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低金利時代に「リスクなし」でお金を増やすなら、オススメはこの一択 手数料稼ぎの商品に目を向けるな!
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50709
2017.01.15 山崎 元 経済評論家 現代ビジネス
■好利回りを警戒せよ!
個人も法人も、現在、お金を扱う上で最も重要なのは、「低金利」といかに付き合うかだろう。
長期金利(10年国債の流通利回り)は現在一時の利回りマイナス状態をわずかに脱しているが、「ほぼゼロ」の状態だ。
預金金利は、メガバンクにあっては普通預金から10年の定期預金に至るまで、0%から0.01%のレンジに収まるような案配だ。0.01%とは、100万円預けて1年間で100円の利息という計算であり、さらにこれに税金がかかるのだ。
個人にあっては、低金利の環境下で預金や国債など確実な手段ではお金が増えないことに苛立って、わずかな利回り差を求めてリスクのある社債投資に走ったり、元本にリスクがありかつ手数料が高いのに、分配金の利回りに釣られて毎月分配型の投資信託を買ったりしないことが肝要だ。
社債は、時に利回りが魅力的に見えることもあるが、発行企業に債務不履行のリスクがあるゆえに利回りが高いのであって、実際に提示される利回りがそのリスクに十分見合うレベルなのかが重要だ。しかし、個人の情報と判断力では、その判断がつかないのが現実だ。
もっとも、社債は、発行条件が魅力的であれば、機関投資家(有利な運用対象がなくて困っている)が争うように買っていくので、わざわざ金額が小口で販売に手間の掛かる個人相手に販売されることはない。
そもそも、個人向けに販売されている時点でダメなのだ。止めた方がいい、と申し上げておく。
また、資金の貸しを見つけることの困難と貸出金利の低下による利ざやの縮小に悩む銀行が、手数料収入の獲得を目指して手数料の高い投資信託の販売に力を入れていることは、現在、個人にとっては「低金利の最大の弊害」と言っていいかもしれない。
1月16日の『日本経済新聞』には、関東某県の地元大手銀行が、業務粗利益全体に占める手数料による利益(役務取引等粗利益)の比率が現在14%台であるものを、2020年3月期を目処に30%に引き上げたいとの方針を持っていることが報じられていた。
特に、かつて年間数%の利回りがあった時代(1990年代前半以前)を知っている高齢者は、分配金や利息・配当のような「インカム収入」を欲しがる傾向もあって、金融機関の営業ターゲットにされやすい。
低金利時代の心構えとして、最も重要なのは、逆説的に聞こえるかもしれないが、「ほどほどの利回り」に釣られないことだろう。
まず、「好利回りを警戒せよ!」と申し上げておく。
■個人向け国債「変動10」の3つの利点
それでは、「一見、好利回り」を警戒できるようになったとして、低金利下で、どう運用するといいのかと言えば、リスクを取らずに運用したいとすると、「個人向け国債変動金利型10年満期」(財務省ホームページでは略称「変動10」)が圧倒的にいい。
利点は三つある。
第一に、国が支払いを保証する国債なので、銀行預金よりも安全である。預金も「一人、一行、一千万円」までの範囲内であれば預金保険によって元本と利息が保護されるが、この範囲を超えたお金の置き場所としては、個人向け国債がいい。
現時点で、ただちに不安な銀行の名前が上がるわけではないが(注:筆者が知らないだけなので、すっかり安心はしないで欲しい)、現在の銀行は、資金運用難からリスクを抱え込んで利回りを稼ごうとしている可能性があり、金融環境の少々の変化で経営がおかしくなる銀行が出てきても不思議ではない状況になっている。
特に、インフレ目標が達成されて、日銀の国債買い入れが終わって長期金利が自由に動くようになった場合の金融機関の経営には、相当の不確実性があるとみなければならないだろう。
個人向け国債「変動10」の第二の利点は、将来金利が上昇した場合への対応力だ。
