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今こそ知っておきたい「ゲノム編集」の大きな可能性 「ゲノム編集ベビー」発表が私たちに突きつけた課題(前篇) 
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/675.html
投稿者 うまき 日時 2018 年 12 月 12 日 13:43:56: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
 

(回答先: 脳トレは知力低下に効果なし? 英研究  投稿者 うまき 日時 2018 年 12 月 12 日 13:20:44)

今こそ知っておきたい「ゲノム編集」の大きな可能性
「ゲノム編集ベビー」発表が私たちに突きつけた課題(前篇)
2018.12.12(水) 島田 祥輔
ゲノム編集はどのような技術で、どのような可能性があるのか。
 世界中を驚愕させた、中国での「ゲノム編集による子どもの誕生」のニュース。今回の出来事は、技術の進歩とともに直面するさまざまな問題を、早くも社会に突きつけることになった。ゲノム編集にはどのような可能性と問題点があるのか、そして今後の議論はどこに向かうのか。サイエンスライターの島田祥輔氏が2回にわたり解説する。(JBpress)

 11月26日、「ゲノム編集」という方法で受精卵の遺伝子を人為的に変えた赤ちゃんが誕生した、というニュースが世界中を駆け巡った。

 これが事実かどうか現時点では不明だが、秘密裏に行われたこと、技術的・医学的・倫理的問題が多く含まれていることから、多くの批判が寄せられている。

 ただ、これを機に「ゲノム編集とは何か?」「ヒト受精卵へのゲノム編集は何が問題なのか?」について考えるのは、意味のあることだろう。

 そこで前篇となる本記事では、ゲノム編集とはどのような技術なのか、簡単な原理と応用研究を紹介する。後篇では、ヒトの受精卵にゲノム編集を施すことの何が問題なのか、整理する。

そもそも、このニュースは本当なのか?
 本題に入る前に断っておきたいのが、今回報道されたことが本当なのか不明であることだ。

 本来、ヒトを対象にした試験は、所属機関である大学や医療機関の倫理委員会の承認を受け、結果がある程度そろったら(よい結果だったかどうかに関係なく)学術誌に論文を投稿し、掲載されたら正式に発表するのが通常のフローだ。

 ところが今回は、『MIT Technology Review』の特ダネから噂が広がり、直後にAP通信の独占インタビューで明らかにされたという経緯になっている。研究者が所属する大学ですら事前に報告を受けておらず、独立委員会を立ち上げて調査に乗り出すと声明を出した。倫理委員会に申請すらしていなかったのだろう。

 報道の2日後には、第2回ヒトゲノム編集国際会議にHe氏が登壇し、関連するデータを示した。その様子はアーカイブ(Session 3の1:15:30あたりから)ですべて見ることができる。ただ、本稿執筆時点では論文は発表されておらず、第三者が検証するために必要な生データも公表されていない。

 つまり、壮大なフェイクの可能性も残されている。

 仮に本当だったとしても、技術的・医学的・倫理的な問題が多く指摘されている。このうち、技術的問題を理解するためには、ゲノム編集という技術について簡単に知っておく必要がある。

 筆者はこれまで、ゲノム編集に関する記事をいくつか書いてきて、トークイベントなどにも参加してきた。改めて、ゲノム編集という技術がもつ可能性を探っていこう。

どうして遺伝子が体の特徴を決めるのか?
 最初は勉強タイムになるが、イラストを見ながら読み進んでほしい。

 まず、ゲノム編集という言葉にある「ゲノム」とは、「ある生物がもつすべて遺伝子」という意味だ。ヒトなら、2万2000種類あるとされる遺伝子すべてを指す。

 遺伝子は「DNA」という物質からできている。遺伝子にある情報をもとにしてタンパク質が作られ、そのタンパク質が体内でさまざまなはたらきをする。異なる遺伝子からは、異なるタンパク質が作られる。


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 大まかな言い方をすれば、「遺伝子をもとに、体を特徴づけるタンパク質が作られる」となる。胎児の段階で心臓を作るという重要なことだけでなく、お酒に強いかどうかというちょっとした個人差の中にも、遺伝子が関係するものがある。

イラストで分かるゲノム編集
 ゲノム編集は、遺伝子の一部を書き換える技術だ。いくつかの方法があるが、2013年に開発された「CRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)」という方法は簡便かつ安価で、一気に世界中の生命科学の研究室に広まった。

 CRISPR-Cas9では、DNAを切断する「Cas9」と、切りたい場所を探す「ガイド役」が1組となって細胞内に入ると、狙ったところのみのDNAを切断する。細胞内では、切断を修復する機能が備わっているが、そこで修復ミスが起きてしまう。このミスを利用して、「遺伝子の機能をなくす」のがゲノム編集だ。


