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■線維筋痛症の正体
近年、有名アナウンサーの自殺によって、線維筋痛症という難病が巷でも広く認知されるようになった。この病気、一般的に診断が難しく、原因も不明で治療困難とされているのだが、これまで<エビデンスのない話>で論じてきた筋肉の慢性弛緩不全という概念で以って理解を試みれば、さほど難しい病気とは言えないかも知れない。町医者の素朴な実感でいえば、この病気の本態は、慢性的な脱水状態をその根本的な原因とする、全身の筋肉に生じた弛緩不全と、脳脊髄液圧減少症との合併症だといえる。
■血管内脱水と筋組織内脱水
通常、臨床的に問題とされるのは急性の血管内脱水であるが、実は慢性に推移する筋組織内脱水もある。この慢性の筋組織内脱水は、日々の水分摂取量の多寡や、嗜好する飲料水の種類といった諸々の生活習慣に起因する。我々の周囲は、アルコール類やカフェイン類など、利尿作用の強い飲み物や調味料、食材で溢れており、それらの過剰摂取に対して無頓着でいると、知らぬ間に脱水が進行してしまう場合があるのだ。また、一部の降圧薬の長期服用に伴う医原性の脱水もある。勿論、脱水は排泄過多に伴うものばかりではなく、発汗や授乳によって、必要とされる水分量が増大しているにも関わらず、それに対して十分な水分摂取が行われないことによっても生じ得る。筋組織内脱水は筋肉の弛緩不全を誘発するので、慢性的な脱水状態は全身の筋肉に弛緩不全を生ぜしめることになる。わかり易く極端な話をすれば、全身の筋肉が、生きながらにして鰹節のごとく硬化、ミイラ化していくわけである。
■Medical Dynamic Stretchingによる治療
実際、外来では、こうした慢性の脱水症を誘因とした症例に出くわすことがあり、そういう患者は全身のあちこちに痛みを患っている場合が多い。だが、それらの症状に対しては、脱水を補正した後、症状のある筋肉に対してMedical Dynamic Stretching(MDS)を施行することで、そのほとんどが顕著に治癒傾向を示すのだ。加えていえば、その種の患者は、ほぼ全例、線維筋痛症の診断基準を満たしてもいるのである。あるいは脱水がその直接原因でなかった場合であっても、筋肉の慢性弛緩不全という概念を受け容れ、そこに至る他の要因を追究することで、この疾患の特徴的な症状や所見の多くを、過不足なく説明し得ると期待されるのだ。
■木を見て森を見ぬ現代医学
現代医学では、やれ遺伝子がどうした、フリーラジカルがどうしたなどと、とかく木を見て森を見ずといった類の研究が行われやすい。だが、そうした研究のスタイルだけでは、線維筋痛症に限らず、個別の素因で多様性を示す病気の根本原因を突き止めるのは難しくなってしまうのではないだろうか。診断の基本は、一元的に病因を考えることにある。そうであるなら、今後の整形外科領域、否、整形内科領域の研究に必要なのは、理論物理学にみられるような研究のスタイル、即ち、より普遍的に病状を説明し得る仮説を打ち立て、これを実験的あるいは臨床的に検証していくことだろう。
■罹病期間の長期化が難治化を招く
結局のところ、線維筋痛症はそのほとんどの場合、筋組織内脱水の補正によって治癒せしめることが可能である。もっとも、これまでに遭遇した難治例に共通していたのは、初診時の段階で罹病期間が数か月以上に及び、前医から眠剤など心療内科領域の処方が施されていたことだった。つまり、この症状の原因が脱水だと見抜かれず、散々検査漬けにされた挙句、心療内科に回されてしまっていた症例に限って、治癒せしめることがかなわなかったというわけである。これらの症例においては、MDSによって症状のある筋肉に筋弛緩を得ても、その変化を脳が認識できなくなっているようだった。長い間、薬物によって症状を欺く治療が行われたため、好ましい変化もまた、脳が認識できなくなってしまっているのかもしれない。
■医師は製薬会社の手先になるべからず
ここ数年、整形外科医は、リリカやトラムセットなど、患者から痛みを取り除くための薬物を次々と手にするようになった。だが、痛みはもともと人間の体が危機管理の手段として獲得した貴重な警報なのだ。にもかかわらず、その警報に蓋をしてしまう薬物を闇雲に使えば、人間の健康にとって、さらなる害悪をもたらすのは自明の理である。そういう認識を持たず、あたかも製薬会社の手先のごとく新薬を濫用することに、医師はもっと慎重になるべきではないだろうか。
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