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遺伝子組み替え作物は実は危険じゃなかった! むしろ農薬使用量が激減し安全
2017年07月15日 ライフハック・キャリア
「遺伝子組換え作物は危険」というデータは、不正確なものだった
いまもネットで議論が絶えないのが、「遺伝子組み換え作物」の問題です。
遺伝子組み換えとは、ある生き物から役に立つ遺伝子だけを取り出し、別の生き物に組み込んでいく技術のこと。日本では、大豆食品やスナック菓子などに、大量の遺伝子組み換え作物が使われています。
その安全性については昔から否定論が多く、ネットで検索をかければ「遺伝子組換え作物を食べて奇形化したラット」の哀れな画像が大量にヒット。思わず身ぶるいさせられます。
さらに2015年には、台湾政府が給食から遺伝子組換え作物の完全排除を決めたのも話題になりました。遺伝子組み換えの安全性には科学的な合意がなく、毒性の強い農薬が大量に使われているというのです。
事実ならば恐怖の一言ですが、遺伝子組換え作物への批判は、どこまで的を射たものなのでしょう? 本当に科学的な根拠はあるのでしょうか?
まずは、遺伝子組み換え食品で奇形化したラットの問題から見ていきましょう。
ネットに出回る奇形ラットの画像は、2012年の動物実験が出どころになっています(1)。カーン大学の研究チームが、ラットに遺伝子組換えのコーンを食べさせたところ、次々に悪性の腫瘍が発生したという恐ろしいデータです。体の節々がふくれあがったラットの姿はあまりにも悲惨で、遺伝子組換えの否定派が大騒ぎしたものムリはありません。
ところが、この論文には、発表後から「実験のデザインがおかしい」という指摘が多く上がりました。
この実験の問題点は、大きく2つあります。第一に、遺伝子組み換え食品を与えたラットの数は20匹程度であり、とても統計的な検証に耐えうる数ではありません。
さらに大きな問題が、この実験ではアルビノラットを使っている点です。アルビノラットはもともと癌になりやすい生き物で、あるデータによれば、18カ月の間に自然に腫瘍ができる確率は45%にものぼります(2)。
これらのポイントが指摘されたため、カーン大学は後に論文を撤回し、いまも再提出は行われていません。論文としての妥当性は失われたと見てよいでしょう。
メタ分析では「安全性に問題なし」
それでは、「遺伝子組み換えの安全性には科学的な合意がない」との指摘はどうでしょうか?
この問題ついては、2012年にAAAS(アメリカ科学振興会)が以下の声明文を出しています(3)。
『科学的な結論は明確だ。バイオテクノロジーの分子技術による現代の作物改良は安全である。(中略)WHOや米国医師会、米国科学アカデミー、英国王立協会といった組織がリサーチを行い、いずれも同じ結論に達している』
AAASは世界でもトップクラスの科学団体です。科学に絶対はありませんが、ひとまず「科学的な合意はある」と考えるべきでしょう。
ここまで大勢の科学者が遺伝子組換えの安全性を支持するのは、精度の高い証拠があるからに他なりません。
もっとも有名なのは2012年にペルージャ大学が行ったメタ分析です。2002〜2012年に出た1,783件の実験データをまとめた膨大な調査で、科学的な信頼度はピカイチと言えます。
その要点は以下のようなものです。
・科学的なデータは、遺伝子組み換え作物の安全性を確認している。遺伝子組み換えは、環境にも人体にも問題がない。
・遺伝子組み換え作物のなかに、特殊なアレルゲンや毒物が見つかったという事実もない。
・遺伝子組み換えが生態系を乱すという証拠もない。
かなり徹底的に安全性を認めており、このデータを批判派がくつがえすのは難しいでしょう。
→次ページ農薬の使用量を減らし、収穫量も増やせる!
農薬の使用量を減らし、収穫量も増やせる!
もうひとつ、2014年に行われたメタ分析では、147件の実験データをもとに、「遺伝子組み換えと農薬の問題」についても精度が高い結論が出ています。こちらの要点は以下のとおりです。
・遺伝子組み換え技術を使うと、農薬の使用量を最大37%まで削減できる
・逆に穀物の収穫量は22%まで増やすことができる
毒性の高い農薬が使われるどころか、遺伝子組み換えは農薬の絶対量を減らし、逆に安全性を高めてくれるわけです。農薬への依存度が高い後進国などにとっては、まことにありがたい技術だと言えるでしょう。
そんなわけで、いまのところ遺伝子組み換え作物に関しては、
1.危険性は動物実験でしか確認されておらず、そのデータの精度も怪しい
2.質の高い研究ほど遺伝子組換えの安全性を保証している
というのが現代科学の結論。遺伝子操作には本能的な恐怖を抱いてしまうのが人情かもしれませんが、いたずらに怖がる理由はありません。
1.Gilles-EricSéralini (2012)Long term toxicity of a Roundup herbicide and a Roundup-tolerant genetically modified maize
2.J. D. Prejean(1973)Spontaneous Tumors in Sprague-Dawley Rats and Swiss Mice
3.AMERICAN ASSOCIATION FOR THE ADVANCEMENT OF SCIENCE(2012)Statement by the AAAS Board of Directors On Labeling of Genetically Modified Foods
4. Alessandro Nicolia (2012)An overview of the last 10 years of genetically engineered crop safety research
5.Wilhelm Klümper(2014)A Meta-Analysis of the Impacts of Genetically Modified Crops
<文/Yu Suzuki>
【Yu Suzuki】
月間100万PVのアンチエイジングブログ「パレオな男」管理人。「120歳まで生きること」を目標に、日々健康維持に励んでいる。アンチエイジング、トレーニング、メンタルなど多岐にわたり高度な知見を発信している。NASM®公認パーソナルトレーナー。あまりに不摂生な暮らしのせいで体を壊し、一念発起で13キロのダイエットに成功。その勢いでアンチエイジングにのめり込む。11月11日、初の著書『一生リバウンドしないパレオダイエットの教科書』(扶桑社)が発売。
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2017年07月02日 ライフハック・キャリア
「砂糖中毒」は嘘だったことが判明。だが、特定条件では依存性を発揮する
ここ数年、「砂糖中毒」という言葉をよく聞くようになりました。タバコ中毒やアルコール中毒のように、砂糖に対して極度の依存を起こした状態のことです。
糖質制限ダイエットの世界では昔から有名な説で、なかには「砂糖にはコカイン並みの依存性がある」といった主張をする医師も存在。糖質には脳をダイレクトに刺激する作用があり、ドラッグと同じような快感をもたらすというのです。
その結果、多くの人は砂糖や炭水化物なしではいられなくなり、肥満、疲労、イライラ、不安といったあらゆる不調の原因になるんだとか。事実なら、まことに恐ろしい話です。
しかし、どうにも怪しい印象がぬぐえません。本当に砂糖がコカイン並みの快楽をもたらすなら、角砂糖への依存が社会問題になり、すでに法律で規制されていてもおかしくないようにも思えます。果たして、「砂糖=ドラッグ」説は事実なのでしょうか?
