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小宮一慶 小宮コンサルタンツ代表
2017年、「世界」と「AI」にアンテナを張れない経営者は取り残される
http://diamond.jp/articles/-/114200
2017年1月14日 小宮一慶 ダイヤモンド・オンライン
■2016年に起きた大転換
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
昨年、2016年は「大転換期」と呼べる年でした。大転換の原動力となったのはポピュリズムの台頭とAIの大きな進歩です。
英国の国民投票により決まったEU離脱、メディアでは劣勢と伝えられていたトランプ氏の米国大統領選挙勝利は、まさにポピュリズム(大衆迎合主義)の台頭を象徴する出来事でした。
英国や米国に限らず、世界の政治は大衆受けを狙ってますます内向きになっていく可能性があります。
例えば米国はカナダ、メキシコと締結し20年以上も機能しているNAFTA(北米自由貿易協定)を見直すかもしれません。
トランプ氏は選挙活動中からNAFTAの見直しとTPP(環太平洋パートナーシップ協定)離脱を表明し、大統領当選後もメキシコ生産の自動車に重税を掛けるとツイッターで公言しています。トヨタなどもやり玉にあがりましたし、最近行われた記者会見では、貿易不均衡に言及し、中国や日本にも強硬姿勢を見せそうな様相です。
1月20日の就任式を控え、どこまで本気なのかは現時点では分かりませんが、こうした内向きの政治の傾向はますます強まっていくでしょう。
今年は、フランス大統領選挙やドイツ総選挙が行われる予定で、さらには、場合によってはイタリアでも総選挙がある可能性があり、極右やポピュリズム政党のプレゼンスが大きくなりつつあることが懸念材料です。
EU離脱問題やトラップショックの影響を直接受ける企業はグローバル企業ですが、それらの企業は国内でも多くの下請け企業を持つことや、為替レートなどが大きく振れる可能性もあり、中小企業の経営や日本経済にも大きな影響が出る可能性があります。。
そして、もう一つのAI(人工知能)の大きな進歩も、多くの人に「脅威」あるいは「恩恵」となるでしょう。
昨年春、グーグルが開発した囲碁ソフト「AlphaGo」が韓国のトップ棋士に勝ち、今年はさらに磨きを掛けて公式戦に臨むといわれています。これは分かりやすい例ですが、AIの大きな進歩は世の中を大きく変える可能性を秘めています。
■AIに若手弁護士の仕事が奪われる時代に
米国では法律事務所に所属する若手弁護士やパラリーガルと呼ばれる事務作業員の仕事がAIに奪われていると伝えられています。若手の会計士の仕事もAIが代替しつつあります。
証拠調べ、判例調べといった、これまでは若手弁護士や事務員が時間を掛けて取り組んでいた仕事が、AIによりそれまでよりもずっと短い時間でできるようになりつつあるためです。
米国では、ベテラン弁護士は、若手職員の使い方よりもAIの使い方を今は必死で学んでいると言われています。
会計監査の現場では、伝票レベルのチェックは、これまで会計士により抜き打ちで行われていたものが、ビッグデータの処理を得意とするAIなら全データのチェックもお手のものです。
日本でも会計士の監査業務や税理士の記帳業務などはそれほど遠くない将来に、AIにより自動化されていくでしょう。
ここでは弁護士や会計士、税理士の例を挙げましたが、AIが代替する状況は、どの業界でも同じです。
作業がどんな複雑なものでも、類型化され、なおかつそれを行っている人たちが比較的多い業種から、AIが代替していくものと考えられます。知的労働の分野のほうが、AIが代替しやすいでしょう。
そこで経営者はアンテナを高く張って、AI、コンピュータ、ロボットなどの進歩の状況を常にチェックしておくことが必要です。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などにも触れ、技術進歩を実感しておくことも大切です。
経営者の中にはいまだスマートフォンは不要、携帯電話(ガラケー)で十分という人がいます。確かに用途を電話とメールに限ればそれで十分でしょうが、若い世代だけでなく多くの人が、朝からスマホで連絡を取り合い、多くのことを検索しています。
なかにはモノを買い、イベントや旅行を予約している人も少なくありません。自社の製品の宣伝広告や販売はネットを無視できる時代ではありません。
経営者はアンテナを高く張ることにより、大きな変化を見ることがとても大事です。
■「取り残されない」ために世界を見よ
弊社(小宮コンサルタンツ)では年1回、お客さまをお連れする海外ツアーを実施しています。昨年はアイルランドとフィンランドの企業などを訪問しました。
アイルランドではネット上で公開する動画が簡単に制作できるソフトを開発している会社を訪問しましたが、その技術が興味深かったことはもちろん、インキュベーター(起業支援)施設をグーグルが運営しているという事実に、私は深い印象をうけました。
グーグルは当然、起業家を育てるだけが目的ではなく、将来性のある事業を共同で運営したり、M&Aをすることを考えているのでしょう。
多くの情報はバーチャルで見ることができる時代ですが、やはり最先端の出来事を自分の目で直接見ることが経営者には大きな刺激になります。
しかしどんなに素晴らしい情報を目の当たりにしても、日ごろから基本的な情報を新聞、、雑誌、テレビやネットなどで入手し、さらには、素直で謙虚な心で、バイアスをかけずに見ることができなければ、その価値を理解することはできません。
年頭に当たって、「素直で謙虚」という原点に立ち戻ることも大切です。
(小宮コンサルタンツ代表 小宮一慶)
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