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年収2百万円未満の人の死亡リスク、4百万円以上の3倍?低所得層の要介護者、高所得層の5倍
http://biz-journal.jp/2016/12/post_17617.html
2016.12.31 文=喜屋武良子/清談社 Business Journal
仕事や所得、生まれ育った家庭や地域などの環境による格差が健康状態まで左右してしまう「健康格差」。一般的には、低所得者であればあるほど疾患リスク、つまり病気になる可能性が高いと考えられている。
しかし、健康格差の実態は「貧困層」だけでなく、中所得層にも及び、格差が大きい社会では高所得層の健康も蝕むなど、想像よりもはるかに深刻なのだ。
■低所得の高齢者はがん死亡率が2倍?
「健康格差は、生育環境や学歴や雇用形態など、実にさまざまな要因と連動しています」と語るのは、『「健康格差社会」を生き抜く』(朝日新聞出版)の著者で社会疫学者の近藤克則氏だ。
「たとえば、母親の栄養や健康状態が悪く低体重で生まれた子どもは、将来糖尿病になる確率が普通体重で生まれた子どもの5倍以上。母親のお腹にいるときから、すでに健康格差は生じているのです」(近藤氏)
普通体重で問題なく生まれたとしても、成人後に健康的な生活を送れるかどうかは、幼年期の家庭環境に大きく左右されるという。
「経済的に厳しく両親が働き通しであれば、手料理を食べる機会が減り、子どもは安いインスタント食品や出来合い物中心の食事になりやすい。そうなると十分な食育がなされず、大人になっても不健康な食生活になる可能性が高くなります。
また、家庭の収入は子どもの学歴にも影響を及ぼします。きちんとした教育を受ける機会がないと、親だけではなく、子どもも貧困層に組み込まれやすくなる。もちろん、所得が低くても健康的な生活を送る人もいますが、全体的に貧困層ほど安価で高カロリーな食事に偏りやすく、喫煙や運動不足など、不健康な生活習慣に陥りがちなのです」(同)
実際、近藤氏が要介護者の割合を所得階層別に調査したところ、平均すると低所得層(給与所得控除後の総所得が0万円。夫婦で公的年金のみの場合で約175万円未満)の要介護者は17.2%に上ったという。これは、高所得層(同所得200万円以上に加え公的年金175万円以上)の約5倍にあたる。
また、65歳以上の高齢者約1万5000人を対象とした調査では、男性のうち年収200万円未満の人の死亡リスクは年収400万円以上の人の約3倍、がんの死亡率に絞っても約2倍だったという。
■低所得者は7倍もうつになりやすい
さらに問題なのは、この健康格差が体だけに関係するわけではないことだろう。格差は精神面にも影響し、近藤氏によれば「貧しくて低学歴の人ほど、多くのストレスにさらされ『うつ』が多い」というのだ。
「男性に限ると、年収400万円以上の人のうち、うつ状態にあるのが2.3%に対し、年収100万円未満の人では15.8%に跳ね上がります。両者の間では、約7倍もの差があるのです。不眠の割合も、年収400万円以上は48.9%ですが、200万円未満の人は60.1%です」(同)
学歴が低ければ非正規雇用に就く確率が高くなり、時給800円未満なら労働基準法の範囲内で目一杯働いても収入は生活保護受給者以下となる。このワーキングプア状態がどれだけ精神的負荷となるかは、容易に想像がつくはずだ。
こうしたメンタルヘルスの問題は、成人後の所得や労働環境だけに原因があるのではないという。
「不眠やうつといった問題は、子どもの頃の逆境体験が影響していることも考えられます。虐待をはじめ、親との離別や死別などの体験をしている人は、それから50年たったあと、高齢期の経済状況の影響を差し引いても、うつになる可能性が1.3倍高いのです」(同)
精神面の影響を含め、これらの健康格差は何かひとつのことが原因で生まれるものではない。健康を脅かす要因が蓄積されることで、重層的にのしかかってくるのだ。
「なかには、不健康な人に対して『健康管理ができていない』と非難する人もいます。しかし、生まれる家庭や地域の環境は自分ではコントロールできません。スタートラインから違っているのに、そうした点を考慮せず、『健康管理ができないのは自己責任』と言うのは、あまりに乱暴な意見です」(同)
現在、日本は非正規雇用者が4割を超え、厚生労働省の「国民生活基礎調査」(2012年)によれば子どもの16.3%が貧困状態にあるという。近藤氏は「健康格差をもたらす要因を放置する社会は、時限爆弾を抱えているようなものだ」と警鐘を鳴らす。
「このまま、子どもの貧困や非正規雇用などに、なんの対策もなされないと、健康を損ない要介護になる人が爆発的に増える恐れがあります。特に、スタートラインを公平にする意味でも、子どもの貧困対策は重要です。これは、個人でどうにかなる類のものではありません。国や社会として是正すべき問題なのです」(同)
■劣等感やストレスで死亡リスクが1.5倍に
そして、より深刻なのは、この健康格差が、それなりの収入を得ている人にとっても他人事ではない点だ。
「仮に平均以上の暮らしをしていても、たとえば同級生とくらべて『周囲が持っているものを自分は持っていない』と感じれば、劣等感やねたみ、あきらめなどのマイナスの感情が生じます。これを『相対的はく奪感』と呼びます。この相対的はく奪感を持ちやすい状況にある男性は、そうでない人にくらべて循環器疾患(心疾患、脳血管疾患など)による死亡リスクが1.5倍も高いのです」(同)
人間は、周囲とくらべて自分が劣っていると感じると精神的なダメージを受ける。格差が広がり、かつての中間層は低所得層にこぼれ落ち、同じ会社のなかに正社員と非正規雇用者が混在する現在、「相対的はく奪感」を持つ人は確実に増えているだろう。
「今の日本で格差の壁を越えるのは、非常に困難なことです。『一度でも非正規に落ちると巻き返せない』という危機感から、ストレスを感じ、ブラックな企業などにとどまり続けて心身を壊す人が正社員にも増えています」(同)
持たざる者がより不健康になる社会が、はたして健全といえるだろうか。しかも、病気になる人が増えれば労働力が減り、社会保障費に対する国民一人ひとりの負担も増える。
近藤氏は「健康格差の処方せんは、日本社会が直面している社会保障費の増加、少子化や人口減少、経済成長率の鈍化など、多くの問題の処方せんにもなる」という。逆に言えば、健康格差の問題を放置しておくと、日本をさらに衰退させる原因となるのだ。
(文=喜屋武良子/清談社)
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