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植物性なら安心なんて大ウソ!生活習慣病には「サラダ油」が一番危険
知っておきたい油分の新常識
週刊現代
健康に気を遣っていても、意外と油には無頓着な人も多い。単に油ものを控えるだけではダメ。大切なのは油の量ではなく、油の「質」だった。油を替えれば、あなたの健康寿命はもっと延びる。
毒を食べているようなもの
「サラダ油=植物性油はヘルシーで健康にいい」――いまだにそう思っている人は多い。しかし、「実はそれは大きな間違いだ」と語るのは東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎氏だ。
「動物性脂肪を減らして植物油を使うとよい、というのは過去の医療界の常識でした。『リノール酸は必須脂肪酸であり、体によい』と、サラダ油などの植物油メーカーは、リノール酸を豊富に含むことを声高に喧伝してきました。
しかし実は、サラダ油に含まれるこのリノール酸の過剰摂取こそが、心筋梗塞やアトピーをはじめとするアレルギー症状、うつ病、さらにはがんなど様々な病気を引き起こす原因となっているのです」
リノール酸は「必須脂肪酸」と呼ばれ、人間の体内では合成できないので、食事によって摂取するしかない。そのため以前はなるべく摂ったほうがいいとされた。しかし現代では、逆に過剰摂取が様々な病気を引き起こすことがわかっている。
サラダ油の原材料は、紅花(サフラワー)、ぶどう(グレープシード)、大豆、ひまわり、綿実、菜種、ごま、米、とうもろこしの9種類で、そのうちのいずれかが使われている。それらすべてにリノール酸が含まれている。
さらにリノール酸を200℃前後に加熱すると『ヒドロキシノネナール』という毒素が発生し、これが脳内神経の死をもたらし、アルツハイマー型認知症を引き起こすと言われている。
「植物油に多く含まれるオメガ6脂肪酸(リノール酸やアラキドン酸)などを過剰に摂取していると、体内に炎症が不必要に起きます。そのため高血圧症や糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病も起こりやすくなる。
また、オメガ6脂肪酸には血液を凝固させる作用があるので、血液がドロドロになり、血管内に血の塊(血栓)ができ、心筋梗塞や脳卒中を起こす危険性が高まります」(前出の藤田氏)
日本脂質安全性協議会理事長の奥山治美氏も続ける。
「本来、人間に必要なリノール酸の量は9g前後と言われていますが、このくらいの量は肉、卵、米、麦といった主食の中に含まれています。ですから、あえて植物性油から摂る必要はないんです」
植物性油の中でもよく使われる菜種油(キャノーラ油)は、リノール酸が少ないので、問題なさそうだが、実は別の危険要素があるという。白澤抗加齢医学研究所の白澤卓二氏が語る。
「キャノーラ油の原料となる菜種のほとんどはカナダから輸入されていて、その菜種は遺伝子組み換えされた品種が使用されています。遺伝子組み換え作物を長年食べ続けたら、細胞にどのような影響を及ぼすか分かっておらず、安全とは言い切れません」
フランスのある実験では、遺伝子組み換えトウモロコシを食べたラットに、早期がんが発見されたという研究も報告されている。
腸に穴があく
早速キッチンにあるサラダ油を替えようと思った人もいるだろうが、これだけでは、健康対策として十分ではない。
なぜならサラダ油は、市販の菓子パン、スナック菓子、インスタントラーメン、ケーキなど様々な加工食品に含まれているからだ。
「たとえばコーヒーフレッシュがそうです。あれはミルクではありません。植物油と添加物でできた加工食品です。ですから安価で腐ることもなく、長期保存も可能なのです。ホイップクリームも同様。箱の原材料表示にはしっかりと『植物油脂』と書かれています。
また市販のラクトアイスに含まれる植物性のパーム油には『BHA』や『3−MCP』など発がん性のある酸化防止剤が入っているので、摂らないに越したことはありません」(前出の奥山氏)
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これら植物性油の中でも特に危険なのが水素添加した植物油だ。マーガリンやショートニング、ファットスプレッドなどがそれに当たり、多くの加工食品にも含まれる。
植物油を固形にするため水素添加する際に発生するのがトランス脂肪酸である。心筋梗塞などのリスクが上昇するため、海外では禁止の方向に進んでいる。
