は、内科の専門医ではないので、注意が必要です。腹痛の患者をただの食あたりと診断したが、実は急性虫垂炎(盲腸)だったなんていう誤診も事実、あります」
最近では在宅医療、終末医療の看板を掲げる町医者も増えている。だが、先頃亡くなった大橋巨泉さんの在宅医が、元々、皮膚科が専門だったように、専門外の医者が看板を掲げているケースは多々ある。
アンケートでも(17)「他科の病気に適当な治療をして悪化させることがある」、(18)「開業したら突然他科の領域まで診察し始める傾向がある」などの意見が寄せられた。
開業医の一番の目的は「儲ける」こと。そのためには患者に不利益があろうと、お構いなしというわけだ。
医療ジャーナリストの田辺功氏は「開業医の問題は、経営と医療が切り離されていないことにある」と語る。
「本来、医者は患者に必要な治療を行うことが仕事です。ところが経営者になれば儲けることが仕事になる。
公的な大規模病院であれば委員会や理事会が経営を行い、各科の専門医がそれぞれ治療を行っている。アメリカでは開業医そのものが少なく、病院の契約医として働くシステムが浸透しています。
一方で日本の開業医は経営と医療を同じ人物が兼ねていることがほとんど。他に監視する人がいないので、不要な医療を重ねれば重ねるほど儲かるというわけです」
さらにアンケートでは、「町医者は薬を出し過ぎている」との指摘も散見された。(27)「儲けるため死ぬまで患者を薬漬けにする」、(29)「必要のない薬をずっと出し続けている」、(30)「生半可な知識でどんな薬でも処方する」。
ある大学病院の医師が憤る。
「単なる風邪なのに、患者に確認もとらず抗生物質、解熱剤、咳止めなど、5~6種類もの薬を出してくる町医者には要注意です。はっきり言って不必要な場合がほとんど。そもそも風邪に有効な薬なんてないんです。安静にしているのが一番。
薬の飲みすぎは、副作用のリスクを高めるだけです。にもかかわらず、なぜ医者は抗生物質を出したがるかというと、単純に儲かるから。患者の満足度を上げるために意味もなく出しているのです。
また薬同様、診療報酬点数を稼ぐために、すぐ点滴をしようとする医者もいる。風邪は開業医にとってはボッタクリができる最高の病気なんです」
■とにかく儲かる生活習慣病
さらにひどい例になると、患者の自己負担がないからといって、高齢の認知症患者や生活保護者に大量に薬を処方する町医者もいるという。
個人病院で働く看護師が、内情を明かす。
「生活保護の患者さんのカルテを見ると、腹痛、頭痛などこれでもかというほど症状が書かれています。処方できる量が国で制限されているのですが(基本的には一度に7種類まで)、カルテの日付を改竄してまで、睡眠剤や向精神薬など大量の薬を処方しています」
患者の中には、このように違法に処方された薬をインターネットなどで販売する輩もいる。町医者はそうした不法行為の手助けをしているとも言えるのだ。
また前出の田辺氏によれば、「診療報酬の水増し」を行っている町医者もいるという。
「今年の3月に美容クリニックを経営するタレント女医が逮捕された件はその典型的なケースです。生活保護者に架空の医療費請求をする手口もある。
最近では医師と医薬品卸会社が共謀して中国人ブローカーに睡眠薬などを横流ししていた事件も発覚。開業医は個人や一族経営の場合がほとんどで口裏を合わせやすく、不正が起こりやすい環境にあります」(田辺氏)
こういった不正を防ぐために国は、近年「基本的に一度に処方できる薬は7種類まで」と制限を設け、これを超えると、逆に診療報酬点数が減る制度に改定した。
また「院外薬局」が増えたため、昔のように開業医が薬価差益(薬を割引価格で購入し、患者には正規の値段で処方すること)で儲けることができなくなりつつある。
しかし、それでも「町医者が出す薬の量は減っていない」のはなぜか。
「同じ用法の薬を数種類にわけて処方箋を書くことで、7種類の制限を逃れ、儲けている医者もいます。
ただそれ以上に、町医者は新しい知識を得る機会も少なく、しかも全員が内科の専門ではないので、自分の診断に不安があるんです。だからとりあえず薬を出し、結果、多剤多量になってしまう」(別の大学病院の医師)
