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腸内細菌の力 どういかす?/矢島ゆき子・nhk
2023年03月09日 (木)
矢島 ゆき子 解説委員
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/480480.html
腸内細菌は、ここ20年くらいで研究が急速に進歩し、私たちの健康・病気などに影響することがわかってきています。
◆腸内細菌とは
腸内細菌というと、例えば、ヨーグルト・発酵食品などで使われる乳酸菌やビフィズス菌、大腸菌など思い浮かべる方もいるかもしれません。私たちの腸には1000種40兆個もの腸内細菌がすんでいて、例えば、腸の調子を整える働きがあることがわかっていました。しかし、腸内細菌の働きは、それだけではなさそうです。
◆腸内細菌が持久力を高める
実は、最近、腸内細菌が持久力を高めてくれるという研究成果が発表されました。これは、慶應義塾大学・青山学院大学などの共同研究です。青山学院大学陸上競技部に所属する、男子の長距離走ランナー48人の腸内細菌を調べたところ、同年代の男性たちと比べ、腸内細菌 「バクテロイデス・ユニフォルミス」が多くいることがわかりました。それだけではありません。ランナーたちに3000メートルを走ってもらい、この腸内細菌の数との関係を調べると、この腸内細菌の数が多い人ほどタイムが速かったのです。そこで、20〜40代の運動習慣がある男性たちを、オリゴ糖(α-シクロデキストリン)を摂取するグループと摂取しないグループにわけ、実験。オリゴ糖は、この腸内細菌が好む「エサ」です。摂取したグループは、8週間後、この腸内細菌「バクテロイデス・ユニフォルミス」の数が増えていました。そして、エクササイズ・バイクで10キロメートルこぐのにかかる時間が、摂取前より約10%短くなり、これは摂取しなかったグループと比べても速いタイムでした。さらに、摂取したグループでは、運動後の疲労感も低下していたことがわかったのです。
では、どうして腸内細菌が、持久力を向上させることができたのでしょうか?
注目されたのは、「短鎖脂肪酸」という「腸内細菌が作り出す主な物質」です。私たちが食べ、消化・吸収した残りをエサとして、腸内細菌は分解し、短鎖脂肪酸を作り出します。これは腸のエネルギーになったり、免疫の働きを強くするなど、私たちにとって、とても良い効果があることがわかっています。
今回の研究では、腸内細菌がオリゴ糖を分解して短鎖脂肪酸をたくさん作り、それが肝臓に働きかけ、エネルギーが作られ、全身の筋肉に供給し続けることができたため、持久力を高めたと考えられます。この研究を担当した慶應義塾大学福田真嗣特任教授にお話しを伺ったところ、「腸内細菌は思った以上に、私たちの体に影響し、健康維持や病気の治療だけでなく、人のさまざまな機能を増強できる可能性がある」とのことでした。
◆多様な腸内細菌
普段から、私たちの体の中では、健康な状態を保てるように、さまざまな臓器・細胞が働いていますが、腸内細菌も、私たちの健康が維持できるように助けてくれているのです。ただ助けてもらうためには、「多様な腸内細菌」がいることが、あらゆる人に共通して大切だということがわかってきました。
どうして多様な腸内細菌が大切なのでしょうか?
福田特任教授曰く、「例えば、腸内環境が悪くなりそうになっても、多様だと、腸内細菌同士がうまく連携して反応でき、腸内環境を良い状態で保て、その結果、私たちの健康も維持できる」とのことでした。しかし、「腸内環境が悪くなると病気になりやすい」ということもあるそうです。具体的には、腸内環境が悪くなると、糖尿病・動脈硬化、大腸がん・潰瘍性大腸炎などの腸の病気、花粉症・食物アレルギーなど免疫に関する病気、そして、多発性硬化症・うつ・自閉症・アルツハイマー病など神経・精神に関わる病気につながることがわかってきています。
実際、自分のお腹に、どの腸内細菌が、どの程度いて、多様かどうかは、便を検査しなければ、わかりません。どのような腸内細菌をもっているかは、個々人の食事、生活習慣、環境、出生経路、遺伝的要因などが影響するとも言われています。、ただ、最近の研究から、悪い食生活が長く続いている場合は、少しずつ多様でなくなる可能性がありこと、そして、バランスの良い食事を続けている健康な人であれば、基本的に多様な腸内細菌をもっていることがわかってきています。
◆多様な腸内細菌を作るには
では、腸内細菌を、できるだけ多様な、より良い状態にするためにはどうしたらいいのでしょうか?
腸内細菌は種類によって好むエサがかわります。そのため、まず「好き嫌いせず、さまざまなものを食べる」のがポイントになります。例えば、腸内細菌のエサになるオリゴ糖・食物繊維が大切で、これらを含む、玄米・大麦などの雑穀やわかめ・ひじきなどの海藻、きのこ類、大豆・大豆製品など豆類、野菜、特に根菜類、バナナなどのフルーツをとる。また魚を食べ続ける。これらを長く続けると多様性が高まることがわかっています。
そして、生きた乳酸菌などを使ったヨーグルト・発酵食品。これらもとり続けるメリットはあります。これは、食品に含まれている様々な成分が、腸にすんでいる腸内細菌に働きかけ、良い効果のある「短鎖脂肪酸」などを作り出すこともわかってきたからです。ただ、残念ながら、食べた乳酸菌などが、そのまま腸内にすみつくことはほとんどないことが最新の研究でわかってきています。また、例えばヨーグルトに使われてる乳酸菌・ビフィズス菌などの良いとされていた菌の中にも、研究が進み、ある人にとっては良い働きをしても、別の人にとっては全く役立たないこともあることがわかってきました。ヨーグルト・発酵食品も種類が様々ありますし、自分にあうものを見つけることが大切です。もし何かをためすのであれば、とりあえず2週間続けてためし、例えば、便秘が解消されてお腹の調子がよいなど、体調がよくなったと体感できたらそれを続ける。体感ができなかったら、また別のものをためすと自分の腸にあったものが見つかるかもしれません。これはヨーグルトに限らず、他の食材などにもあてはまります。
腸内細菌の研究が急速に進み、腸内細菌をターゲットにした医薬品、サプリメントなどの開発も進んでいます。また、将来、腸内環境を意のままにデザインし、健康維持・体質改善、さまざまなパフォーマンスの向上ができるだろうという話もありますが、健康維持については、腸内細菌の力を借りるために、私たちがすぐにできることもわかってきていますので、是非、たまには、腸内細菌の力をいかすことを意識していただけたらと思います。
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