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【第338回】 2017年4月21日 井手ゆきえ :医学ライター
不眠症や肩こりで処方「ベンゾ系薬剤」に常用量で薬物依存の危険
先月21日、厚生労働省は睡眠薬や抗不安薬として使われている「ベンゾジアゼピン受容体作動薬(ベンゾ系薬剤)」と「バルビツール酸系薬」など49薬品(44成分)について、薬の説明書(医薬品添付文書)に「連用により薬物依存を生じることがあるので、漫然とした継続投与による長期使用を避けること(後略)」と明記するよう指示を出した。
対象薬剤の有名どころは「アルプラゾラム(商品名:ソラナックス、コンスタン他)」「クロアチゼパム(商品名:リーゼ他)」「エチゾラム(商品名:デパス他)」「ゾルピデム(商品名:マイスリー他)」など。
ベンゾ系薬剤などによる「薬物依存」は、長期間の大量処方といった「乱用」や「異常な量や使い方」で生じるとされていたが、ふつうに処方される量と飲み方でも依存を引き起こし、減・断薬で離脱症状を生じる可能性があると公に明示したわけだ。
ベンゾ系薬剤の常用量依存に関しては、欧米では20年以上前から広く認識されていた。しかし日本ではいまだに「常用量で依存は生じない」と言ってはばからず、漫然と処方箋を出し続ける医師が少なくない。逆に、時間をかけた減・断薬に応じてくれる医師を探すほうが難しいかもしれない。
しかも近年は、一般内科や整形外科で「不眠症」や「肩こり腰痛(!!)」にベンゾ系薬剤が簡単に処方されている。心身症や精神疾患でなくとも、気づかないうちに重複・連用してしまう可能性があるわけだ。また、闘病中に睡眠薬や抗不安薬を服用していた「がんサバイバー」の連用と常用量依存にも注意が必要だろう。
脇道にそれるが「お薬手帳」の存在意義はここにある。違う病院で重複処方がないか、相互に副作用を強める薬がないかをチェックするため、かかりつけ薬局を1カ所に決めておくといい。
一般に、ベンゾ系薬剤の常用量依存が生じるのは、服用後2〜3カ月とされている。対象薬を飲んでいる方は、まず自分の症状と薬の必要性を主治医と再確認することから始めよう。自己判断の減・断薬は決して行わないこと。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)
http://diamond.jp/articles/-/125619
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