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新聞はもはや報道機関ではない
五輪スポンサーになって五輪批判や電通批判もNG
(実話BUNKAタブー 2021年6月号)
東京五輪が近づいている。大半の国民はそんなことよりコロナをまず収束させてほしいと思っているし、早く中止を表明してほしいと考えているが、お構いなしだ。驚くべきことに、日本のマスコミはその現状をまったく報道していない。それはなぜかー?
コロナ禍で開催に突き進む五輪
どうやらまだ本気で開催するつもりらしい。もちろん202O東京オリンピック・パラリンピックのことである。この3月には福島県を皮切りに聖火リレーがスタートしており、五輪開催の7月まで日本全国を回って五輪のお祭りムードを盛り上げるのだという。
が、ほとんどの国民は、本当に開催できると思ってはいないはずだ。昨年から世界中で吹き荒れる新型コロナウイルスの影響で1年間の開催延期となった五輪だが、新型コロナの猛威は依然として収束していない。
およそ1年前に日本政府が緊急事態宣言を発出して以降、国民の生活は厳しく制限され、経済も大打撃を受けた。今年一月に出された2度目の緊急事態宣言は3月21日に解除されているが、感染者数は下げ止まりのまま。しかも解除後の感染者数は再び増え続けており、日本医師会の中川会長が再び「緊急事態宣言が発令されるかどうかギリギリの段階である」と言うほどの状況だ。
「頼みの綱のワクチン接種は遅々として進んでおらず、『ワクチン敗戦』と呼ばれる悲惨な状況です。世界各地で発生した変異ウイルスへの対応もある。にもかかわらず国は有効な対策をほとんど何も打てず、相変わらず国民の生活を制限することでかろうじて現状維持を続けているだけ。国民の我慢は限界に来ています」(社会部記者)
観戦が拡大している大阪府、兵庫県、宮城県では4月5日からーカ月間の「まん延防止等重点措置」が実施されており、東京都も実施の要請を決定した。
なかでも感染状況が深刻な大阪府は府内全域で公道を走る聖火リレーすべての中止を表明しているが、これも当然の措置だろう。聖火リレ-を実施すれば、沿道に密な状態が生まれるのは分かり切っていること。
まん延防比措置で府民の生活を制限しておきながら、一方で五輪というお祭りのために聖火リレーを実施し、わざわざ感染拡大のリスクを冒すのでは道理が通らない。
だが、この道理を無視して今現在も聖火リレーを強行しているのが日本の現実なのだ。
不思議なのは、この状況になってまで、まだ「五輪開催の中止」が本気で議論されていないことだ。大手マスコミも日々の状況は伝えているものの、強く「中止」を主張する論調は皆無である。
なぜマスコミは「五輪中止」を口にできないのか。
その答えは至ってシンプルだ。それは日本の大手新聞4社がそのものズバリ東京五輪のスポンサーという当事者になっているからにほかならない。
ジャーナリズムより利益優先
今回の東京五輪では、IOCは3720億円という史上最高額のスポンサー料を集めることに成功している。
このうち日本のメディアとしては朝日新聞、日本経済新聞、毎日新聞、読売新聞の全国紙4紙が「オフィシャルパートナー」契約を結んでいるのだが、そもそもを言えばこの契約じたいが"異例"のことなのである。
「これまでのオリンピックでは新聞社が公式スポンサーになったことはありませんでした。五輪の不祥事や問題点をチェックする公正な報道をするためには当然の措置だったのですが、今回の東京五輪では、こうした前提がないがしろにされてしまっているんです」(スポーツジャーナリスト)
新聞が公式スポンサーに入ったことも異例なら、複数であることも異例といえる。というのも新聞に限らず、これまで五輪のスポンサーは「1業種1スポンサー」が基本原則とされてきた。ところが今回に限ってこの原則はいつの問にか撤廃され、組織委のやりたい放題になっているのだ。
「当初は読売薪聞が単独でスポンサー契約をする交渉が続いていたのですが、東京五輪組織委員会が要求してきたオフィシャルパートナー契約の金額はおよそ50億円と高額だった。読売一社で負担することが難しかったため、組織委が踏み込んだのが新聞各社との個別契約という禁じ手です」(全国紙記者)
1業種1社という枠が取り払われたことで組織委の暴走は加速した。2018年には産経新聞社と北海道新聞社が「オフィシャルサポーター」として契約しているのだが、この背景にも金集めに特化した組織委の体質があったという。
「組織委は大手4社との契約後、地方のブロック紙である中日新聞や北海道新聞、西日本新聞とも交渉を進めていました。ところがその最中、中日新聞東京本社が発行する東京新聞が新国立競技場の建設問題をスッパ抜いてしまった。東東新聞はその後も五輪絡みの不祥
事を報じ続けたため、激怒した当時の組織委会長の森喜朗氏が『東京新聞を外せ』と圧力をかけたといわれています」(週刊誌記者)
これだけズブズブでは、正当な報道などできない。東京五輪を巡っては、これまでも多くのスキャンダルや問題が浮上してきた。国立競技場建設問題、ロゴの盗用問題、森喜朗委員長の問題発言や、佐々木宏クリエイティブディレクターの「オリンピッグ発言」をめぐる組織の内紛など現在進行形の問題も多数ある。もちろん新聞各紙はこれらの問題を報じてはきた。しかし批判はしても、その論調は総じて抑制的で、肝心の部分には踏み込もうとしてこなかった。
