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なぜ漢方薬はこんなに効くのか!あらゆる病気と痛みに劇的効果、西洋医学の限界
http://biz-journal.jp/2016/05/post_15132.html
2016.05.18 文=石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士 Business Journal
「Good medicine is bitter to the mouth.(良薬は口に苦し)」
こういう諺があるが、漢方薬に限ってはウソである。
漢方薬は、保険適用になっているので、今ほとんどの国内医療機関で処方されている。2000年以上の歴史を誇る漢方医学は、実に奥が深く、40年近く漢方薬の処方を中心にした診療をしている私にも、なおチンプンカンプンで十分に理解しているとは思えない。体質や症状を「陰と陽」「表と裏」「実と虚」「寒と熱」「乾と湿」「昇と降」「散と収」などに分け、その総合評価の「証」を確認して、薬を処方するのが漢方医学だ。こうした相反する事象2のx乗の総合評価の「証」は、数限りなく存在する。
漢方の専門医は、日本に数人、多く見積もっても数十人しか存在しないが、その専門の先生方のお叱りを覚悟の上で、人間の体質(証)を、大雑把に2つに分ける。
・体が温かで体力のある「実証」
・冷え性で体力のない「虚証」
西洋医学は、痛みに対しては体質を問わず同じ鎮痛剤を、胃の不調に対しても同じく同じH2ブロッカーを、というかたちで含有成分の効能で症状、病気に対処する。
しかし、漢方医学では、同じ痛みや胃の不調でも、体質によって全然違う薬を処方することで病気を根本的に治す。
基本的には、実証の人の症状や病気には「体を冷やし、栄養過剰物を排泄する漢方薬」を、虚証の人の症状や病気には「体を温めて栄養を補給する漢方薬」を処方するのである。以下が具体例である。
※詳細図表は【詳細図表はこちら】リンクを参照
●「甘い」「旨い」漢方薬は必ず効く?
しかし、問診、望診(視診)、触診などしても、実証なのか虚証なのか診断がつかないときがある。そのときに、処方する薬が合っている(効く)か否かを判断する奥の手がある。
それぞれの漢方薬の顆粒をなめてもらって、「苦い」「不愉快だ」というのは絶対に効かない。「甘い」「旨い」というのは必ず効く。
風邪の人に葛根湯をなめてもらうと「旨い!」というが、治ってしまうと「まずい」ということが多い。
女性の肩こり、頭痛、のぼせ、生理不順・痛、あざなど血の道症に効く漢方薬は「桂枝茯苓丸」「当帰芍薬散」「加味逍遙散」などあるが、どの体質かわからない場合、なめてもらって「旨い!」というのが必ず効く。「女性の冷え、しもやけ、偏頭痛」に効く「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」を体力のある男性がなめると、苦くて吐きそうになる。しかし、それが効く女性は「砂糖みたいに甘いですね」と言うことが多く、驚かされる。
体が要求している間は、食物と同様、自然の生薬からつくられる漢方薬も甘く感じられるのだ。「Good medicine is sweet to the mouth.(良薬は口に甘し)」。
このように体質を間違うと、いくら服用しても「効かない」のが漢方薬だが、体質に関係なく実証の人にも虚証の人にも効く漢方薬がある。
五苓散(ごれいさん)……むくみ、下痢、口渇、二日酔いに
芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)……こむらがえり、腹痛に
桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)……腹痛、便秘、下痢に
大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)……便秘に
なお、山芋を中心とする根菜5つを主成分とする「八味地黄丸」は、高齢者の「足膝の痛み、むくみ、しびれ、インポテンツ、目のつかれ、頻尿」などに効く。「老化は足から」といわれるが、人間の足腰に相似する「植物の根」を主成分にしているからだ。
(文=石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士)
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