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渡航先の一番人気はシンガポール
富裕層の節税術にメス、もはや国外にも逃げ場はない
http://diamond.jp/articles/-/112725
2017年1月4日 「週刊ダイヤモンド」2016年10月8日号特集「国税は見ている 税務署は知っている」より
合法的に相続税を払わず子孫に資産を残そうと、富裕層は次々とタックスヘイブンへ渡り、慣れない生活に苦労しながらその時を待つ。一方で国税も切り札を懐に忍ばせ、時機をうかがう。(「週刊ダイヤモンド」2016年10月8日号特集「国税は見ている 税務署は知っている」より)
相続人と被相続人が5年間海外に住めば、相続税は日本国内の資産にしか課税されない──。実はこのルールは、日本で築いた巨万の富を、合法的に相続税を払わず、そっくり子孫に残したい富裕層にとっては広く知られた税制の穴だった。
実際にここ数年、富裕層たちはこの穴を擦り抜け、築いた富と共にわれ先にと海を渡った。そして相続税から逃れ、晴れて帰国できる日を夢見て、慣れない異国での生活を送っている。
渡航先の一番人気はここでもシンガポール。相続税と贈与税がないだけでなく、生活インフラが整っているため、タックスヘイブンの中では格段に住みやすいからだ。そのシンガポールに親と子が5年以上住み続け、その上で贈与や相続を行えば、無税となるわけだ。
最近、シンガポール在住の日本人富裕層はセントーサ島(1)に引っ越しているという。
だが、国税庁は5年間という期間を、10年間に延長する方向で最終調整していることが、本誌の取材で分かった。
「すでに主税局に要望を出している。早ければ今年度の改正で議論され、いずれ決着するだろう」(国税庁幹部)
富裕層たちが擦り抜けてきた穴を、国税庁は限りなく小さくしようと動きだしているのだ。
現地に与える波紋は大きそうだ。
オーチャード周辺(2)やカジノ(3) 、駐在員が多く住む高級コンドミニアム「ザ・セイル アット マリーナベイ」(4)といった日本人の多いエリアから離れ、静かな環境を求めているのだとか。
シンガポールで日本人富裕層をサポートする税理士は、「出国税導入後、移住を検討する富裕層の相談は減ってはいたが、5年間が10年間に延びれば、富裕層の移住は完全についえる」と話す。
庶民からすれば、10年間に延長されたとしても、莫大な資産と共に、悠々自適にシンガポールで暮らすことをうらやましく思ってしまう。だが、実際は苦痛でしかないという。
「弊社のお客さんにも5年住んで相続税を逃れようとしている方はいるが、暇で仕方ないと嘆いている。こちらでは娯楽といってもゴルフとカジノくらいしかなく、四季もない蒸し暑い単調な日が続くと、半年もすれば飽きてしまう」
こう話すのは現地の移住コンサルタントだ。
海外在住者、つまり日本の非居住者として国税庁から認定されるには幾つかの条件があるが、1年のうち半分である183日は国外に住むことが最低条件。その客は毎日、一日の終わりにエクセルシートにシンガポール滞在日を打ち込み、日本に一時帰国できる日が来るのを指折り数えているという。
こうした現地の声を聞けば、10年間への延長がいかに有効かが想像できる。シンガポールでこうなのだから、その他のタックスヘイブンは推して知るべし。裏を返せば、国税庁はそれだけ富裕層に白旗を揚げさせようと必死なのだ。
相続税対策のために暇を持て余す富裕層には、美しい夜景はどのように見えるのだろうか(5)
■国税庁のトラウマ
武富士事件が最大の原動力
国税庁を突き動かすのは、言うまでもなく税の公平性を保つことだ。だがそれ以上に、国税関係者が今でも苦々しく思う、ある敗北の記憶が最大の原動力だと指摘する声は多い。
1999年、消費者金融最大手だった武富士の創業者は、オランダ法人を介して香港在住の長男へオランダ法人株と武富士株を譲渡した。海外資産を海外在住者に譲渡しているため、日本の課税ルールは及ばなかった。
「隙を突かれた、という空気が国税庁にまん延していた」
ある国税OBは当時を振り返る。
翌年、その隙を埋めるべく冒頭の5年ルールが作られたのだが、後の祭り。2005年、国税庁は創業家に贈与税の申告漏れを指摘し、合計1600億円の追徴課税に踏み切ったものの、11年、最高裁は追徴課税を取り消す判決を言い渡した。創業家は追徴課税で1600億円を納付していたため、判決後に国税庁は還付加算金を加えた総額約2000億円を創業家へ還付。完全な敗北だった。
国税OBで、国際税務の専門家である立石信一郎・エヌエムシイ税理士法人税理士は、国税の最近の動きを「すぐに法律を変えて対応している。隔世の感がある」と舌を巻く。
もはや国外に逃げ場はない──。10年間へ延長する国税庁の“宣戦布告”が聞こえてくるようだ。
『週刊ダイヤモンド』10月8日号の第1特集は「国税は見ている 税務署は知っている あなたに迫りくる徴税包囲網の真実」です。
情報保秘を徹底し秘密のベールに包まれた国税ファミリーは、頂に君臨する国税庁、全国に12ある国税局(沖縄国税事務所を含む)、同524ある税務署で構成されます。
1949年に旧大蔵省(現財務省)の外局として設置され、査察権という強力な武器を手に、政界や財界から官僚、マスコミに至るまで各方面に対し強力なけん制効果を持つ、約5万5000人の大組織です。
国税が今、ターゲットに据えるのは富裕層です。海外に5000万円以上の財産を保有する個人に調書提出を義務付けた「国外財産調書制度」、超富裕層を監視するプロジェクトチームの発足、そして海外の税務当局間で金融口座情報を交換する「自動的情報交換制度」などの“カード”を次々に切り、富裕層の包囲網を狭めています。
一方、国内では全納税者の懐をガラス張りにするマイナンバーという“最終兵器”も手に入れました。今後、マイナンバーと預金口座がひも付けば、所得と資産の把握が捕捉可能となります。
そんな“最恐”組織も一皮むけば、汗と涙で形作られたサラリーマン社会の縮図があります。税務調査先で猟銃を向けられたり、商社マンに小ばかにされたり……。あまり知られていない国税マンの実像に迫ります。
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