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米国で最も愛国的な自動車3社とは
トランプ氏の基準で見ると、テスラ・BMW・フォードが選ばれるはず
サウスカロライナ州の港に並ぶBMWの車両 PHOTO: LUKE SHARRETT/BLOOMBERG NEWS
By
STEPHEN WILMOT
2017 年 1 月 11 日 11:05 JST
――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
***
米国で最も愛国的な自動車会社はどれか。ドナルド・トランプ次期米大統領の基準で判断すれば、意外にも次の3社が上位に並ぶだろう。米電気自動車メーカーのテスラモーターズ、ドイツの高級車大手BMW、そして米自動車大手フォードだ。
メキシコに組立工場を建設する自動車会社をトランプ氏がツイッターで批判したことで、デトロイトを拠点とする自動車会社は震え上がっている。トランプ氏は昨年、フォードに集中砲火を浴せ、メキシコ工場の建設を撤回させたことを自らの手柄とした。年が明けてからは攻撃対象を拡大させ、米ゼネラル・モーターズ(GM)やトヨタ自動車も批判している。
トランプ氏の標的ははっきりしている。自動車工場を米国外に移転し、それによって国内の雇用を削減している企業だ。しかし名指しされた米自動車会社は、国内で販売されている車両のほとんどを実は国内で生産している。
データ提供会社のワーズオートによれば、フォードは2016年1〜11月に米国で販売した車の95%を国内で生産していた。GMではその割合が83%だ。この割合を基準にトランプ氏が批判すべき企業を決めるとしたら、その筆頭はフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)になる。同社の場合、米国内で生産している車は国内で販売された車のわずか69%にすぎない。
自動車各社の米国内販売台数に対する国内生産の割合
(2016年1〜11月)
Automotive Patriots U.S.-made cars as a share of U.S.-sold cars, Jan-Nov 2016
NB: readings over 100% denote net exporters *Includes AM General, which makes the Mercedes R Class
THE WALL STREET JOURNAL Source: WardsAuto, Automotive News
国内販売台数に対する国内生産台数の割合が最も高いのはテスラだ。生産台数は大手と比較すれば微々たるものだが、全ての車両を米国で生産し、その半分近くを輸出している。仮にトランプ政権が環境に関する規制を後退させ電気自動車業界を支える助成金を減らせば、テスラは打撃を受けるだろう。
ドイツの高級車大手各社も、米国内で生産する企業として上位に入る。サウスカロライナ州に巨大な工場を持つBMWは米国内から輸出する車両の方が多い。傘下にメルセデスを持つダイムラーは、米国内販売台数の86%を米国で生産している。外国企業とはいえ、この2社はテスラと同様に高額な価格設定で利益率が高いため、コスト削減を目的に他国に工場を移転させる必要性が低い。
フォードは例外だ。同社は一般大衆向けの車両を販売しながら主に国内で生産している。メキシコに新工場を建設したがっていたのも無理はない。
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「自動運転」時代、自動車メーカーの生き残る道は
ウェイモとフィアット・クライスラー・オートモービルズが共同開発した自動運転車
By STEPHEN WILMOT
2017 年 1 月 11 日 11:11 JST
――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
***
自動車業界は今、二つの大きな変革に直面している。一つは電気自動車で、既存の業界秩序を揺るがす技術的・経済的な挑戦である。もう一つは自動運転車で、そうした秩序を破壊する可能性を秘めている。
昨年10月のパリ国際自動車ショーが電気自動車の祭典だったとすれば、今デトロイトで開催されている北米国際自動車ショーは自動運転車(そして、カーシェアリング)の祭典となりそうだ。グーグルを傘下に持つ米アルファベットの自動運転開発子会社ウェイモは8日、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と共同開発した自動運転車のミニバンを公開した。この車にはウェイモが特許を持つセンサーやソフトウエアが多数搭載されている。
