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嗚呼、斜陽業界…アパレル、百貨店に銀行、次に消えるのはどこだ? 激化するサバイバル競争
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50595
2017.01.11 週刊現代 :現代ビジネス
■ビジネスモデルの崩壊
女子大生のファッションが様変わりした――。こう話すのは、神戸大学大学院准教授(経営学)の保田隆明氏である。
「かつての女子大生は有名ブランドのバッグや靴を身に着けている人も多かったのですが、今はそういう学生をキャンパスで見かけることはありません。逆にスニーカーを履いてリュックを背負っているようなスタイルの女子大生をよく見ます。
彼女たちはユニクロさえ買おうとしません。最近の商品は品質が高く長持ちするので、新しく買い換えようという気持ちにならないのです」
ファッショントレンドに敏感とされる女子大生でさえ、洋服を買わないのだ。アパレル業界の先行きは視界不良と言わざるをえない。
たとえばユニクロは、これまで革新的な商品を発表することで、消費者の支持を集めてきた。フリースしかり、ヒートテックしかり。
しかし、最近のユニクロでは、残念ながらそうしたイノベーションが生まれていない。
流通専門誌『2020ValueCreator』編集長の田口香世氏はこう指摘する。
「もちろんユニクロも既存品の機能性を高めるなど、品質向上に努めていますが、それだけでは改めてその商品を買おうという気分に消費者はなりません。
売り上げを維持するために値上げをして、その結果、業績が悪化すると、価格を元に戻すなど、価格操作でなんとか対応していますが、価格は売れない原因の一部ではあっても大きな原因ではありません。
本当の原因は、顧客が欲しがる製品を開発できていないことなのです」
大手アパレルの衣類は百貨店を中心に販売されているが、それらの販売も冴えない。
「どの百貨店に行っても、『金太郎飴』のように同じような商品が売られています。婦人服売り場だけを見て、どこの百貨店か聞かれても答えられる人は少ないはず。
漫然と同じようなブランドの服を売っているから百貨店ごとの特徴が出ない。アパレルも百貨店もマンネリ化していて、古い体質から脱皮できていない業界なのです」(田口氏)
百貨店は'15年以降、中国人を中心とした「爆買い」の恩恵を受けたが、その勢いはすでに失われた。外国人観光客向けに改装したフロアでは閑古鳥が鳴き、日本人に見向きもされない。
ネット通販の環境が整ったことで、多くの顧客は百貨店を離れ、ネットで買い物をする時代になったのだ。
■テレビ局、メガバンクも例外ではない
テレビ局も、時代の変化で逆風にさらされている。元フジテレビ社員で筑紫女学園大学教授の吉野嘉高氏は、古巣の'17年を心配する。
「たとえば、古舘伊知郎さんが気になる世相を紹介する『フルタチさん』は視聴率が低迷していますが、フジテレビの最近の悪いクセが出ています。フジでは誰をキャスティングするのか、司会は誰なのかという『WHO』で決める傾向にあるのですが、今の番組作りに必要なのは、それより『WHAT』。
つまり、世の中は何を求めているのかを精査して番組を作り込むことが重要です」
他局も盤石ではない。スポンサーを集めて、その顔色を窺いながら番組を作るというビジネスモデルが、もはや崩壊寸前だからだ。
「娯楽の王様が地上波テレビだった時代は終わりました。スマホで無料動画が見られるし、面白いものがたくさんある。無料で見られるインターネットテレビが、放送業界の大きな流れになると思います。
スポンサーへの配慮が求められる広告モデルを脱して、おカネを払ってでも見たい番組を作るコンテンツメーカーだけが生き残る。'17年はその元年になるでしょう」(百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏)
日本経済の中枢に君臨してきた銀行も利ザヤと手数料だけで食っていける時代は終わった。メガバンクも例外ではない。
「すでに民間から資金を集めて、成長性を見込める産業に貸し出すという、これまでの銀行のビジネスモデルは成り立たなくなってきています。縮小する日本社会で有望な融資先は少なく、あれだけの規模で資金を持っていても何の役にも立ちません」(鈴木氏)
そのうえ、金融と技術を融合させたフィンテックの普及で銀行員の仕事は減っていく。
「AI(人工知能)による資産運用なども増えていくので、必要となる銀行員は減っていきます。大規模な融資案件を判断できる、一握りの優秀なバンカーが必要とされるだけ。
ネットバンキングが当たり前になると、窓口業務も減っていくので、大多数の銀行員は必要なくなります。最大の問題は今後、人員整理をどのように行っていくかでしょう」(前出・保田氏)
'17年は、斜陽業界内での生き残りを懸けたサバイバルが、さらに激化していきそうだ。
「週刊現代」2016年12月31日・1月7日合併号より
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