2年間、車の中に放置されていたフライドポテトが、見た目には何の変化もなかったという例もあるように、トランス脂肪酸は分解されにくく、腐りにくい。そのため別名「食べるプラスチック」とも呼ばれている。
「こうしたトランス脂肪酸が腸に入ってくると、消化ができず、ダメージが蓄積されます。そうすると腸粘膜に細かな穴があく『リーキーガット症候群』を起こします。この症状を抱える人が今、増えている」(前出の藤田氏)
近年、そのトランス脂肪酸より有害だと言われている油がある。
「それがトランス脂肪酸と同時に副生される『ジヒドロ型ビタミンK1』です。心筋梗塞のほか、脳卒中、糖尿病腎症、骨粗鬆症などを引き起こす、人間が人工的に作り出した『最悪の油』です」(前出の奥村氏)
ただ誤解してはいけないのは、「油をやめてノンオイルの生活に変えればいい」というわけではない。油は人間の体を作る上で欠かせない栄養素である。そのため、極端に油をカットすれば健康に悪影響が出る危険性があるのだ。
「油は体内でエネルギー源となるだけでなく、細胞を保護し、脳や全身の神経、ホルモンの働きもサポートする。油に悪いイメージを持っている人もいますが、神経細胞をスムーズに動かすには、油が必要不可欠なんです」(前出の白澤氏)
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オリーブオイルの偽物に注意
では積極的に摂ったほうがいい「良い油」にはどんなものがあるのか。前出の奥山氏は、バターやラードなどの動物性油がいいと言う。
「マーガリンよりバターを使ったほうが望ましい。よくコレステロールは悪だと言われますがそれは間違いです。コレステロールは体を作る上で必要な要素で、高齢者ほどしっかり摂るべきです。
学問的、科学的にいえば、『植物性油より動物性油のほうがいい』という趣旨の論文はたくさん出ています。しかし、どうしてもこれが広がらない。
それはなぜか。
植物性油のほうがコストが安いので、企業側は『サラダ油は体にいい』と勧めてくるからです。中には『コレステロールが気になる人におすすめ』と謳った商品がありますが、消費者を騙しているとしか言えないですよね」
前出の藤田氏は、良い油としてオメガ3を多く含む「亜麻仁油とえごま油」も推奨する。
「オメガ6の量が増えると、がん細胞の発生数が異常に増え、免疫細胞が排除しきれません。生き延びたがん細胞は、長い期間をかけて腫瘍へと成長していきます。
反対にオメガ3を毎日摂っておくと、体内の炎症が抑えられ、血流がよくなり、免疫機能も活性化する。一日大さじ1杯の亜麻仁油が、がんや心臓疾患を防ぐのです」
亜麻仁油は加熱調理に向いていないので、塩やポン酢と混ぜ合わせて、ドレッシングにして食べるのがいい。
さらに「魚油」と呼ばれるイワシやサバなどの魚の油もEPAやDHAなどのオメガ3が豊富で、サプリメントとしても販売されている。
では、「良い油」の代表格としてよく知られるオリーブオイルはどうか。
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日本オリーブオイルソムリエ協会の理事長である多田俊哉氏が語る。
「最高品質のエキストラ・バージン・オリーブオイル(EVOO)には、オレイン酸(オメガ9)やポリフェノール類が油脂としては多量に含まれており、人体の老化に繋がる酸化を防ぎます。
しかし、実は日本で流通している安価なオリーブオイルの大半は、欠陥品(偽装品)なのです。イタリアやスペインの輸入品の多くは、植物性油などの混ぜ物が使われていることも多い。ひどいケースだと保管中にカビが生え、腐ったオリーブから搾油したオイルも出回っています。
なぜそんなことが起こるのかというと、オリーブオイルの品質規格を決める国際オリーブ協会の理事会の品質基準が緩く、また運用するEU各国のチェック体制が極めて杜撰で、生産国以外の第3機関によるチェックも行われていないからです」
当然偽装されたオリーブオイルでは本来の健康効果は期待できない。では本物をいかにして見分ければ良いのか。
「値段が高いからといって本物とは限りません。酸化を防ぐため、遮光瓶や缶に入っていること、生産者の名前がはっきり明記されているかも見極めのポイント。
一番確実なのは、オリーブオイルソムリエ®のいる専門店で買うか、インターネットで日本のオリーブオイルコンテストで受賞したものを取り寄せるのがいいと思います」(多田氏)
良質な油を見極める――それが万病の元を絶ち、健康寿命を延ばすことにつながる。
「週刊現代」2016年12月17日号より
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