電気自動車が実用化にこぎ着ける一方、自動運転車は公道での走行実験が始まったばかりで、規制上のハードルも数多く残る。そのため、自動運転の実用化に向けて大きな進展が見られるのは、しばらく先になりそうだ。
それでも、従来の自動車メーカーや、自動車業界に挑んでいる異業種企業に投資する上では、今後どのような展開が待ち受けているかを理解しておくことが重要になる。こうした異業種企業の一角を占めるのが、アルファベット傘下のウェイモや、配車サービスの米ウーバー・テクノロジーズのようなIT(情報技術)企業だ。ウーバーはペンシルベニア州ピッツバーグの公道で自動運転車の走行実験を開始している。
自動運転が実現すれば、タクシー事業のコストは激減し、マイカーの減少という代償は伴うものの「サービスとしてのモビリティー」への需要は高まる。従来よりも自動車の利用者が増える一方で台数自体が減れば、運転手と車の関係は一変するだろう。
自動車業界、特にディーラーにとってのリスクは、自動運転の実用化により、顧客がさらに一部に偏り、その影響力も強まることだ。そうなれば、自動車業界を数十年にわたり支えてきたディーラー制度という安定したシステムも損なわれる恐れがある。 よく議論されているもう一つの問題として、「カーシェアリング向けにどの程度の台数が売れるのか」というものがある。ニューヨークに拠点を置く資産運用会社ARKの推計によれば、低コストの自動運転タクシーの販売台数はいずれ、欧州および北米の年間自動車販売台数の半分を占めるとみられる。他の推計はもっと慎重な水準を示している。例えばUBSは、この割合を新車販売の最大3?5%と予想している。公道上の車両数は減るものの、1台当たりの走行距離ははるかに伸びるとみられるため、買い替えサイクルは今よりも短くなりそうだ。
IT業界の見通しに強気のARKなどは、自動運転技術が2019年に実用化するとみている。自動車業界関係者の間ではもっと慎重な見方が多い。だが現実は、実用化の時期よりもはるかに複雑なものとなる可能性が高い。なぜなら、自動運転技術は、まず一部の都市で導入され、その後に高速道路へ拡大され、その何年も後になってようやく地方へ広がるとみられるからだ。それでもこの10年間は、自動車販売への影響は微々たるものにとどまるだろう。
自動車メーカー各社は、具体的な時期はともかく、モビリティー事業参入に前向きな姿勢を明確にしている。新興企業の株式を取得したり、新会社を立ち上げたりしている自動車メーカーは多い。例えば、米ゼネラル・モーターズ(GM)、トヨタ自動車、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)の3社は、配車サービスを手掛けるリフト、ウーバー、ゲットにそれぞれ出資している。フォルクスワーゲンはこれとは別に、ライドシェアリング・サービスを手掛ける新会社を発足させるという意外な行動に出ている。これによる問題は、ウーバーと競合するものの成功に必要な規模を持たない小規模企業の増加を促しているという点だ。ドイツの自動車大手ダイムラーと高級車大手BMWがカーシェアリング事業の統合について協議中という朗報もあるが、この統合案は合弁事業パートナー関連の問題に既に直面している。
こうした出資や統合の目的の一つは、自動車業界で最も貴重な資源となりつつある「データ」へのアクセスを確保することにある。自動運転車は、実際の走行状況から集めた大量のデータを学習することで自ら運転方法を学ぶとされる。ただ、データ収集でトップを走っているのは、モビリティーサービス事業者ではなく、アルファベット傘下のウェイモかもしれない。電気自動車大手の米テスラも顧客に販売した車両の実走行データを大量に集めている。
自動車メーカーの中で、IT企業からの製造委託に唯一強い関心を示しているのがFCAだ。業界再編の必要性をよく訴えているFCAのセルジオ・マルキオンネ最高経営責任者(CEO)は、ちっぽけな企業に対して影響力を持つよりも、黒子としてIT大手と協業する方が好ましいとの見方を示している。
自動車業界にはいま多額の利益が流れ込んでいる。販売台数が過去最大に迫っているほか、ガソリン価格の下落に伴い利益率の高い多目的スポーツ車(SUV)の魅力が高まっているためだ。それでも自動車株は投資家から敬遠され、株価は低迷している。
電気自動車の台頭やその後の自動運転車の登場によって、自動車業界には資金力のある新たな競争相手が参入するだろう。また、景気に波がある資本集約的な製造業から、より安定したサービス業(広告事業面で高い潜在性がある)へと業界を転換させることにもなる。皮肉なことに、こうした変革が起きた後、投資家は現在の業界大手に対する評価以上に、この競争の勝者をはるかに高く評価する可能性がある。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjP2f6Vm7nRAhWDe7wKHSjRAjMQqQIIHTAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10558161838683014507104582552022071631912&usg=AFQjCNErWbX68Ny4QciYjLR77bIGHZ6vSg
