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対中強硬戦略の真の狙いは?(トランプ氏Facebookより)
中国の対米輸出に圧力をかけるトランプ外交の本当の狙い
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170106-00010000-moneypost-bus_all
マネーポストWEB 1/6(金) 16:00配信
日本では、米トランプ大統領の誕生に伴い、米中の経済摩擦が激化するのではないかと懸念する投資家が依然として多いようだ。しかし、アメリカが具体的にできることは少ないのではなかろうか?
基本的な貿易データを確認しておくと、2016年1〜10月までのアメリカから見た輸入国トップは中国で輸入シェアは21.0%に達している。第2位はメキシコで13.5%、第3位はカナダで12.7%、日本は第4位で6.0%である。
アメリカの隣国であり北米自由貿易協定を結ぶメキシコやカナダよりも、中国からの輸入の方が多いのが現状だ。輸入品は、雑貨、衣料品から家電製品、スマートフォンに至るまで多様である。中国製品はアメリカ人の生活の中に深く入り込んでいる。
たとえば、中国製品に対して、高関税をかけたとすれば、輸入物価全体を押し上げてしまう。他国からの輸入代替が進むだろうが、時間がかかる。輸入物価の上昇は国内物価の上昇を引き起こし、金利の上昇につながってしまう。
景気が良くなり、総需要が高まりディマンド・プル・インフレ(発生原因が需要サイドにあるインフレ)が起こり、その結果として金利が上昇するのは悪いことではない。しかし、外的要因で金利を上げざるを得なくなるのであれば、不必要な景気の押し下げに繋がってしまう。
財政赤字の深刻なアメリカにとって、税収の伸びが低下する中での国債発行コストの上昇は痛い。積極財政政策でインフラ投資を増やそうとしているトランプ政権にとっては、ただでさえ、長期金利上昇圧力にさらされている。そこにコスト・プッシュ・インフレ(発生原因が供給サイドにあるインフレ)が加わるような事態はどうしても避けたいところだ。
10月末時点において、日本に抜かれたとはいえ、中国はアメリカ国債の大量保有国である。アメリカの同盟国である日本が、厳しい局面でアメリカ国債を自由に売るのは難しいが、中国はそうではない。この点からも、中国と敵対することはアメリカにとってリスクの高い選択である。
とはいえ、中国との間の貿易不均衡を是正しようというトランプ次期大統領の言い分は正論であり、間違ってはいない。
もう少し詳しく統計データを見ると、アメリカにおける輸出国トップはカナダで輸出シェアは18.6%、第2位はメキシコで16.0%、中国は第3位で7.6%に過ぎない。ちなみに、日本は第4位で4.3%である。
中国からの輸入は多く、輸出は少ない。その結果、貿易赤字は全体の47.4%を占め、国別ではダントツのトップである。第2位は日本だが、9.3%に過ぎない。
貿易赤字が深刻なアメリカにとって、中国との間の貿易不均衡を正すことは重要課題である。
アメリカにとって、対中輸入の減少速度は国内での産業構造調整、海外との貿易構造調整の進捗に合わせた比較的ゆっくりとしたペースが望ましいだろう。しかし、輸出の増加についてはいくら早くてもかまわない。
トランプ次期大統領は、中国に対してアメリカへの輸出に圧力をかけようとしているが、それはアメリカからの輸入(アメリカから見れば中国への輸出)拡大を引き出すための戦略であろう。貿易交渉では、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)のような多国間ではなく、2国間による貿易交渉を進めようとしているが、中国に対しても、そうした2国間交渉を進めているのだといった捉え方をすると分かりやすい。
そうであるならば、中国がアメリカに対してより市場を開放したり、一帯一路戦略での利権の一角を譲ったりすることで両国間の調整はまとまるのではなかろうか。中国側からすれば、これは対応できる内容である。重要なことは、アメリカ側は中国側に何を譲歩するのかという点である。トランプ次期大統領は中国包囲網の象徴であるTPPからの離脱を表明しているが、そのことが大きなヒントになるだろう。
表面的には一時的に米中貿易摩擦は激化する局面もあろうが、落としどころは見えている。必要以上に警戒することはない。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサル ティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」、メルマガ「週刊中国株投資戦略レポート」も展開中。
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