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なぜ不安になることを告げるのか?
余命や生存率 医師はなぜ患者が不安になる数字を言うのか
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160902-00000024-pseven-life
週刊ポスト2016年9月9日号
医者が患者に告げる余命の数字は、その人の残りの寿命を指すわけではない。ある病気の「生存期間中央値」なるものを告げるケースが大半である。そして、この値が意味するところは「その病気で亡くなる人が100人いた場合の50人目の人の亡くなった時点」だ。
それにもかかわらず「余命」や「生存率」といった、時に患者を不安にさせるだけの数字をなぜ医者は言うのだろうか。おおたけ消化器内科クリニック院長の大竹真一郎氏が指摘する。
「余命や生存率が、勘違いされやすいことを知ったうえで告げたがる医師が存在するのは事実です。患者や家族に問われたから、患者に病状を理解してもらうためといった理由が大半ですが、彼らは患者がどう受け止めるかをそこまで重く考えていないのです」
米山医院院長の米山公啓氏は医者の本音を明かす。
「余命を宣告する時、“控えめ”“厳しめ”に言うのが医者の世界では暗黙のルールになっています。例えば、余命半年と宣告した患者が1年生きれば、患者も家族も医師に感謝してくれます。でも“余命1年”と告げた患者が3か月で亡くなれば、下手をすると遺族から訴えられかねません。
だから、サバを読んで少なめに言う。余命半年と宣告された患者が2年、3年と生きることはザラです」
患者が余命宣告などに翻弄された末に、自ら死期を早めたり、闘病以上の不幸を抱え込む──。こういった事態を回避するにはどうすればいいのか。2009年、成人T細胞白血病(ATL)を発症し、「余命11か月」の宣告を受けた元宮城県知事の浅野史郎氏が言う。
「私の場合は、生存期間中央値の残り50%(11か月以上生存)の数字を楽観的に捉え、病気を治すことだけを考えました。だから“死んだらどうしよう”や“娘の結婚式に出たい”といった余計なことは考えなかった。そうすると自然と精神が落ち着き、冷静で正しい選択をすることができる」
実は浅野氏は今年8月に前立腺がんの全摘手術を行なったばかりだ。検査でがんが確認されたのは5月だが、月1回のATLの血液検査で、前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSAの値が数か月前から上昇していたという。
「前立腺がんとわかった時、医師からこう告げられたのです。“かなり早期の段階で発見できたので、がん細胞はまだ4つしかありません。進行も遅く、このまま何もしなくても50%は天寿を全うします”と。
この時、私は7年前とは反対の考えをしました。つまり“残り50%は天寿を全うできず、がんで死ぬ”と考え、手術を受けることを決断しました。結果的に再発の可能性もなくがんは根治した。余命宣告されても、新たながんが見つかっても冷静でいられれば、正しい選択ができるのです」(浅野氏)
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