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 ゲノム編集ができるのは、機能をなくすだけではない。修復するとき、あらかじめ別のDNAの断片を入れておくことで、その断片を「組み込む」こともできる。


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 遺伝子が変われば、できあがるタンパク質も変わり、体の特徴が変わるという仕組みだ。


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 似たような方法に「遺伝子組換え」があるが、遺伝子組換えの成功率は1%以下であるのに対し、ゲノム編集の成功率は数十%ともいわれる。ゲノム編集のほうが安価かつスピーディーだ。

農業問題を解決、エイズやがんを治療できるかも
 基礎研究では、病気となるように遺伝子を変えたマウスで、病気の原因解明や治療法発見などのために使われている。

 また、農作物、水産物、畜産物など食品分野への応用も進んでいる。

【参考】「“衝撃”のゲノム編集、作物は食卓に並ぶのか?」

 医療においても、海外で臨床試験がいくつか行われている。いわゆる「遺伝子治療」と呼ばれるものだ。

 例えば、エイズを発症したHIV(ヒト免疫不全ウイルス)患者から、免疫に関わる「T細胞」を採取し、HIV感染の目印となるタンパク質を作る遺伝子を壊して患者に戻せば、HIVは感染する手立てがなくなるため、エイズを治療できる可能性がある。アメリカではすでに臨床試験が行われ、HIVの検出量が下がったと報告されている(Tebas et al., N Engl J Med, 2014)。

 同様の方法で、がん細胞に攻撃できるようにT細胞をゲノム編集する「CAR-T療法」も研究されている。

 ただし、この方法を悪用することで「遺伝子ドーピング」という問題が浮上するのは知っておいていいだろう。例えば、血液で酸素を運ぶ赤血球を多く作らせるように遺伝子を改変すれば、酸素を多く運べるようになり、持久力が勝負となる長距離競技で有利になるかもしれない。この問題に対しては、世界アンチ・ドーピング機構は先手を打ち、2018年1月に発効した禁止リストでは「遺伝子編集(ゲノム編集)物質の使用禁止」が盛り込まれた。

 話を元に戻そう。治療目的で遺伝子を変えることへの懸念はあるが、患者がメリットもリスクも受け入れて同意のもと、治療効果や副作用を丁寧に追跡するという点では、新しい医療機器や治療薬を使うのと大きく変わらない。遺伝子が変わるのは一部の細胞のみで、そこから精子や卵子が作られることはまずないため、変化した遺伝子が子孫に伝わることはない。

問題のレベルがまったく違う、受精卵へのゲノム編集
 ところが今回は、“受精卵”にゲノム編集を行ったという。これは、患者の一部の細胞でゲノム編集を行うこととは意味合いがまったく異なる。ここまで述べた例とは、完全に切り離して考える必要がある。

 受精卵からは、胎盤を含め、人体を構成するすべての細胞が作られる。受精卵の遺伝子を変えるということは、体のすべての細胞に含まれる遺伝子を変えるということだ。当然、そこには精子や卵子も含まれるため、その変化は次の世代以降にも引き継がれる。

 遺伝子を変えたことによるメリットとリスクを、まだ生まれてもいない子どもと子孫が負うことになる。当然、本人の同意はない。

 今回の場合、前述したHIV感染に関わる遺伝子の機能を失わせ、HIVに感染しにくくしたとされている。では、リスクには何があるのだろうか。

 後篇では、技術的、医学的、倫理的観点から問題をまとめ、今回の騒動の本質に迫る。

(後篇につづく)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54910  

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コメント
1. 2021年9月16日 10:39:17 : As0ZKla5Hk : cHY2dHF5UG85ckU=[3] 報告
国内初“ゲノム”トマト販売開始 遺伝子操作し改良
https://news.yahoo.co.jp/articles/e64c01ff29149b8fcce3d66d9c4a0d0e365a2a37

国内初、「ゲノム編集」トマトの販売が始まりました。

 このトマトは血圧を下げるとされる「GABA」と呼ばれる成分を多く含むように品種改良されたトマトです。

 ゲノム編集という技術が使われています。

 別の遺伝子を使う遺伝子組み換えと違って元々、このトマトが持っている遺伝子を操作することで品種改良を実現しました。

 去年12月、種苗会社のサナテックシードが厚生労働省に届け出て、熊本県の農家が栽培を始めていました。

 価格は3キロで約7500円です。

 ゲノム編集食品の一般への販売は国内では初めてになります。

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