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日銀はマイナス金利という新手を繰り出してデフレ脱却を目指したがめどは立たない/2016年1月 (c)朝日新聞
【2017年大予測】井上智洋「アベノミクスと財政再建の二兎は追えない」〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170111-00000228-sasahi-bus_all
AERA 2017年1月16日号
2017年が幕を開けた。16年は、トランプ氏の大統領選勝利に代表されるように、世界中で既成概念や秩序が「反転」した年だった。アベノミクスの今後はどうなるのか、駒沢大学経済学部講師の井上智洋さんに話を聞いた。
* * *
2016年は、日本銀行によるマイナス金利政策の導入や、長期金利を0%程度に誘導する目標の設定などの金融政策が相次ぎましたが、2%の物価上昇率という目標を達成する時期も先送りされました。
12年12月に発足した第2次安倍政権の当初は、量的緩和政策だけでなく、「アベノミクス」というネーミングも含めて景気回復に対する市場の期待が高まり、実際に景気回復につながりました。しかし、その期待も14年4月の消費増税によってしぼみ、インフレ予想も失速しました。
では、いまだに達成できていないデフレ脱却に向けて、17年にすべきことは何なのでしょうか。政府は景気回復だけでなく財政再建も目指すとしていますが、財政再建という目標を捨てないと、デフレからの完全脱却は難しいでしょう。金融緩和を続けるだけでは、デフレ脱却の効果はありません。
ゼロ金利またはマイナス金利の状態では、財政政策によって市場に流れるカネの量をコントロールできるようになると、私は考えています。今年、政府がやるべきことは、ゼロ金利またはマイナス金利の金融政策を続けたまま、財政再建という目標を捨てることです。市場に流れるカネの量を増やすために、積極的な財政政策を行い、国債を発行するのです。
国債の発行は、「国の借金」としてネガティブなイメージがありますが、実際は日本全体として借金を背負っているわけではありません。国債の多くは日銀が保有しているからです。政府と日銀は一体として「統合政府」として考えるべきなのです。
財政政策の方法には2通りあります。一つは減税。消費減税を主張する経済学者もいます。
一方、私は国民に直接カネを配る景気対策の導入というもうひとつの方法を主張しています。その場合、日銀が国債買い入れで財政資金を供給することになるでしょう。
喫緊の景気刺激策としては、お金を使う人に配分するのが効果的です。1人1万円くらいを一律で配布するというイメージです。
ただし、政府の政策にかかわらず、今年の日本経済は回復に向かう可能性があります。
「トランプ景気」の特需を受け、米国経済に助けられるという期待があります。
トランプ次期大統領は、財政と金融をフル回転させて景気回復を目指しています。米国の景気が上向きになれば、それに伴ってドル高円安になり、円安効果で輸出が増えて日本経済も上向きになるというシナリオが考えられるのです。
(構成/編集部・長倉克枝)
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