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花粉症の治療の選択肢が広がっている。(※写真はイメージ)
8割が花粉症の症状軽減 「舌下免疫療法」を受けた人の声〈週刊朝日〉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170322-00000043-sasahi-hlth
週刊朝日 2017年3月31日号
昨年の4.4〜11倍(ウェザーニュース)と発表された今年の花粉の飛散量。新たな薬が登場する中、舌下免疫療法も診療ガイドラインに記載され、花粉症の治療の選択肢が広がっている。
東京都に住む平田恭二さん(仮名・65歳)は58歳の3月、突然、花粉症の症状が出た。鼻水が止まらず、営業の仕事に支障が出たため、会社の近くのふたばクリニックを受診。抗ヒスタミン薬と、鼻づまりを改善するロイコトリエン拮抗薬を処方してもらった。それから毎年、2月には受診して早めに薬を飲み始めるようにしていたが、14年10月に舌下免疫療法が保険適用になったことを知って、ぜひ受けてみたいと同クリニック院長の橋口一弘医師に申し出た。
舌下免疫療法とは、アレルゲンであるスギ花粉のエキスを舌下(舌の裏)にたらして、からだに少しずつ注入することで、スギ花粉にからだを慣らしていく治療法だ。花粉症の唯一の根本的な治療法で、医師の治療方針の基となる「鼻アレルギー診療ガイドライン(16年版)」では、治療選択肢として記載された。
1日1回投与で、治療開始後1週間は薄めのエキスを、2週目は1週目の10倍の濃度のものを、それぞれ1週間かけて0.2〜1ミリリットルと徐々に増やしていく(増量期)。3週目以降は2週目に使った濃度のものを1ミリリットル投与する(維持期)。投与後2分間保持して飲み込む。5分間は飲食やうがいを控える。投与直後は口の中やのどが腫れるなどの副作用が出やすいため、30分くらいはシャワーや入浴、激しい運動を避ける。徐々にからだを慣らす治療法のため即効性はなく、毎日投与し続ける必要がある。
「通常は花粉の季節を避けた6〜12月に開始します。次のシーズンでは顕著な効果が望めないこともありますが、2シーズン目には7〜8割の人に症状の軽減が期待できます」
と橋口医師は話す。
平田さんは14年10月に舌下免疫療法を開始した。15年の春にはあまり効果がなかったためアレグラを併用したが、16年の春には症状が大きく改善されて、花粉シーズン中に点鼻薬を1本使っただけで内服薬は必要なかった。現在でも投与を続け、今年も症状は出ていないという。
これまでにも免疫療法として、スギ花粉エキスを皮下注射で投与する方法があった。しかし通院が頻回なこと、注射が痛いこと、注射したところが腫れるなどの副作用が起こりやすいことから、敬遠する人が多かった。その点、舌下免疫療法は自分で自宅で投与でき、痛みもない。副作用としてまれに強いアレルギー反応を起こす場合があるが、多くは口内やのどの腫れで、ほとんどはしばらくすると起こらなくなる。
現在のエキスは冷蔵保存が必要で、かつ12歳以上でなければ受けられないが、年内に保険承認が予定されている錠剤タイプのものは常温保存が可能で、出張や旅行にも簡便に持ち運びができるようになるという。さらに、5歳以上から受けられるようになる見込みだ。
舌下免疫療法は、海外では約30年前から実施されているが、日本では保険で受けられるようになってからまだ時間が経っていない。効果やリスクについては、臨床データを集めてさらに詳しく解析するということがこれからの課題だ。
舌下免疫療法は3年以上、続ける必要がある。
「海外の研究では、3年間継続投与すると中断してもその後2年間は再発しないことがわかっています。再発したら再び舌下免疫療法をおこなえば、同じような効果が期待できます」(橋口医師)
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