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ピロリにアレルギーに梅干しパワー 言い伝えの知恵研究/朝日デジ
杉浦奈実 2019年7月4日18時00分 https://www.asahi.com/articles/ASM6G6RGPM6GPLBJ009.html?iref=comtop_latestnews_03
梅干しは、体にいい。南高梅で有名な和歌山にある和歌山県立医科大の機能性医薬食品探索講座が、古くから信じられてきた梅の健康効果を科学的に調べている。梅干しや梅肉エキスの効果を調べるのは「梅干し博士」こと宇都宮洋才(ひろとし)准教授(55)だ。
梅干しの研究に取り組み始めたのは20年以上前。静岡の茶のように、地元の特産物を使って県民のための研究をと考えていたところ、南高梅の産地みなべ町出身の同僚に梅を推された。
当時、梅干しの健康効果を科学的に調べた論文はほとんどなかった。同町の「うめ課」とも協力し、地元のお年寄りから聞き取った「食あたりになりにくい」「太らない」といった言い伝えを科学的に確かめることにした。
研究を進めるうちに、胃がんの主要な原因とされるピロリ菌の動きを、梅干しに含まれる成分、ポリフェノールの一種が邪魔することを突き止めた。顕微鏡の視野の中でするすると動いていたピロリ菌が、梅干しの成分を加えて10分ほどでほとんど動かなくなった。「そういうことがあればいいなと思っていたが、まさか本当に起こるとは」と驚いたという。
梅干しに含まれる別の成分が、花粉症などアレルギー症状を抑える可能性も突き止めた。県内男女563人へのアンケートでは、1日に1粒以上の梅干しを食べる女性にはアレルギー疾患が少なかった。ネズミを使った実験で、梅が抗アレルギー作用を持ち、梅に含まれる5種類の物質が、アレルギーを引き起こす細胞の活動を抑えていることがわかった。
研究成果は、健康に効果がある成分が多い梅干しづくりなどにも使われている。宇都宮さんは「薬は病気になって初めて飲むもので、あらかじめ飲ませられない。でも梅は食べることで健康になれる」。梅をきっかけに多くの人が和歌山を訪れ、地域も健康になってくれればと願う。(杉浦奈実)
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