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(回答先: <エビデンスのない話I終わりに> 投稿者 SHO 日時 2017 年 3 月 31 日 13:33:53)
■関節の捻髪音
時々、患者から関節を動かす際に生じる音の原因を尋ねられることがある。これも、キー・マッスルの弛緩不全という概念がありさえすれば、それに答えるのは容易だ。弛緩不全に陥った筋肉の起始、停止間に横たわる関節では、その軸圧が高じるために、関節軟骨同士が押し付けあって、ある種の結合を生じていると考えられるが、その結合が解かれる際に音を生じているだけの話ではないだろうか。たとえるなら、吸盤をはがす際に生じる音がそれだいえる。裏をかえせば、音の訴えがある関節をまたぐ筋肉には、弛緩不全が存在すると推定されるわけである。
■成長痛の原因
また、小児期特有の下肢に生じる激烈な夜間痛や、生後10ヶ月前後からみられる空腹を原因としない激しい夜泣きの類も、この概念によって理解できるかもしれない。おそらく、日中の活動で生じた下肢筋の疲労性弛緩不全が背景となり、そこに脱水が伴うことで筋痙縮を生じているのだろう。痛みの訴えが夜間に限定されるのは、そうした理由が考えられはしないだろうか。
この他、患者から痺れの訴えがある場合、筋肉の慢性弛緩不全を原因とする筋間での末梢神経圧迫や血流障害を考える必要がある。実際、これまで、神経根症や原因不明の神経痛として片づけられていた疾患の多くで、そうした症例が潜んでいる可能性が否定できない。漫然とした軽微な痺れの場合、種々の薬物療法よりも、キー・マッスルの弛緩誘導の方が、はるかに奏功する場合があるのだ。
■顎関節症の原因と治療
ところで、整形外科の疾患ではないものの、顎関節症の患者がしばしば整形外科を受診することがある。勿論、それらの治療は専門医の手に委ねるべきではあるが、軽症ならば、頬にある咀嚼筋の弛緩誘導が奏功するので、試す価値がある。また、視力低下に関しても、毛様体筋の弛緩不全を原因の一つと考えるなら、視力回復には“テンポ良く”遠近交互に焦点を合わせるダイナミック・ストレッチが奏功すると期待できるだろう。その過緊張性の弛緩不全はチン氏帯を緩めることで水晶体を厚くさせ、近視を促すことになるし、逆に廃用性の弛緩不全は遠視を促すことになる。つまり、老眼とは、水晶体の変性のみならず、毛様体や虹彩における微小筋肉で生じた弛緩不全の終末像ともいえるのではないだろうか。
- <エビデンスのない話・アフター> SHO 2017/3/31 13:42:33
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