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5分でわかる、今年「国債危機」が懸念される理由
http://diamond.jp/articles/-/112750
2017年1月4日 宿輪純一 [経済学博士・エコノミスト] ダイヤモンド・オンライン
財務省と日本銀行が組んだ量的金融緩和=国債購入政策がまさに限界に来ている。2017年の金融政策は、日本の長期金利(10年物国債金利)のプラス0.1%をめぐる攻防が焦点になるだろう。今回はその理由を解説しよう。
■量的緩和の基本的な構造
金融緩和の構造は、単に日本銀行が資金を市場に供給しているわけではない。日本銀行は市場から国債を購入して、その同額の代金を市場に供給している。資金量の供給を増やす量的緩和は、国債の購入量を増やすことでもある。
財政法第5条によって、日本銀行の財務省からの直接買入(引受)は禁止されているため、金融市場(金融機関)から間接的に購入している。結果としては一緒である。
国債および国庫短期証券の発行額は約1000兆円もある。日本銀行は現在、その約3割をも保有しており、このぺースでは2020年には4割を突破するという事態になる。
■マイナス金利で金融機関の収益悪化
2016年1月に日本銀行は当座預金にマイナス金利(マイナス0.1%)を導入した。この効き目は大きく、10年物国債の金利(長期金利)もマイナスになり、さらには20年物国債の金利もマイナスになった。
金融機関への影響も大きかった。金融機関の主たる収益の源泉は、預金を原資にした貸し出しと国債の購入だが、実際には貸し出しの方の収益性は非常に低い。さらに、金融機関は主として20年国債を購入しており、20年物国債までがマイナス金利となってしまった。この経営に対するマイナスインパクトは極めて大きく、とくに貸し出しが低迷する地銀・信金などで顕著だ。
■量から金利誘導へ政策転換、金融機関を救済
9月にはその問題に対応するため、日銀は10年物国債の金利(長期金利)を“0%前後”に誘導する政策を発表した。10年物国債の金利が0%になるということは、20年物国債の金利はプラスになるということであり、金融機関の収益は改善される。
国債の価格と金利の関係は、価格が上昇=金利は下落で、価格が下落=金利は上昇となる。そして、国債も金融商品であり、会計的には時価評価しなければならない。株式と一緒で、国債も価格が下がると、評価損を計上しなければならないのだ。それは300兆円を超える国債を保有する日本銀行でも同様だ。つまり、国債価格が下がる=金利が上がると、日銀にも損失が発生してくるのである。
■トランプ相場の影響でさらに金利上昇
そこへ11月、ドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領に当選し、トランプノミクスといわれる景気刺激的な経済政策が発表された。規制緩和、減税、そしてインフラ投資等の戦略によって、経済成長率のアップ、そして財政赤字の拡大(国債発行額の増加)が予想されている。そのため、米国債価格の下落=米国長期金利の上昇が発生している。
金融市場には連れ高・連れ安という言葉がある。たとえば米国の株価が上昇すると、日本の株価も上昇するということだが、これは国債=長期金利でも発生する。現在、米国債の価格が下落=長期金利が上昇し、日本国債も価格が下落=長期金利が上昇している。これが問題を起こしているのである。日本銀行が大量に保有している日本国債の価格が上昇=長期金利が上昇すると、評価損が発生し、現在のところ日銀は約10兆円の赤字となっている。このままだと中央銀行でありながら赤字決算ということになる。
■長期金利「0%前後」をめぐる攻防
さらに、10年物国債の金利=長期金利の目標として設定した「0%前後」という枠が、問題を引き起こしている。
当局の数字の解釈に、金融関係者は大変神経を使う。たとえばこの「0%前後」というのは、現在は様々な状況から判断して「マイナス0.1%〜プラス0.1%」と考えられており、このレンジ内での政策運営をしようとしている。金利が上がりすぎても、下がりすぎても、問題が発生する。
このようなレンジの運営は、通貨制度における為替介入と同様のメカニズムだ。たとえば、長期金利(10年物国債の金利)が上限にくると国債を購入し、国債価格を上げて金利を下げるという操作をおこなう。国債の場合には、国債買入オペと指し値オペがある。
現在、トランプ相場に連られて長期金利が上昇し、上限のプラス0.1%に近づいてきている。日本銀行は当然、国債を買わなければならない。最近では、オペ予告も実施している。
■日銀の国債買入が限度額に近づいたら?
通貨制度では自国通貨の為替レートが下落してくると、自国通貨買い=外貨準備のドルを売る為替介入を行う。しかし、外貨準備が底を突けば、それ以上介入はできない。そうなれば為替レートの下落は止められず、通貨危機に陥る。同じことが国債でも発生し得るのだ。
今年度、日本銀行は年間の長期国債の買い入れ額80兆円という「めど」をもって政策運営している。すなわち買入限度があるのである。投機筋がこの金額を念頭に、市場に挑戦してくる可能性がある。基本的には「めど」を超えての買い入れはできない。逆に世界的には、国債買い入れ額を削減する方向にもなっている。
こうした日本の長期金利(10年物国債金利)のプラス0.1%をめぐる攻防から目が離せない。今年の金融政策はこの長期金利=国債管理政策がメインになる可能性が高いと考える。
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