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足に異常が現れる6つの怖い病気、50代からが特に危険!
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投稿者 うまき 日時 2019 年 3 月 22 日 20:47:17: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
 

2018年6月6日 阿保義久 :北青山Dクリニック院長
足に異常が現れる6つの怖い病気、50代からが特に危険!
足に異常が現れる病気に要注意
「体の衰えは足から始まる」と様々な観点から言われます。例えば、ウイリアム・オスラー博士の「ヒトは血管と共に老いる」という有名な言葉がありますが、歩行など主として足を使う運動は、動脈と静脈、両方の老化を予防することが分かっています。

 また、足に現れる病状の原因が他の臓器の異常であることがありますし、足の症状が体の他の部分に潜んでいる病状を示唆することもあります。そして、足に起きたトラブルが原因で命に関わる疾患が発生することもあります。

 直立二足歩行が可能な唯一の生物であるヒトにとって、生物として存在する上で足がいかに重要であるかは言うまでもありませんが、健康を維持するという観点においても足の果たす役割は非常に大きいのです。血管、神経、内臓の病気と足に表れる症状が密接に関係することはしばしばありますし、足の症状を放置していたために命を落とすということも起こり得ます。

 そこで今回は、特に50代以上の方に注意していただきたい、足に異常が現れる怖い病気を6つ挙げて紹介したいと思います。

(※注)「あし」を漢字で書く場合、「足」がしばしば使われますが、「脚」や「肢」と表すこともあります。一般的には、足首からつま先の部分を「足」、足首から股関節までを「脚」と表記します。今回は、あし全体を指す意味で「足」に統一して表記します。

急に片足が動かなくなったら119番!
足の病気ではなく、「脳卒中」の初期症状
 ちょっと想像してみてください。風呂上りにリビングのソファでゆっくりくつろいだ後、床に就くために立ち上がろうとすると、突然片足に力が入りにくくなりました。そのうちに、全く力が入らなくなり、歩くことはおろか、しっかり立つこともできなくなってしまいました。

 一体何が起きたのでしょう。これは、足の病気ではありません。脳卒中の典型的な初期症状です。

 脳卒中は、脳血管の病気で、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、TIA(一過性脳虚血性発作)に分類されます。中でも脳梗塞が最も多いのですが、発症してしまったら、脳卒中のいずれの場合でも、後遺症を残さずに回復するためには、いかに早く治療を開始するかが大切になります。足に力が突然入らなくなったけれど一晩休んで様子を見よう、という考えは大変危険です。そのような症状に気付いたら、即座に救急要請して脳神経外科専門医のいる病院に搬送してもらうべきです。

 そもそも、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙習慣などの動脈硬化発症リスクのある方は脳梗塞が発症しやすいので、特に注意が必要です。動脈硬化は血栓症(血液が突然固まって血管の中を閉塞させること)の発生につながります。脳梗塞は脳血管の血栓症ですが、生活習慣病のコントロールができていない人は40〜50代でも脳梗塞を発症することがあります。

長時間フライト後の「片足の腫れ」に要注意!
「肺塞栓症」で突然死に至る可能性も
 足に異常が現れる病気には、こんなものもあります。長時間のフライトを終えて空港からの帰宅途上、片足が急に腫れているのに気付きました。歩きにくい状態でしたが、自宅までもう少しなので、最寄駅から頑張って歩いて帰っていたところ、突然胸痛に襲われ意識が遠のいて倒れてしまいました。これは、深部静脈血栓症から「肺塞栓症」を発生した典型的な例です。

「エコノミークラス症候群」(ロングフライト症候群の方が適切な表現ですが)としてもよく知られる病気で、長い時間狭い場所で動かずにじっとしていると、脱水などが引き金になって足に溜まった血液が固まってしまう(血栓症)ことが原因で起こります。特に足の中心を走る深部静脈に大きな血栓ができた場合には、それが飛んで肺の血管を完全に閉塞させてしまうことがあります。これにより、突然死に至ることは珍しくありません。

 この疾患は、特に持病などがない健康な方でも起きることがあります。予防としては、長時間同じ姿勢で座りっぱなしなどは避ける、水分を十分取って脱水を避ける、足を適度に動かして筋肉をよく使う、などがポイントです。長時間座りっぱなしの後、急に片足が腫れてきたら速やかに医療機関を受診しましょう。

足に痛みがあって休み休み歩く状態なら、
心筋梗塞や脳卒中の予兆である可能性も!
 足が痛くて休み休み歩くような症状が出たら、これは動脈の病気のサインかもしれません。「間欠性跛行」と呼ばれるこの症状は、高齢者に多い脊柱管狭窄症など腰椎の疾患でも現れますが、50代頃から片足の痛みが頻繁に感じられるようになったら、まずは動脈の血行障害を考えます。

 生活習慣病を30代頃から抱えていた方は特に、40〜50代でも動脈硬化による症状が現れてきます。動脈硬化による足の典型的な病気は「閉塞性動脈硬化症(末梢動脈疾患)」で、血流が悪くなることにより、足の冷え・しびれ・痛みなどの症状が現れます。重症化すると、安静時でも強い痛みが出て、さらに悪化すると潰瘍や壊疽(えそ:血行障害により足の組織が死滅してしまうこと)に進展し、足を切断しなければいけないことがあります。

 命に関わる心筋梗塞や脳梗塞の前駆症状として、この足の動脈硬化症を捉えることが重要だとしばしば言われています。心筋梗塞や脳梗塞は、症状なく徐々に悪化していきます。そして、不意に血栓症による血行遮断により忽然と発症すると、その後短時間で、死や重度の後遺症に至るという悲劇がしばしば生まれます。足の痛みを感じたら、心筋梗塞や脳梗塞の発症を意識して、自身の動脈硬化のリスクを評価しつつ早期に治療を開始することが肝要です。足の痛みは心筋梗塞や脳梗塞の予兆かもしれないのです。

