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10年後に「消えている会社/生き残っている会社」 363社全実名 就活サイトではわからない
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50713
2017.01.16 週刊現代 :現代ビジネス
10年後、日本の業界地図は大きく塗り替わっている――。識者たちはそう口をそろえる。IT化や人口減少に対応できなければ、大企業でも滅びる時代は目前だが、本当に「強い」企業は何が違うのか。
■EVと自動運転がカギに
今まさに「地殻変動」の予兆を感じさせるのが、自動車業界だ。今後は「EV(電気自動車)化」と「自動運転」が一気に進んでいく。
すでに世界ではテスラモーターズやメルセデス・ベンツなどが先陣を切って市場を開拓しているが、日本の各メーカーも開発に躍起になっている。
そのようななか、業界を長らくリードしてきたトヨタよりも日産のほうが今回の調査(76〜82ページの表参照、◎を2点、〇を1点とした)では高い評価を得た。
ファイブスター投信投資顧問取締役運用部長の大木昌光氏は語る。
「自動車業界は今後、ハイブリッド車やEV、燃料電池車に加えて自動運転がどこまで進むかが焦点となります。『大量生産』でスケールメリットを追求するトヨタのような企業だと、技術革新に遅れてしまうかもしれません。
今後EVや自動運転が浸透して、車が『スマホ』のように人間により身近なものになると、部品を供給するサプライチェーンを柔軟に組み替えられる企業のほうが強い。日産はルノーとの提携もあり、グローバルにサプライチェーンを組み替えられる強みがあります」
これまでのガソリンエンジンから充電式の電池に代わり、自動運転にはセンサーや電子ディスプレイが不可欠。この構造変化に順応できない企業は苦しくなっていく。
「ガソリンエンジンまわりの部品を作るカルソニックカンセイは、EVにシフトした日産に売却され今後が危うい。今後自動車部品ではインパネにも強いデンソーの『一強』時代が到来します。
またパイオニアなどのカーナビ業界もグーグルが開発するナビ機能に取って代わられるため、先行きは明るくありません」(明治大学国際日本学部教授の小笠原泰氏)
元カルビー社長の中田康雄氏も「自動車産業は今後10年で最も注目すべき業界になる」と指摘する。
「EV化と自動運転という2つの転機は、関連する産業にも大きな影響を及ぼします。まず、EVが普及すればするほどセンサーの開発が求められます。たとえばタイヤ業界では、空気圧センサーや劣化センサーの開発が雌雄を決する。これに対応できるのはブリヂストンくらいでしょう」
ただし、技術革新の期待の高まりに伴って、今後自動車の販売台数がハネ上がっていくかというとそうもいかない。
「会員間で特定の自動車を共同使用する『カーシェア』が進み、『自動タクシー』が登場すれば、車は移動のためだけの乗り物になり、売り上げは激減する。自動車メーカーはこの自動タクシーを使った『サービス業者』へ変貌していく可能性があります」(前出・小笠原氏)
セゾン投信代表取締役社長の中野晴啓氏も次のように評価する。
「タイムズ24が始めているカーシェアは、世界にはない日本ならではの発想です。現代の消費動向をいち早くとらえていて、発展途上国へのノウハウ輸出も期待できます」
■銀行の勢力図は激変する
金融業界はテクノロジー化により、この10年で勢力図を一変させることになる。ITを駆使して新しい金融サービスを作る「フィンテック」が今後加速度的に我々の生活に浸透していくからだ。
たとえばAI(人工知能)を使って新しい小口融資の需要を掘り起こしたり、独自の仮想通貨を生み出したりすることができるようになる。
「10年経つと、『箱物』としての銀行の持つ意味はほとんどなくなるでしょう。今銀行が持っている最大の強みは『決済機能』ですが、これは仮想通貨の『ビットコイン』が普及すれば必要なくなる。新規参入のセブン銀行も同様の立場です。
また電子マネー決済などが進めば、クレジットカードも要らなくなる。クレディセゾンのようなカード業界は、ネット上でカードと同様の決済代行サービスを提供するマネーフォワードのようなフィンテック企業と競合すれば日本での顧客を減らすことになる」(前出・中野氏)
我々の消費動向を大きく変えるのは、目前に迫る「人口減少」の波である。2025年には「団塊の世代」全員が75歳以上の後期高齢者になる。この世代を対象にした商品の開発、いわゆる「シルバーマーケット」への参入を各業界は目論んでいるが――。
慶應義塾大学大学院特別招聘教授の夏野剛氏は語る。
「シルバーマーケットに注力する企業も多いですが、そもそもこの世代はたくさんのおカネを使ってくれるわけではありません。そういった意味で、高齢者層からの投融資を狙うみずほFG、三井住友FG、三菱UFJFGの3メガバンクに代表される銀行業界は縮小していく可能性がある。
同様に、かんぽ生命やソニー生命のような生保業界や、視聴者が高齢者層に多い放送業界も今後厳しい状況に追い込まれます」
■ヤマトの武器は客との接点
今回、唯一全識者から「◎」と満点の評価を受けたのは繊維メーカーの東レだ。テクノロジー化のなかで「斜陽」とも言われる繊維業界だが、東レは独自の強みを持つ。
「東レは炭素繊維の技術を持ち、すでに製品として実用化しています。炭素繊維は軽いうえに非常に丈夫な素材で、ガソリンエンジンよりも重いバッテリーを積まなければならないEVには不可欠な素材です。今後自動車業界でEV化が進めば、東レの需要はさらに拡大していくでしょう。