開業医は病院に来てもらわなければ始まらない世界。そのため(23)「開業医は再診料を得るために長期処方をしない」、(28)「再診料を稼ぐために頻繁な受診を患者に強いる」という。さらに勤務医たちからは(25)「(開業医は)医療報酬で恵まれすぎ」との指摘もあった。
どの病院でも、がん、糖尿病、高血圧などの患者を一人診察すれば「特定疾患療養管理料」が加算される。金額は入院ベッドが100床未満で1470円、100~199床の病院で870円と、病院が大きくなるにつれて下がる。それが開業医になれば、逆に2250円と跳ね上がるのだ。
さらに糖尿病や高血圧の薬を出せば、病床数が200床未満の病院においては月に1回、患者一人に対して「生活習慣病管理料」が加算される。脂質異常症だと650点。高血圧症は700点、糖尿病では800点(1点=10円)が医師の懐に入ることになる。
つまり、町医者にとっては、生活習慣病患者を作り出し、抱え込むことがもっとも安定した収益となるのだ。
■困ったら大病院に「丸投げ」
こういった町医者優遇の背景には、開業医の多くが所属する「日本医師会」の存在がある。
「日本医師会の会員数は約16万7000人。医療界の中でも、非常に強い政治力をもつ組織です。そのため開業医に不利な医療制度の改善をしようとすると、横やりが入るので、中々改革が進まない」(都内大学病院の医師)
その他に、開業医が儲ける手段としてよく使うのが「無駄な検査」。回答にも(41)「過剰診療がある」、(43)「公的病院よりも収益を重視せざるを得ないため、無駄な検査が増える」などの声が挙がった。
採血、レントゲン、内視鏡、尿検査など様々な検査を行い、診療点数を稼ぐ。そして「結果が出るのは来週なので、その時にまた来てください」と言って再診させるのは、悪徳町医者の常套手段だ。
前出とはまた別の大学病院の医師は、「内視鏡検査時に不必要な生検(胃や腸の組織をとる検査)をする町医者が非常に多い」と語る。
「手技料、病理診断料などの保険点数が加算されるので、生検は儲かるんです。ただ、無駄な生検によって消化管出血を引き起こすこともある。私は腫瘍があっても悪性の疑いが強くないと、生検をすることはまずありません。それが良心的な検査医のスタンスです」
アンケートでは町医者による「手術の未熟さ」も散見された。(44)「医者としての腕がないのに手遅れになるまで患者を手放さない。どうしようもなくなって患者を大学病院に搬送してくるケースが山ほどあります」、(46)「術後の縫合不全で感染症になった」、(55)「自分では治療しきれないのに、専門医に紹介しない町医者がいる」など。
前出の田辺氏が語る。
「大病院は複数の医師が在籍しており、手術技量は他の医師の知るところとなります。医者同士の競争もあるので常に手術の技術を磨かなければならない。ところが小規模なクリニックであればその医師以外には看護師や事務スタッフがいるだけなので、手術の技量が分かりにくいのです。
ただ実際に手術を受けた近所の人には噂レベルですぐに知れ渡ります。だから近所の住民が寄りつかずに遠方からの患者ばかりのクリニックは気をつけたほうがいいですね。手術は下手でも宣伝が上手な可能性はありますから」
しかも開業医の場合、大規模病院と違い、管理、指導する人間がいないので、(56)「独りよがりになりやすい」、(59)「世界が狭くなり、自分が一番偉いと思いがち」との意見も多く見られた。
それでいて(60)「困ったら大病院へ丸投げ」するというのだから、大学病院の医師たちが怒るのも無理はないだろう。
もちろんすべての開業医に問題があるわけではない。中には儲けより、患者のことを第一に考える医者もいる。
だが、町医者を信用し過ぎたために、手遅れになって困るのは、ほかでもない患者自身だ。あなたの町の医者は大丈夫ですか。
「週刊現代」2016年10月15日・27日合併号より
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