「さらに言えぱ、裏方として五輪を仕切ってきた電通批判もタブーとなっています。侮蔑演出で辞任した佐々木氏の件でも、電通の名前を書いたのは一部の雑誌やネットメデイアだけだった」(広告代理店関係者)
五輪の商業主義に組み込まれ、事実の調査報道という本来の機能を放棄した新聞は、もはや報道機関と呼ぶことはできないだろう。
報じられなかった現場の声
つい先日も、新聞5社が五輪とズブズブであることを象徴する出来事が起きている。3月26日に福島県のJヴィレッジでスタートした聖火リレーをめぐる報道だ。イベントには公式アンバサダーを務める石原さとみやお笑いコンビのサンドウィッチマン、第1走者のなでしこジャパンらが参加しており、メディアはこのイベントを喜々として報じている。
しかし、このイベントには報じられなかった側面があったのだ。
風穴を開けたのは東京新聞の原田遼記者が、個人アカウントで投稿した
<聖火よりも、ランナーよりも目立ってたのは先導するスポンサー車両のどんちゃん騒ぎ。大音量の音楽を響かせ、踊るわ、グッズを配るわ、マスクをしていないDJがウェウェイ叫ぶわ。どこが復興五輪?どこがウィズコロナ?車両に隠れたランナーが見えるのは少しだけ>
というつぶやきだ。
投稿に張り付けられた現場の映像は、想像以上のバカ騒ぎぶりで、コロナ禍の状況で行われていることを考えればグロテスクにすら映る光景だった。
「スポンサーである日本コカ・コーラ社やTOYOTAのラッピングバスの上でDJが観客を煽り、グッズを配るスタッフはマスクもしていない。一応は『密を避けながら!』と口にしてはいましたが、やっていることと言っていることが正反対ですよね」(前出・週刊誌記者)
東京新聞はネット版でも原田記者の沿道取材リポートを掲載しており、日本コカ・コーラやトヨタ自動車、日本生命、NTTグループといった聖火リレーのスポンサーに対して「こうした演出についてどう考えるのか」という取材も行っている。
ところが原田記者はこの説明によれば、『メディアの動画公開は撮影から72時間まで』という国際オリンピック委員会(10C)の独自ルールがあり、ルールを破れば東京新聞全体が本番の東京五輪で取材パスが貰えなくなる恐れがあった。
そのため、仕方なく削除したとのことだった。
「このルールは放送権を持つテレビ局の利益保護のためのものですが、イベントは公道で行われている公共性の高いもの。I0Cがそこまで規制をする権利があるとは思えないし、何より読者の利益を大きく損なっていると言わざるを得ません」 (前出・全国紙記者)
沈黙する新聞はメディア失格
最大の問題は、東京新聞以外で聖火リレーの一連の騒動を批判的に取り上げた大手メディアがほとんどなかったことだろう。「東京新聞はスポンサーに入っていなかったから批判ができた」という指摘もあるようだが、それが言い訳にもならないことは当事者自身が一番わかっているはずだ。
日本のメディアのヘタレぶりは、海外と比べれば一目瞭然だ。たとえばこの3月には英紙・タイムズが、日本政府やスポンサー企業が五輪開催を推進している実態を取り上げ「止まらない暴走列車」と強く批判。
またアメリカ・NBCの電子版が、「リレーの聖火を消すべきだ」という寄稿文を掲載したことも大きな話題になっている。
なにしろNBCはソチ五輪から2032年の夏季五輪まで総額120億3000万ドル(約1兆3076億円)の長期契約を結んでいる、いわばオリンピック利権における最大の利害関係者だ。東京五輪のCM枠もすでに9割以上が販売済みで、およそ1313億を売り上げている。五輪が中止となれば見込んでいた利益を失うことになる (保険に入っているため損失はカバーできるらしい)。
そのNBCですら、コロナ禍での聖火リレー強行を批判しているのだ。
メディアとして当たり前と言えば当たり前のことだが、翻って日本のメディアはどうだろう。何度も言うが、五輪スポンサーに名を連ねているスポンサーメディアでここまで明確に「開催中止」を主張した言説はほとんどない。
それにしても気の毒なのはコロナど商業主義に振り回されながら、それでもなお五輪開催を信じて練習を続けているアスリートたちだ。1年間の延期に加え、本来なら大きな声援を送っていた国民からの支持も微妙な状況である。
なかでも最大の被害者は競泳の池江璃花子だろう。
有力な代表候補だった池江は19年2月に急性リンパ性白血病であることを公表し、治療のため長期休養に入る。それが1年前、東京五輪が開催されるはずだった日程に合わせて国立競技場で行われた行事に突然登場し、以降は東京五輪を強行開催しようとする運営側のアイコンのように祭り上げられてしまっている。
「もちろん池江選手には罪も責任もありませんが、大会組織委員会や電通が池江を起用した理由は明らかでしょう。白血病からの奇跡の復活劇は、五輪開催の世論を盛り上げるにはうってつけの美談ですからね」(前出・週刊誌記者)
池江選手はこの4月に開催された競泳日本選手権で東京五輪への出場権を手にしている。そして案の定、ほとんどのテレビや新聞は池江の美談をこれでもかとタレ流している。
池江選手の活躍が素晴らしいことに異論はない。しかし、それとこのまま東京五輪を開催するべきかどうかの議論はまったく別の話である。
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