「しびれ」は腰のトラブルを疑え
 立っている時はまだいいものの、座ると決まって片足のしびれが強くなり居てもたってもいられなくなる――。こうした症状がある人は、「腰の病気」が原因かもしれません。これも前述の疾患群と同じで片足に限って症状が出るのが特徴です。発症時には、腰は全く痛くないので、原因は足にあって腰ではない、と考える方が多いようです。

 腰の骨は腰椎と呼ばれ、5個の骨(椎体)で構成されます。椎体の内部には脊髄が走っており、脊髄から伸びる神経は椎体と椎体の間からさらに末梢に伸びていきます。特に腰椎から出てくる神経は足に分布します。すなわち、「椎間板ヘルニア」や「変形性腰椎症」など腰椎のトラブルによって症状が足に出ることは珍しいことではありません。足の痺れを自覚したら、まず腰椎の異常を考えるべきでしょう。足の痺れから足の痛みに症状が発展することも多く、重症化すると歩行障害も発生します。

 日頃から、姿勢に注意して腰椎の並びを整えること、ストレッチングなどで腰椎周囲の筋肉を柔軟に保つこと、筋力を衰えさせないようにすること、などが腰椎疾患による足の病状の予防として大切です。また、足の痺れの代表的な疾患である椎間板ヘルニアは、軽症であればレーザーや内視鏡など体に優しい治療で管理することができるようになっています。

足のボコボコ「下肢静脈瘤」を治せば、
こむら返りも痒みも消える
 足の血管がボコボコと気持ち悪く浮き上がる病気。これは「下肢静脈瘤」と呼ばれる、実は非常に多くの方が患っている疾患です(比較的最近の調査で罹患人口1000万人に及ぶという報告もあります)。この病気は、基本的に命に関わる疾患ではないですが、自然に治ることはなく、放置していると徐々に悪化して重症化し、生活の質を著しく落とすことになるので軽視すべきではありません。また、下肢静脈瘤のある方は前述の深部静脈血栓症の発症リスクが相対的に大きいこともわかっています。

 下肢静脈瘤は、見た目以外にも、毎晩のこむら返り、慢性的な足の痒みなど、日常的にストレスの多い症状の原因でもあります。ですので、下肢静脈瘤を治療すると、毎晩悩まされていたこむら返り(足がつること)が突如として消え、いつも悩んでいた足の痒みもいつの間にか感じなくなって生活の質が大幅に改善されます。

 下肢静脈瘤の予防法としては、立ちっぱなしを避ける、適度に運動する、圧迫力のあるストッキングや靴下を利用する、などが有効です。一旦発症したら基本的には治りません。最近では入院せずに外来での血管内治療で管理できるようになりましたので早期治療がおすすめです。

足の「むくみ」は全身の病気にかかわる!
腎臓病、心不全、肝機能障害が原因のことも
 むくみは多くの方が経験するもので、生理的な一過性の症状である場合もあります。ただし、足のむくみが慢性化したら、下肢静脈瘤に関連する「慢性静脈機能不全症」の他に内臓に問題があることも考えなければいけません。

 慢性静脈機能不全症は静脈の逆流を防ぐ弁の機能が低下するだけでなく、足の筋肉が衰えて血液を心臓に戻すポンプ力が低下すると発症します。老化現象の一つとも言えますが下肢静脈瘤と同様に、適度に運動して足の筋力を維持する、足を適度に圧迫サポートするなどが予防法として重要です。

 一方で、内臓の病気である、「腎臓病」「心不全」「肝機能障害」など主要臓器の異常や機能障害がむくみの原因となることがあります。それらは、慢性化することで臓器不全を来し寿命を著しく短くする可能性もあります。足のむくみが持続する場合は、まず内科を受診して、主要臓器に異常が見られないかスクリーニングすることをお勧めします。

 また、甲状腺機能の低下でも足のむくみが発生することがあります。上述の内科受診時に併せて内分泌疾患の鑑別も大切でしょう。

足に関わる疾患の予防は、認知症予防にもなる!
毎日20〜30分程度のやや速めの歩行を
 今回は足の症状に注目して、看過してはいけない疾患を取り上げました。これら足に関わる様々な疾患全てを予防するためには、まさに「足をよく使うこと」が重要なポイントになります。散歩が健康に良いということは日常的に耳にするでしょう。毎日連続して20〜30分程度のやや速めの歩行を励行することで、健康維持に十分な予防効果が得られることがわかっています。

 運動器として最も重要な足の機能が弱まると、「ロコモティブシンドローム」と呼ばれる移動機能低下が生じ、それにより筋力及び筋量が低下する「サルコペニア」も併発します。そうなるとさらに移動能力が低下して、サルコぺニアも悪化するという悪循環が生まれます。ロコモティブシンドロームやサルコペニアにより社会活動の範囲が大きく狭まる状態を包含して「フレイル」と表現することもあります。

 フレイルは、気力の低下が進んで最終的に心身両面での虚脱症状に陥ることに、特に着目した概念です。このフレイルこそ、現代社会で大問題である認知症に大きく影響していることが指摘されます。すなわち、足をしっかり使って、歩行などの運動習慣を継続することが認知症予防のキーとなるのです。そして、歩行により動静脈の機能も改善することから、循環器・呼吸器などの主要臓器のみならず全身のあらゆる臓器のはたらきが整います。

 足の症状が全身の病状を表すことがあり、そして足を使うことで全身の健康が作られるというのは非常に示唆的なことですね。

(北青山Dクリニック院長 阿保義久)
https://diamond.jp/articles/-/171607  

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