この商品は、半年に一度、長期金利の66%で決定される金利が支払われる変動金利商品だ。例えば、長期金利が3%に上昇すれば、年率2%のクーポンが支払われる。その時点で「最高!」ではないかもしれないが、「無難以上」ではあり続けるだろう。
また、直近のクーポン2回分で元本を100%払い戻すことができるので、1年以上持つと元本割れしないし、お金が必要になった場合にも対応できる。
現在、日銀は、長期金利を「0%近辺」にコントロールする政策を行っており、日銀は同時に物価上昇率が2%を十分超えるまで金融緩和を止めないことを宣言しているので、長期金利(ほぼ)ゼロ状態は長期化する可能性がある。
だが、これは物価上昇率が2%を超えた場合に、長期金利の急激な変動が起こりうるということでもあるので、投資家も企業も金融機関も「金利上昇への対策」ということは、常に頭の片隅に置いておく必要がある。
個人向け国債「変動10」の、現時点で第三のメリットは、変動金利の下限として設定されている年率0.05%(税引き前)が、銀行の預金金利や長期国債の利回りなどと比較して有利になっていることだ。
「変動10」は、昨年の日銀のマイナス金利政策採用後に起こった現象だが、「安全」で「金利上昇に強い」という二つのメリットだけでも非常に優れた商品だったのだが、現在、利回りまで有利な商品になったということなのだ。
なお、預金金利については、ネット銀行を含む一部の銀行が、定期預金で0.1%から0.2%くらいの金利を提供している場合があるので、「利回りマニア」が預金保険の範囲内でこれを利用することは悪くないと、筆者も考えている。
しかし、一つには個人向け国債「変動10」が極めて優秀かつ無難で扱い易いことと、もう一つには、銀行の普通預金は利便性に優れている上に、他の商品の金利が低いために相対的な地位が向上しており(経済学用語で言うなら「機会費用」が安いために)、普通預金にお金を置くことが「もったいなくない」状況にあることから、「普通の個人」はリスクを取らない運用としては、個人向け国債の「変動10」と普通預金だけを覚えておけばいい、というのが筆者の意見だ。
普通の生活者は「無難で、シンプル」な方法を覚えておくだけで十分だ。「より得な物がある」と言われると気になるかも知れないが、仮に少々得な物があるとしてもその差が小さいのが低金利時代の特徴なのだ。
■余計なものに目を向けないこと
リスクを取る運用についても簡単に触れておこう。
リスクを取る運用の対象は、内外の株式のインデックスファンドで手数料の安い物を一つずつ知っておくだけでいいだろう。
国内株式については、TOPIX連動型のETF(上場型投資信託)の運用管理手数料が安いが、積立投資など少額の売買の場合通常の投資信託で「ノーロード」と呼ばれる販売手数料がゼロのもので、運用管理手数料が年率0.2%以下のものを利用するといいだろう。
外国株式は先進国株式の株価指数(MSCI-KOKUSAIなど)に連動するインデックスファンドで0.2%台前半くらいの運用管理手数料のものを選んで投資するといい。もちろん、ノーロードのものを選ぶのが常識だ。
外貨預金はリスクの割に期待できるリターンが大きくないし、利用の際に掛かる手数料が高いのでお勧めしない。外国債券も同様である。円安になった場合は、外国株式と、さらに国内株式も利益が出る傾向があるので、外貨預金・外債を持つには及ばない。
日本円が低金利の場合、外貨の利回りで投資家を釣るのは金融機関の常套手段だ。実質的な手数料が高い劣悪商品としては、年金保険や終身保険など貯蓄性の保険で外貨建てのもの(豪ドル建てなど)があるが、これも避けた方がいい。金融機関が手数料稼ぎのために、熱心に売ることがあるので注意しよう。
筆者としては、自分の商売(運用に関する評論・コンサルティングなど)にとって不都合な話なのだが、低金利時代の現在、個人が知っておくべき運用商品は、内外の株式インデックスファンドと個人向け国債「変動10」の三つだけで十分だと本音を申し上げておく。
低金利時代は、手数料稼ぎのための運用商品の販売に金融機関が力を入れる「危険な時代」だ。余計なものに目を向けないのが、現実的な知恵である。
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