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70歳女性 無職 高血圧症にて近医通院中。
S)10年以上慢性的に腰痛があるが、6週間前から誘因なく腰痛及び右臀部痛が増強し当院受診。
両手指に変形があり、変形性CM関節症、ヘバーデン結節、ブシャール結節にて大学病院通院加療中。
O)初診時、第一肋間に著明な圧痛。全身に線維筋痛症の診断基準を満たす圧痛を認めた。
体重48s。一日水分摂取量は1ℓ未満。
カフェイン摂取は一日当たりコーヒー二杯、紅茶二杯、緑茶三杯。
脊柱に叩打痛を認めず、SLRは正常。
鼠蹊部の腸腰筋領域に圧痛と筋硬直を認めた。
腸腰筋の弛緩を促すMedical Dynamic Stretchingで腰痛増強傾向あり、即座にこれを中止した。
レ線上は側弯症及び変形性腰椎症の所見。手指には複数の変形性関節症所見を認めた。
A)腸腰筋及び殿筋の弛緩不全。手指の変形性関節症及び慢性脱水症。
高血圧治療薬の副作用やカフェインの過剰摂取による慢性脱水症で全身の筋肉に弛緩不全を生じており、この結果、腰椎や手指に関節破壊が進んでいるものと考えられた。
腰痛増悪の原因は季節変化に伴う寒冷刺激が弛緩不全を助長したためであると考えられた。
P)カフェインの制限、血圧に注意し乍らの一日1500ml以上の水分摂取を勧めた。
テルネリン1錠眠前内服、アリナミンF朝食、夕食後1錠内服、ノイロトロピン朝食、夕食後2錠内服を処方した。
初診から三日目。
第一肋間、及び全身の圧痛は消失。
外来でMDSを施行したところ、腰痛は初診時比較で二割六分、手指の痛みは三割まで軽減した。MDSを自宅で励行、継続するよう指導した。
初診から七日目。
腰痛はほぼ消失、初診時比較で一割未満となり、十年以上続く手指の関節痛は二割未満となったため、ノイロトロピンを中止した。
この女性はインテリジェンスが高く、MDSを少ない受診回数で正確に再現できた稀有な症例であった。
実のところ、高齢者ではMDSを再現できずに間違ったやり方で症状を増悪させる場合もある。また、水分摂取が目標量に届かない場合や、患者がMDSを十分に行わない場合にも、これほどの治療効果は得られない。
しかしながら、この症例のごとく、患者自身が理論と方法の正しい理解を得、MDSを正確に再現できさえすれば、ほとんど鎮痛薬の類を必要とせず、自ら症状をコントロールすることができるのである。
この症例は、慢性脱水と筋肉の慢性弛緩不全という概念を持たない整形外科医が治療にあたれば、例えそれが大学病院のエキスパートであっても、ありふれた慢性疾患でさえ、難治性となってしまう場合がある好例だといえるだろう。
へバーデン結節は、よく言われる女性ホルモン低下などとは全く関係がなく、前腕の筋肉群の弛緩不全が引き起こす変形性関節症に過ぎないのだ。
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