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新しい治療法が登場!(※イメージ)
根治率は約90% 40代にも広がる“不整脈”に最新治療〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160510-00000180-sasahi-hlth
週刊朝日 2016年5月20日号より抜粋
先日亡くなったタレント前田健さん(44)の持病であるなど、一部の40代にも広がる不整脈。心臓の拍動が乱れる病気だが、新しい治療法が登場している。
不整脈とは、心臓が筋肉を収縮させるために発する電気信号が乱れ、脈の打ち方に異常が出ること。動悸や息切れなど自覚症状があることもあるが、多くの場合、健康診断などの心電図検査で発覚する。
不整脈は、拍動が速くなる(頻脈)、遅くなる(徐脈)、不規則になる(期外収縮)などの症状があり、生命の危機に直結しない「心房細動」と、生命の危険がある「心室細動」に分けられる。
心房細動は、頻脈の代表的な病気だ。患者数は高齢者を中心に増加し、約150万人といわれる。加齢のほか、高血圧、糖尿病、肥満などの生活習慣病も一因になる。
心臓の上半分「心房」が、1分間350回以上の速さで小刻みに震えて、正常に収縮しなくなるために起こる。左心房にある四つの肺静脈の出口付近で、異常な電気信号が発生していることが多い。
動悸や息切れ、息苦しさなどが出てQOL(生活の質)が落ちることもある。血栓が生じて脳に流れれば、脳梗塞を引き起こすこともあるため、この病気自体が生命の危機に直結しないとはいえ、治療することが望ましい。脳梗塞のリスクは、心房細動のない人の約5倍にものぼる。
治療には、抗不整脈薬や抗凝固薬による薬物療法と、カテーテルアブレーション(心筋焼灼術)がある。
カテーテルアブレーションとは、太もものつけ根から血管にカテーテルを挿入し、心房の患部まで到達させて、発作を起こす心筋を高周波で焼いて、異常な電気信号をブロックするというものだ。薬物療法で効果がない場合、日常に明らかに支障がある場合におこなわれる。このカテーテルアブレーションの新方式、高周波ホットバルーンカテーテルが注目を集めている。
神奈川県在住の宮川隆一さん(仮名・65歳)も、ホットバルーンカテーテルを選択したひとりだ。
宮川さんは、35歳のころから、夜勤明けなどに、心房細動の発作を繰り返していた。抗不整脈薬の服用を続けていたが、発作がなくなることはなかった。カテーテルアブレーションについては知ってはいたが、治療に踏み切れずにいた。
そんな折、新聞記事でホットバルーンカテーテルが治験中であると知り、開発者である葉山ハートセンターの佐竹修太郎医師を訪ねた。2010年のことだ。
ホットバルーンカテーテルは、06年に開発された。カテーテルアブレーション同様、太もものつけ根からカテーテルを挿入し、心房内の患部まで到達させる。ただし、電極をピンポイントにあてて少しずつ焼いていく従来の方式とは違い、焼灼にカテーテル先端につけたポリウレタン製のバルーンを使う。患部に到達すると、バルーンに生理的食塩水と造影剤を注入し、25〜33ミリまで拡張させる。内部は高周波電流で約60度に熱し、撹拌して温度を均一に保つ。そのバルーンを患部に圧着し、面で焼いていく。
「カテーテルアブレーションに比べて簡単で、10倍の面積を約10分の1の回数で焼灼できます」(佐竹医師)
安全性も高い。心筋に直接高周波電流が流れないため、食道にダメージを与えることもなく、治療中に血栓が発生して血管が詰まるなどの合併症が起こるリスクも抑えられる。
佐竹医師による治療で、宮川さんは発作性の心房細動から解放された。その後、経過観察のため定期的に受診しているが、6年経った現在も心房細動の発作が再発することなく、日常生活を送っている。
「宮川さんのように、発作性の心房細動で、肺静脈の周囲を治療するだけで済むケースでは、当院の根治率は約90%です。ただし、持続性の心房細動が複数の部位にある場合や、右心房側に患部がある場合、一度の治療での根治率は80%ほどです」(同)
ホットバルーンカテーテルは、17病院での治験の結果、安全性や有用性が認められ、16年4月に保険承認された。現在は葉山ハートセンターを含め、全国6病院での治療が可能で、年内には40病院で採用される予定だ。
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