それだけでなく、東レは廃水や海水をろ過する『膜』の技術を持っている。将来的に訪れる水不足にも対応できる企業です」(前出・中田氏)
東レと同様に、「水」にグローバルな商機を見出すメーカーは多い。
「サントリーは、森林を整備することで良質な水を確保してきた。今その水で作った高級ウイスキーを海外で売り出そうと模索していますが、この水自体もまた海外向けの製品になりえます」(前出・中田氏)
東レの次に評価が高かったのはコマツと、運輸業界のヤマトHDだ。
「建設機械のコマツはブランドネームとシェアをしっかりと世界で確保し、他社にリードを取っています」(前出・夏野氏)
一橋大学大学院国際企業戦略研究科特任教授の名和高司氏は語る。
「ヤマトは地域に特化した宅配員が、顧客との接点を濃く作っている。大事なものは『ヤマトに預けたい』と思わせるほどのサービスです。しっかりとした社員教育ができている会社は、今後業界でドローンや自動運転などの技術革新があっても、柔軟に対応する力を持っています」
■第四次産業革命が起きる
同率4位に入ったのは電機業界のダイキン工業と警備保障のセコム。電機メーカーではシャープなど日本を支えてきた企業が評価を落とすなか、ダイキンの産業用の冷暖房空調機は世界トップ級。その「海外進出力」に注目する向きは多い。
「高温多湿で気温差も大きい環境で、日本の空調メーカーは世界に通用する技術を磨いてきた。ダイキンの製品は世界で認められ、シェアもあるのが高評価」(前出・夏野氏)
警備保障最大手のセコムは、モノやサービスがインターネットとつながって管理されるIoT(Internet of Things)を使い、さらなる商機を模索している。
UWiN代表取締役兼CEOの中根滋氏は語る。
「今のセコムは、監視カメラで見守り、窓が開いていれば報知してくれる、というのが基本的なスタイル。IoTが導入されれば、そのうち表玄関を閉めれば自動的に家のすべての窓やカギが閉まるようになっていきます」
IoTはモノやサービスがネットにつながることを指すが、これに並行して「インダストリー4・0(第四次産業革命)」と呼ばれる産業構造の転換も起こっていく。すべての生産ラインがネットでつながり、効率的な生産を促すようになる。
また、顧客から得た情報をAIが分析し、最適な商品はなにかを即座に割り出し製造できるようになる。
すなわち、ただモノを作って売れるのを待つようでは「生き残る」ことはできない。日本企業は業界や国境の壁を越え、存亡を懸けた「仁義なき戦い」に突入する。
■「大淘汰時代」の始まり
では、「強い」企業の条件とはなんなのか――。
「成長する企業は、ビジネスとしての基軸を持ちながらも、時代の変化にうまく対応できる企業です。たとえば大和ハウスは住宅の一大ブランドとなっているうえに、賃貸住宅などデベロッパー業にも力を入れ始めています。
また化粧品の花王は卓越した化学のノウハウを生かして、最近は健康食品やサプリメントにも事業を展開しています」(前出・名和氏)
前出・夏野氏は「海外に市場を切り開いていける企業は生き残ることができる」と指摘する。
「たとえば良品計画はニューヨークやロンドンに進出していますが、決して『安くない』価格帯でのブランド展開が功を奏しています。また旭硝子は今後発展途上国のビル需要の高まりでさらに成長する兆しがある」
京都大学産官学連携本部客員准教授の瀧本哲史氏も、海外進出に強みを持つ企業について語る。
「衛生用品でシェアを伸ばすユニ・チャームやアメリカに工場を持っている信越化学工業、世界に日本の高いプラント技術を知らしめた日揮のような企業はグローバルな展開が成功している。逆に日本のローカルに依存したままの企業は厳しい」
既存のビジネスモデルや顧客に頼りきりの商売をしていれば、どんな「巨大企業」でも傾く時代に突入する。だから業界ナンバーワンの座が、ものの2〜3年で取って代わられる――。そんなことが起きてもおかしくない。
前出・中野氏は10年後の日本経済について、「『業界再編』が進むのは必至だ」と語る。
「日本の上場企業は約3600社と多く、今後多くの会社が淘汰されていくでしょう。日本企業は様々なノウハウや技術を持っていますが、これを活かせるかどうかは経営者にかかっています。
フィルム業界で商売の幅が広げられなかったコダックが潰れて、化粧品などで成功した富士フイルムが生き残ったように、新しい商機を見出した企業が『勝つ』時代が来ます。
まだまだ成長が見込める海外には競争の場があります。そこで勝ち抜くには、グローバルなスケールを持っていることが重要。そのためには、M&Aなどで業界再編されていくことが必要です」
超有名企業もこれからは悠長な経営をしていられない。新しい時代の流れに乗った企業だけが「残る」時代に突入するのだ。
【表の見方】
日本の主要企業363社の中から、「10年後に絶対に生き残っている会社」「おそらく生き残っていると思われる会社」を識者に選んでもらい、それぞれに◎、○をつけてもらった。表の「点数」は◎を2点、○を1点として計算した合計値
※A:大木昌光氏 B:小笠原泰氏 C:瀧本哲史氏 D:中田康雄氏
E:中根滋氏 F:中野晴啓氏 G:夏野剛氏 H:名和高司氏
「週刊現代」2017年1月14日・1月21日合併号より
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