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産地偽装として挙げられた熊本産アサリ問題については、当初より畜養と表示の在り方が併記的に示されていたが、これを見てどうにも理解ができなかった。それは、畜養の実状も示されていなければ、産地違いや成長度の違い、味の違いなども示されていなかったからだ。そして、何の説明もなしに熊本産地の出荷量を膨大に上回るアサリが熊本産アサリとして販売されていることが示されたのだ。
つまり、農水相がいろいろと調べてきたことの結果について、ただただ結論じみたことだけを示しながら、なんの脈絡もなく畜養による食品表示の問題を添付しているのだ。主要な論点は何なのか、それを誤解させるような取り上げ方だと思う。本当に不景気により、テレビ等のマスメディアに関わる報道者の報道能力の低下を物語っているのではなかろうか。
これらについて、このほど青沼 陽一郎氏(作家・ジャーナリスト)より、東洋経済オンラインに論文が出されて、理解できるものとなった。(https://toyokeizai.net/articles/-/510607)
"熊本「アサリ偽装問題」が報道よりずっと深刻な訳どの産地でも起こりうる!知られざる問題の本質" 青沼 陽一郎
「「熊本県産」表示のアサリに大量の中国産や韓国産が混入していた問題が波紋を広げている。2月8日から熊本県がアサリの出荷を停止。報道を受けて北海道産のアサリが高騰すると、同じ熊本県産のハマグリが大量に返品されるなどの実質被害も出ている。
だが、この件を伝える報道をみていると、国内外の食料問題や食品製造の現場を取材してきた私にとって、理解に苦しむことばかりだ。中には記事の内容の矛盾に気づいていないものがあって、かえって消費者を混乱させる。食の安全の根幹にも触れる重大な問題であるだけに、ここでしっかりとこの問題の本質を整理しておきたい。
*熊本県の漁獲量の約120倍が流通*
発端は、農林水産省が2021年10月から12月末までに販売された「熊本県産」のアサリをサンプル調査でDNA分析したところ、31点のうち30点(97%)に中国や韓国の「外国産が混入している可能性が高い」と判定されたことだった。
2月1日に金子原二郎農林水産大臣が閣議後の記者会見で、「食品の表示に対する消費者の信頼を揺るがしかねない」として発表した。
しかも、農林水産省のサンプル調査期間中の3カ月間の「熊本県産」アサリの推定販売数量は2485トンで、全国シェアの79.2%を占めていた。2020年の熊本県のアサリの1年間の漁獲量は21トンだから、その流通量は約120倍にもなって、あまりに違いすぎる。
これを受けて、熊本県の蒲島郁夫知事が同日、臨時の会見を開き、「アサリだけでなく、熊本のブランド全体への信頼を揺るがす危機的状況であり、本県にとって非常事態」として、「緊急出荷停止宣言」を発出。8日からおよそ2カ月間、熊本県産の活きアサリの出荷を停止するとした。一旦、流通を止めることで、偽装品をあぶり出す意向を示した。
ところが、報道各社がここに必ずといっていいほど付け加えるのが、アサリの「畜養」と、食品表示法上のカラクリだ。(略)
同省ではこの実態を2〜3年前から調べていた。いずれその結果を公表する予定だったが、1月22日にTBSの夕方の報道番組でこの疑惑が報じられたため、この期に及んでの大臣発表に至ったという。おそらくは、食品不正表示の“タレコミ”の情報提供があって調査に乗り出し、その裏取りの1つとして、昨年の3カ月間のサンプル調査があったのだろう。(略)
*そもそも“長期の畜養”がアサリには存在しない*(略)
熊本県の担当者によると、畜養自体は行われているが、「夏を越すような長期の畜養は困難で、1〜2週間の短期で出荷してしまう」というのだ。(略)
輸入したアサリを一気に出荷してしまうと、値崩れを起こすこともある。(略)
畜養の目的は、生きたままアサリを出荷する調整のため、短期間だけ干潟に放して“保管”する、いわば倉庫の代わりなのだ。(略)
従って、担当者はこう断言する。「畜養では『熊本県産』と書けないと、県として認識している」だから2020年のアサリの漁獲量21トンはすべて「天然物」であって、農水省が公表した昨年10月から12月までの推定販売数量とはあまりにかけ離れている。(略)
どうやら、農水省の担当部署も現場の状況をわかっていないらしい。まして、報道が食品表示法の生育歴の長いところを産地表示する、いわば「長いところルール」を書き立てたところで、アサリにはまったく当てはまらない。国内では長期の畜養がないからだ。(略)
もはやこれは大規模な食品偽装事件と呼ばざるをえない。それだけに名前を使われた熊本県にとって大迷惑なだけでなく、輸入品の偽装表示は日本の食料安全保障の根幹を破壊しかねない重大事案である。くだくだと畜養と食品表示法上のまったく的外れな論点を書きいう。
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