トランプ政権の経済チームに潜む分断
次期政権が予想のつかない方向に導かれる可能性
トランプタワーを訪れた次期国家経済会議(NEC)委員長に指名されたゲーリー・コーン氏(2日、ニューヨーク) ENLARGE
トランプタワーを訪れた次期国家経済会議(NEC)委員長に指名されたゲーリー・コーン氏(2日、ニューヨーク) PHOTO: KENA BETANCUR/AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
By NICK TIMIRAOS
2017 年 1 月 11 日 07:12 JST
米国のドナルド・トランプ次期大統領が編成しつつある経済チームにはお互い競合し、また矛盾する考えを持ったメンバーらがいるため、成長加速を目指す次期政権を予想のつかない方向に導く可能性がある。
これまでのいくつかの任命はトランプ陣営に広まっていた分断を一段と深めている。チームの一方にはワシントンやウォール街出身で市場志向の顧問らが、そしてもう一方には自由貿易主義を敵視する面々がいる。
トランプ氏は新設する国家通商会議のトップに対中強硬派の経済学者ピーター・ナバロ氏を起用すると決めた。ナバロ氏は選挙期間中に著名投資家ウィルバー・ロス氏と頻繁に連携し合っていた。トランプ氏から次期商務長官に指名されたロス氏は、貿易相手国に対してより攻撃的な姿勢を採るよう訴えてきた人物だ。
この対極にあるのが、次期国家経済会議(NEC)委員長に指名されたゲーリー・コーン氏だ。コーン氏はゴールドマン・サックス・グループで長らく社長を務め、民主党に登録しているが特段の思想はないとみられている。NECは、財務省、労働省、住宅都市開発省、保健福祉省(HHS)および規制機関の政策決定を調整する。
フラットな組織構造であると、これらの機関やその他の当局者がトランプ氏からの支持を競い合うかもしれない。また、トランプ氏には公職経験がなく、一部の政策課題について考えを変えたり、その他の課題についてはほとんど発言していないため、同氏の政策を巡る不確実性は高まっている。
ブッシュ前政権で経済問題に取り組んだ経歴を持つトニー・フラット氏によれば、「過去の政権では、投票日には顔ぶれとその考えがおおむね分かっていた」。それに比べると、トランプ氏は予想しづらい。フラット氏は「確かに、誰もゲーリー・コーン氏の政権入りを予想していなかった」と述べた。
トランプ氏は政策として、成長加速、税制改革、貿易相手国に対する姿勢の強化、バラク・オバマ大統領肝いりの医療保険改革法(オバマケア)の撤廃、インフラ支出、財政再建を目指すと訴えてきた。
トランプ氏は選挙公約を実際の政策にしなくてはならない段階に来ており、問題が既に表面化している。トランプ氏と共和党議員は、オバマケアの撤廃が財政赤字を拡大させると同時に大量の無保険者を生み出しかねないとして、急いで推進することに懸念を示している。また次期政権は国境警備費として数十億ドルを要求する可能性もある。トランプ氏がメキシコ国境の壁の建設費用を最終的に同国に負担させると繰り返し言明していたためだ。
トランプ陣営の幹部によると、選挙中に編成された経済チームは垣根なく協力し、このチームが示す多様な見方を一助に、トランプ氏は独自の経済ナショナリズムの詳細を詰めたという。
ロス氏は次期商務長官指名が発表された際にFoxビジネスのインタビューで、「私たちは選挙中、正真正銘のチームだった。かなり前から互いをよく知っているため、これは新しいことではない」と述べ、「共に働くことはこの政権の特徴の1つになる」との考えを示した。
トランプ氏の経済チームの中心は、コーン氏とスティーブン・ムニューチン氏の2人の銀行出身者が担う。次期財務長官に指名されたムニューチン氏は、コーン氏と同じく1994年にゴールドマンのパートナーに昇格した。過去10年の党派間の政策争いに加わってこなかった両氏はいわば「白紙」であることから、減税や規制緩和といった共和党の伝統的な政策にトランプ氏が求める中国の為替操作国認定やインフラ支出増加を融合させた政策を策定できる、と顧問らは話している。
ゴールドマン・サックスからコーン氏とムニューチン氏が選ばれたことは、トランプ氏が昨秋の選挙戦で同社を痛烈に批判していたのと対照的だ。政権移行チームは両氏に加え、同社の幹部ジム・ドノバン氏を国内金融担当の次期財務次官の候補として検討している。