そもそも、砂糖の中毒性が騒がれるようになったのは、2008年のマウス実験がきっかけになっています(1)。プリンストン大学の研究チームが、マウスへ砂糖をあたえ続けたところ、脳に大量の快楽物質(オピオイドとドーパミン)が分泌されたうえに、実験後には重度の禁断症状まで確認されたのです。このデータだけを見れば、確かに砂糖はドラッグと同じように思えるでしょう。
ただし、これはあくまで動物実験の話。実は、ヒトを対象にした研究では、砂糖の依存性はまったく認められていません。
現時点で最新のデータは、2017年にマーストリヒト大学が発表した論文です(2)。このなかで、研究チームは健康な男女1,495人を対象に食品の依存度を調べ、全員のBMIとの関連を調べました。
そこでわかったのは、以下のような事実です。
・95%の人は何らかの食品に依存した経験を持っていた
・砂糖だけの食品に依存を起こすケースはほとんどなかった
誰にでも食品への依存は起こりえるものの、砂糖中毒にかかった人はほぼゼロだったようです。
→次ページ中毒を引き起こすのは、砂糖と”アレ”の組み合わせ
中毒を引き起こすのは、砂糖と“アレ”の組み合わせ
それでは、依存を起こしやすい食品とはどのようなものでしょうか? 研究チームは次のようにコメントしています。
「もっとも依存のような行動が確認されたのは、砂糖と脂肪が組み合わさった食品だ。基本的に太りぎみの人ほど『砂糖+脂肪』の消費量が大きく、おもに砂糖だけをふくむ食品は肥満との相関がなかった。
砂糖が多い食品は依存性が低く、肥満のリスクにもなりにくい。過去のデータと照らし合わせてみても、食べ過ぎの原因はカロリー密度と個人の環境によるところが大きいだろう」
あくまで砂糖に依存を起こすようなパワーはなく、ケーキやアイスクリームのように大量の糖分と脂肪が組み合わさったときに、はじめて食べ過ぎが起きるというわけです。
もうひとつ、2016年の研究も見てみましょう(3)。
これはケンブリッジ大学によるレビュー論文で、過去に行われた砂糖中毒に関する127件の実験データをまとめたもの。「砂糖中毒」について考えるうえでは、現時点でもっとも信頼性が高い内容になっています。
研究チームの結論は、以下のとおりです。
「ヒトが砂糖に依存を起こすという証拠は存在しなかった。動物実験のデータでは、確かに砂糖中毒のような行動はみられるが、それはあくまで断続的に砂糖へアクセスできる環境があったときだけだ。
砂糖中毒に近い行動は、報酬が多い食品が断続的に手に入る環境によって引き起こされる。決して、砂糖に神経科学的な作用があるわけではない」
簡単に言いかえると、砂糖で脳がおかしくなるような事実は存在せず、たんに「お菓子屋さんが近所にある」や「戸棚にケーキが置いてある」といった誘惑の大きい環境によって、あたかも依存のような行動が起きるというわけです。実に常識的な結論と言えるでしょう。
まさに大山鳴動してネズミ一匹。どうやら「砂糖=ドラッグ」説は、動物実験の不確かなデータをもとにした空騒ぎだったようです。
もちろん砂糖の摂りすぎは厳禁ですが、もっとも大事なのは総カロリーとのバランス。無闇に怖がる必要はまったくありません。
1.Avena NM, et al. “Evidence for sugar addiction: behavioral and neurochemical effects of intermittent, excessive sugar intake.”(2008)
2.Markus CR, et al. “Eating dependence and weight gain; no human evidence for a ‘sugar-addiction’ model of overweight.”(2017)
3.Westwater ML, et al. “Sugar addiction: the state of the science.”(2016)
<文/Yu Suzuki>
【Yu Suzuki】
月間100万PVのアンチエイジングブログ「パレオな男」管理人。「120歳まで生きること」を目標に、日々健康維持に励んでいる。アンチエイジング、トレーニング、メンタルなど多岐にわたり高度な知見を発信している。NASMR公認パーソナルトレーナー。あまりに不摂生な暮らしのせいで体を壊し、一念発起で13キロのダイエットに成功。その勢いでアンチエイジングにのめり込む。11月11日、初の著書『一生リバウンドしないパレオダイエットの教科書』(扶桑社)が発売。
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