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医師が教える!男性のための「心と体のアンチエイジング」 (第3回) 突然死を防ぐ!血管年齢を老けさせない8つのポイント 
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投稿者 軽毛 日時 2017 年 1 月 11 日 23:41:23: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

医師が教える!男性のための「心と体のアンチエイジング」
【第3回】 2017年1月11日 阿保義久 [北青山Dクリニック院長]
突然死を防ぐ!血管年齢を老けさせない8つのポイント


血管の病気として、足の深部の静脈に血栓ができると発症する「ロングフライト症候群」がありますが、夜行バスなどではほとんど事例は聞かれません。バスでは細かい振動が常にあるので、血管が刺激されて血栓ができないのではないかと考えられます
「人は血管とともに老いる」。これは今日の医学教育の基礎を築いた内科医ウイリアム・オスラー博士の有名な言葉で、アンチエイジングを語るときしばしば引用されます。人の老化(エイジング)は血管から始まる、とも表現され、体全体のアンチエイジングにおいて「血管のアンチエイジング」が極めて重要であることを意味します。

 生命活動を維持するには、体を構成する約60兆個の細胞に酸素や栄養が行き届き、かつ代謝されたもの(代謝物)や老廃物が回収され続けなければいけません。それら、酸素、栄養物、代謝物、老廃物が絶え間なく行き交う運搬路となるのが血管です。

 血管は心臓をスタート地点に大動脈として始まったあと、中小動脈に枝分かれして径(直径)が小さくなっていき、しまいには径0.01mm未満の毛細血管となります。必要な酸素と栄養物はその毛細血管から滲み出るように各細胞に届けられます。酸素や栄養を受け取った細胞が生命活動において放出する代謝物と老廃物は、静脈を介して回収され、腎臓や肝臓で処理されるなどして再び心臓に戻ります。

 このように体を構成する細胞と血管(動脈と静脈)の仕組みは、人々が住む家と水の供給や汚水処理のパイプラインとなる上下水道のそれに似ています。上下水道がなければ私たちの日常生活が維持できないのと同じように、血管は体中の細胞が問題なく生命活動を続けるために、なくてはならない存在です。

 アンチエイジングの視点でも血管のケアは重要です。全身を網羅して全ての細胞の生命活動を支える血管の機能がエイジングにより低下すると、体中の細胞の活動も低下して全身のエイジングが誘発されるのです。

自覚なしに進む血管のエイジング

 同じ血管でも、動脈と静脈はその構造に違いがあります。いずれも、内側から内膜・中膜・外膜の三層構造ですが、動脈は中膜を構成する平滑筋が発達し弾力に富んで血管の収縮運動が活発です。静脈は、中膜の平滑筋が薄いため柔らかく伸びやすいのが特徴です。静脈の内側には逆流を防ぐ弁があります。この弁は動脈にはありません。

 構造上の違いに加えて、動脈と静脈はエイジングの仕方も異なります。

 動脈が老化すると、心筋梗塞や脳卒中などの命にかかわる代表的な疾患が引き起こされることが知られています。

●動脈硬化のメカニズム

 動脈の老化にはいくつかのステップがあります。まず、本来はツルツルの内膜の細胞が劣化してガサガサな状態になり、平滑筋の弾性力も衰えて硬くなります。硬くなった動脈はしなやかさが失われて血液がスムーズに流れなくなり、血液中の様々な物質が不規則に血管の内膜にぶつかって傷がつきます。そして、傷がついた内膜に血液中のコレステロールや炎症物質などが付着してプラークと呼ばれる粥状の堆積物がつくられます。

 すなわち、動脈の老化は、動脈壁の硬化から始まり、内膜の損傷および内膜へのプラーク形成へと進みます。プラークにより内腔が狭くなると血液が十分に流れなくなり、体の組織が酸素不足や栄養不足に陥ってしまいます。プラークが破れて血栓が発生することもあり、そうなると血管が塞がって血行が完全に遮断されてしまうことがあります。

 一方、静脈の老化は動脈と異なります。静脈の老化によってロングフライト症候群(エコノミークラス症候群)が引き起こされやすくなります。

●静脈老化のメカニズム

 まず、内側にある逆流防止弁が壊れて逆流した血液が血管の中に溜まり、血管が伸びると共に血管の壁を構成する平滑筋が壊れてさらに拡張が進んでいきます。血管が硬くなって内腔が狭くなっていく動脈とは違って、静脈の老化では血管が柔らかく伸びて拡張していきます。脚に血管がボコボコと浮き上る下肢静脈瘤は、このように静脈弁が壊れて静脈の逆流と拡張を来した代表的な疾患です。そして、逆流した血液が拡張した静脈の中によどみ溜まる状態が続くと血液が固まって血栓が作られます。足の深部静脈にできた血栓が肺に飛んで肺梗塞が生じるとロングフライト症候群になります。

 このように、硬く狭くなる動脈と、拡張していく静脈では、エイジングによる形態上の変化は異なります。ところが、最終的に血栓が発症して血流が妨げられ、命に関わる重篤な疾患の発症につながる点では共通しています。

 動脈においても静脈においても、エイジングは静かに進んでいきます。動脈、静脈のエイジングが進んでも自覚症状は全くありません。そして、血栓は予兆なく突然発生し、一度発生した血栓は短時間で成長して血管を完全に閉塞させます。これが、心筋梗塞、脳卒中や肺梗塞が不意に発症する理由で、発症すると死亡や重篤な後遺症にいたるわけです。

 つまり、これら血管のエイジングが原因となる病気にかからないためには、予防が極めて大切です。血管のアンチエイジングは、若々しさを保つだけでなく、突然死や重篤な後遺症に繋がる疾患への対策として最も重視されるのです。

血管年齢は病院で約30分で測れる!

