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フットケアの重要性が、一般にも広まりつつある (※写真はイメージ)
足切断にならないために! 糖尿病治療とともに始めたいフットケア〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161208-00000304-sasahi-hlth
週刊朝日 2016年12月16日号より抜粋
高血糖の状態が続き、初期には足の痛みや感覚麻痺などが起こる糖尿病神経障害。近年、生じる痛みを軽減する薬が増えてきた。細菌感染からの壊疽(えそ)を防ぐ、フットケアの重要性も一般に広まりつつある。
糖尿病は血糖値を下げるインスリンというホルモンの分泌量が低下したり(インスリン分泌不全)、インスリンの働きが悪くなったり(インスリン抵抗性)することで発症する。高血糖状態が長く続くと、全身の血管が障害を受けて、からだのあちこちに合併症が現れる。
糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害を3大合併症という。進行すると網膜症は失明し、腎症は人工透析が必要となる。神経障害は足の切断などの危険がある。
千葉県在住の橋本恵美子さん(仮名・45歳)は昨年、会社の健康診断で糖尿病と診断され、自宅近くのクリニックに通院し、食事療法の指導を受けていた。
しかし3カ月が経ったころ、寝ているときに足がしびれることが何度もあったため、主治医に相談。すると糖尿病神経障害と診断され、経口の治療薬キネダックを処方された。
2カ月間、薬を服用したが橋本さんの症状は改善しなかった。さらに夜、布団に入ると足先に痛みを感じるようになり、熟睡できない。そこで勤務先近くの東京慈恵会医科大学病院の糖尿病・代謝・内分泌内科を受診した。橋本さんを診察した診療部長の宇都宮一典医師は次のように話す。
「橋本さんが処方されたキネダックは神経障害を起こす原因物質と考えられている『ソルビトール』の産生を抑えることで、症状を改善します。キネダックは神経障害の症状が現れたときに使う第一選択薬です。糖尿病神経障害の原因にアプローチするこの薬で効果が不十分な場合は、痛みそのものを軽減する薬を処方します」
糖尿病神経障害はおもに、手足の末端に痛みを感じる多発性神経障害と、下痢・便秘を繰り返す消化器症状やめまい、発汗障害、EDなどが現れる自律神経障害の二つに分けられる。多発性神経障害の場合、からだのすみずみまで伸びている末梢神経からダメージを受けるという原則があり、橋本さんのように足から、しかも両足同時に症状が現れるのが特徴だ。足先から始まった違和感や痛みは、やがて手の末端にも出る。まれに、胸部や腹部に痛みを感じることもある。
糖尿病神経障害の痛みに対して、最近よく処方されるようになったのがリリカやサインバルタなどの鎮痛剤だ。ただし、この2種は、痛みを抑えるメカニズムが異なっている。
「たとえば足先を踏まれた場合、その刺激が神経を伝って脳に届けられて初めて、私たちは“痛い”と感じます。この痛みの刺激が脳に伝わるのをブロックするのがリリカです。また強い痛みを感じたとき、脳から脊髄に痛みを抑える神経が作動します。サインバルタはこの痛みを抑制する神経を脊髄レベルで刺激して、痛みを感じにくくする働きがあります」(宇都宮医師)
これらの薬は整形外科で慢性腰痛の治療でもよく処方される。しかし人によって、眠気やめまいなどの副作用が出ることがある。
「リリカとサインバルタは、少量ずつ使って副作用の出方を見ながら、適切な量を決めます。副作用が出るかどうか、どの程度出るかなどは人によって異なるので、場合によっては併用しても構いません。サインバルタはもともと抗うつ剤として開発された薬です。橋本さんは足の痛みで眠れない日々が続き、少し気持ちも落ち込んでいるようだったので、サインバルタを処方しました」(同)
サインバルタを飲み始めた翌日から、橋本さんの足の症状は軽減し、睡眠もしっかりとれるようになった。1カ月経った現在は、薬の服用をやめているが、症状は悪化していないという。
なお、リリカやサインバルタで痛みが軽減しない場合は、トラマドールという鎮痛剤を使うこともある。トラマドールは痛みが脳に伝わるのを抑える、脳から出る痛みを抑える神経を活性化するという両方の作用を持っている。
「三つとも神経障害の痛みによく効く薬です。しかし薬で痛みが治まればいいというものではありません。いちばん大事なのは、糖尿病神経障害を引き起こす原因である糖尿病を改善することです。神経障害が初期であれば、血糖コントロールで症状は解消します。糖尿病神経障害があるから薬を使うのではなく、しびれや痛みで日常生活に支障がある場合のみ薬を使う、というのが基本的な考え方です」(同)
糖尿病神経障害は3大合併症の中で最も起こる割合が高く、しかも早期に現れる。一般的に高血糖状態が数年続くと、糖尿病神経障害が現れるといわれている。
川口市立医療センター糖尿病内分泌内科副部長の金澤康医師は次のように話す。
「高血糖による神経障害は糖尿病と診断される前から、すでに始まっていると考えられています」
糖尿病神経障害の代表的な症状は足のしびれ、ジンジン、ピリピリ、チクチクするといった痛み、足の裏に薄紙が貼り付いているような違和感、冷感だ。
しかし、こうした自覚症状があるのは患者の60%ぐらいで、糖尿病神経障害があることに気づいていない患者も多い。
「足の痛みなど症状があっても、それが糖尿病と関係があるとわからず、放置している人も少なくありません。しびれや痛みなどは、障害を受けた神経が再生しようとしているという証拠です。しかし、神経の再生が、壊されるスピードに追いつかず神経障害が進んでしまうと、神経が荒廃して痛みなどを全く感じなくなってしまいます」(金澤医師)
痛みなどを感じにくい感覚鈍麻という状態になると足が傷ついても気づかないことが多い。その結果、手当てが遅れたり、菌感染を起こしたりして、潰瘍や壊疽になることもある。壊疽は治りにくく、足を切断せざるをえないこともある。
そこで最近は足の病変を早期に見つけ、適切なケア・治療をおこなうことを目的に、フットケアに力を入れる施設も増えている。金澤医師はこう話す。
「私は痛み、しびれなどの神経障害の症状を訴える患者を診るときは、必ず靴下を脱いでもらいます。そして、足にトラブルがないかを確認します」
糖尿病神経障害を見つけるための検査や、フットケアをおこなうのは時間も手間もかかる。そのため残念ながら、外来でこれらが十分に実施されている医療機関は少ない。多くの糖尿病神経障害が見逃されているのが現状だ。
「ですから糖尿病と診断されたら、神経障害によるトラブルを早期発見するため、神経症状がなくても毎日足の状態を自分でチェックしましょう。入浴前に自分の足に触れて、足の感覚が鈍っていないかどうかを確認してください。また、自分で気が付いていないうちに足の裏や足の指の間に傷やまめ、たこ、靴擦れなどができていないかを見ましょう」(同)
そして気になる症状が見つかったら、“これは糖尿病とは関係ないだろう”と自分で決めつけず、主治医に伝えて判断を仰ぐことが重要だ。
「一般的には血糖を良好にコントロールすることで末梢神経は再生しやすいと考えられています。しかし障害が重度になるとそれも難しくなります。また軽症でも、障害を受ける前と全く同じ状態の神経に再生するわけではなく、症状は軽減しても消失が望めないこともあります。ですから糖尿病だとわかったら、まず食事療法、運動療法、薬物療法などをしっかりして血糖コントロールを心がけて、神経をできるだけ壊さないように努力してください」(同)
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