http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/776.html
Tweet |
菊池英博<特別寄稿> トランプの真意わからぬ日本メディア 日本はトランプ政策をわかっていない
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/197294
2017年1月12日 日刊ゲンダイ
キーワードは地産地消(C)AP
新年早々1月5日に、アメリカのトランプ次期大統領がトヨタ自動車を名指しで批判した。
「トヨタ自動車がアメリカ向けにカローラを生産するためにメキシコに新しい工場を造るといった。とんでもないことだ。アメリカ国内に工場を造らないなら、高い関税を払うべきだ」とツイッターに書き込んだのである。
トヨタはメキシコに新しい工場を建設することを2015年4月に発表し、2019年に稼働を目指して昨年11月に起工式を終えたばかりだ。トランプの発言に先立って豊田章男社長は5日、都内で「工場建設をひとたび決めた以上は、雇用と地域への責任がある」と述べ、計画見直しの必要はないとの考えを表明していた。
トランプのツイッターに慌てたトヨタは、「メキシコの工場はアメリカから移転するものではなく、新たに造るものであって、現在のアメリカ国内の生産規模や雇用が減ることはない。トヨタ自動車は、アメリカに10の工場と13万6000人の従業員を抱えていて、トランプ新政権と協力していくことを楽しみにしている」とコメント。
今後、トランプに理解を求める方針であることを示したが、米国内ではトランプの意向をくんで、早々と方針を変更する企業が続出している。米国内の工場を閉鎖し、メキシコへ移転しようとしたキャリア(米空調大手)は昨年11月に移転方針を撤回して2000人の雇用を守ることにした。自動車のフォードは今年1月早々にメキシコの新工場建設計画を撤回。ゼネラル・モーターズは「メキシコで造る車には高関税をかける」とつぶやかれたが、その後、「メキシコでの生産は予定どおり実行する」と言っている。
トランプは、米国内の工場を閉鎖してメキシコへ移転するのは言語道断と言うばかりでなく、米国企業が新たにメキシコに投資して工場を造ることにも反対の立場を鮮明にしている。なぜかと言えば、労賃の安いメキシコ(米国の5分の1)で生産した車を関税なしに米国に輸入すると、米国で生産されれば増えたはずの雇用が失われ、さらに米国の対メキシコ貿易赤字が増加するからである。
豊田社長は「メキシコに工場を造ってもアメリカの雇用が減るものではない。NAFTAがあるから生産された車を無関税で米国に輸出して、何が悪いのか」との思いだろうが、トランプの意図を読みきれていない。「フォードが新規のメキシコ投資中止を決めているのに、なぜトヨタは強行するのか」「(無関税で米国に入る)NAFTAこそ災いのもとなのに、これを利用するつもりか」「米国内で使う車は米国内で造れ」というトランプ発言が意味するところは、要するに地産地消の奨励である。
さらに驚くのは、日本のマスメディアが「恫喝政策、危うい拡大」「トランプ氏に配慮、不要」「ポピュリズム(大衆迎合)政策だ」などと書きまくり、トランプの「雇用重視」「アメリカ第一」の真意を把握できず、「いずれ誤りに気づくだろう」みたいに上から目線でいることだ。英国のEU離脱とトランプ政策は、過去30年間の新自由主義で貧困化した英米国民が直接投票でその是正を迫った結果である。新しい胎動が始まっていることに気づかなければいけない。
菊池英博
1936年生まれ。東京大学教養(国際関係論)卒、旧東京銀行を経て文京女子大学(現文京学院大学)経営学部・同大学院教授。2007年日本金融財政研究所所長。近著「新自由主義の自滅」(文春新書)
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民117掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。