トランプ氏の選択の中で政策スタンスの特異性が最も際立っているのは、次期行政管理予算局(OMB)局長に指名された財政タカ派のミック・マルバニー下院議員(共和、サウスカロライナ州)だ。マルバニー氏はこれまで、支出拡大を目指してきた共和党勢を痛烈に批判し、投票日からわずか数週間後にはトランプ氏がうたうインフラ支出に懐疑的な発言をしていた。
そこで注目されるのがマルバニー氏がトランプ氏を説き伏せて大型の支出を抑え込むのか、それともトランプ氏の指示の下、自身と同じく懐疑的な下院保守派に短期の支出拡大を認めさせるのか、という点だ。
また、経済チームのメンバーに指名された大半はワシントンの新参者だ。政権を立ち往生させかねない縄張り争いを避けながら、物事を進めるのに必要な議会との関係をいかに構築するかは大きな疑問だ。
大統領執務室の顧問らも経済政策に関与してくるはずだ。彼らは選挙戦で政策責任者を務め、政権でも同様の役割を担うスティーブン・ミラー氏や、トランプ氏の下で長らく法務責任者を務め、外交交渉の特別代表に指名されたジェーソン・グリーンブラット氏だ。
ブッシュ前政権で財務省の幹部だったジェブ・メイソン氏は、こうした組織体系によって、「誰が最終的な支配権を握っているかについて誰も分からないかもしれない」と述べた。
トランプ次期政権
株高呼んだトランプ氏の流儀、経済成長を保証せず
ゴールドマン出身の米経済会議トップ、政策論は未知数
FRB議長とトランプ氏、ひとまず意気投合
米大統領が経済の重力に逆らうとき
中国は「知的健全性」ある批判を尊重=米財務長官インタビュー
米国のルー財務長官は、中国が北朝鮮に対する制裁強化への支持を取り下げる原因になるような措置を講じることに警鐘を鳴らした
By NICK TIMIRAOS
2017 年 1 月 11 日 08:25 JST 更新
【ワシントン】米国のジェイコブ・ルー財務長官は、経済の自由化に向けた中国政府の最近の措置を認めないようだと、特に北朝鮮の核開発など地政学的問題における中国の協力姿勢を脅かす恐れがあると警告した。
ドナルド・トランプ次期米大統領は、財務省が次回4月に発行する半期に一度の為替報告書で中国を為替操作国に認定すると言明しており、次期政権が一連の関税で中国に圧力をかける措置の第一歩となる可能性がある。
ルー財務長官はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで、過去1年半にわたり中国が講じてきた人民元相場の防衛策は、為替相場を利用した不当な貿易優位性の追求から同国政府が離れていることを示していると指摘した。財務省が昨年10月に公表した直近の為替報告書は、中国をはじめとするアジアの輸出大国への批判を如実に和らげた。
ルー長官は、中国が通貨防衛のため現在行っている為替介入策と、不当な貿易優位性を得るための元安を狙った介入を等しいとみなすのは「分析してみれば危険」と分かると指摘した。トランプ氏や同氏の顧問らは2016年の大統領選期間中、中国の為替政策を繰り返し非難していた。
長官はさらに、中国が北朝鮮に対する制裁強化への支持を取り下げる原因になるような措置を講じることに警鐘を鳴らした。「北朝鮮に経済的圧力をかけたいなら、中国の協力はその重要な一部となる。経済的圧力の代替策は相当恐ろしいものになりかねない」と語った。
また、中国政府は経済政策に対する正当な批判にはしばしば影響されてきたと指摘。15年8月に人民元の2%近い急落につながった為替政策変更の伝達方法について自身が厳しく批判した際もそうだったと述べた。
「(中国は)公平かつ知的健全性のある批判を尊重する。機嫌を損ねるのは、風刺されている、あるいは事実が無視されていると感じる時だと思う」と語った。ルー氏は1月20日で財務長官としての4年間の任務を終える。
ウォルマート、月内に追加人員削減へ=関係者
追加の人員削減は人事部門が主な対象
By SARAH NASSAUER
2017 年 1 月 11 日 05:18 JST
小売り世界最大手の米ウォルマート・ストアーズは月内に本社で追加の人員削減を実施する準備を進めている。事情を知る複数の関係者が明らかにした。
関係者によると、年度末の1月31日までに本社および店舗を支援する支部で数百人を削減する計画だ。人事部門で多く削減する。この部門は規模が大きく、幹部らは効率化を進めるか、外部コンサルタントへの業務委託が可能とみている。その他の部門も削減対象になる可能性がある。
ウォルマート広報のグレッグ・ヒット氏は「一層効率的かつ効果的に事業運営する方法を常に模索している」とし、「絶えず企業構造も見直していくが、まだ発表には至っていない」と述べた。
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