 血管、特に動脈は他の臓器と違って、エイジングの程度を客観的に評価することができます。

 皆さんは肌年齢、骨年齢、免疫年齢など、○○年齢という言葉を聞いたことがありますか?この中で、客観的な評価と年代ごとの基準データが確立されているのは、実は血管(動脈)年齢だけといっても良いでしょう。他の臓器年齢の測定法はまだ確立されたものではありません。

 血管年齢と言われるのは、動脈硬化の度合いを測定して動脈のエイジングが何歳くらいに相当するかを算出したものです。各年代別の平均的な基準値があるため血管年齢は客観的な数値で表現されるので、実年齢と乖離していないか確認できます。

 血管年齢の測定は、血液脈波検査や血管エコー検査など体に負担のかからない簡単な検査で実施できます。所要時間も30分程度なので、40歳を過ぎたら、自分の血管年齢を測定しておくのが良いでしょう。もし、血管年齢が実年齢より進んでしまっていたら、血管のエイジングを防ぐための具体的なアクションを積極的に実践すべきです。それにより血管のエイジングが抑えられれば、理論上は心筋梗塞や脳卒中を完全に予防することができます。

血管年齢が老ける原因と8つの予防法

 ここからは、血管年齢をできる限り若く保つためにできることを紹介します。血管のエイジングは動脈と静脈で異なることをメカニズムと共に前述しましたが、まずはエイジングを促進する、つまり血管年齢を増悪させる原因をお知らせします。

 おさらいになりますが、動脈のエイジングは血管壁の硬化、内膜の損傷およびプラークの形成として現れます。動脈の硬化と内膜損傷は高血圧、プラーク形成は糖尿病と脂質異常症(高コレステロール血症、高中性脂肪血症)または活性酸素ストレスが主因です。

 静脈のエイジングは逆流を防止する弁の破壊、血管の拡張として現れます。これらは血液が粘調でドロドロになったり、炎症が背景にあったりすると引き起こされます。

 上記の高血圧、糖尿病、脂質異常症(高コレステロール血症、高中性脂肪血症)、活性酸素ストレス、脱水、血管内炎症などの状況は病院の血液検査で測ることができます。

 血管年齢が実年齢より高い方はもちろん、そうでない人も血管のエイジングを進めるリスクをもっていないかどうか、年に1回は血液検査で調べておくべきでしょう。

 さて、血管のエイジングを進めるリスクをご理解いただいたら、改善のためには生活習慣の見直しも必要です。

●動脈のアンチエイジング

 動脈のアンチエイジングでは、高血圧、脂質異常や糖尿病などの生活習慣の管理が必要不可欠になります。

 高血圧の予防には、塩分を控える、睡眠時間を確保する、禁煙する、ストレスを溜めない、適度な運動の維持が大切です。

 脂質異常症や糖尿病の予防には、肥満を避ける、食べ過ぎない、運動不足にならないことが大切です。

 本態性高血圧の人、遺伝的に高血糖や脂質異常をきたしやすい人は、生活管理だけでは改善が難しいので投薬治療を受けることも必要になります。

●静脈のアンチエイジング

 静脈は動脈と違い、高血圧、脂質異常症や糖尿病はエイジングと特に関連性はありません。その代わり、静脈のアンチエイジングには、弁が壊れないようにすること、血管が極端に拡張しないようにすること、そして血液が血管内に溜まらないようにすることが大切です。

 まず、水分を十分に摂取して脱水にならないことが必要です。血液が粘調でドロドロになって静脈内の逆流防止弁に負荷がかからないようにするためです。

 また、ウオーキングや深呼吸を心掛けましょう。静脈内の圧力が大きくなると血管が拡張しやすくなります。圧力を抑えて血液がスムーズに流れるようにするには特に足の筋肉のポンプ力が必要で、同時に深呼吸が心臓に血液がもどってくるのを助けてくれます。

 長時間の立ちっぱなしやロングフライトで座りっぱなしの時などは、適度な圧のかかる靴下やストッキングを利用するのも良いでしょう。また、喫煙習慣に加えて、歯周病が血管炎や血栓症を誘発することも昨今わかってきたので、歯の手入れも怠らないようにすべきです。

 以上、血管のアンチエイジングは、8つのポイントにまとめられます。

(1)塩分摂取を控える
(2)睡眠時間を確保する
(3)禁煙する
(4)ストレスを溜めない
(5)食べ過ぎて肥満にならない
(6)水分を十分に摂取する
(7)ウォーキングや深呼吸などの適度な運動を維持する
(8)歯周病のケアを心がける

 ということです。

 その中でも、運動は血管のエイジング予防に加えて急増する高齢者の認知症やフレイル(虚弱)の予防にも極めて有効であることがわかっています。毎日20分程度早めの歩行をするなど、ある程度の負荷がかかる運動を40代から習慣づけると、血管をずっと若々しく保つことができるのです。

 特に40〜65歳の間は、しっかりとリスク管理をして、高齢になって薬漬けにならずに済むだけでなく健康寿命を伸ばせるよう心掛けていきましょう。

(北青山Dクリニック院長 阿保義久)
http://diamond.jp/articles/-/113739  

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