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業務提携の検討開始を受け会見するトヨタ自動車の豊田章男社長とスズキの鈴木修会長(右)=10月12日、東京都文京区(桐山弘太撮影)(写真:産経新聞)
1月末に87歳鈴木修・スズキ会長「あと20年は第一線で」2016豪快ワンマン「オサム節」の数々
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161230-00000516-san-bus_all
産経新聞 12/30(金) 13:15配信
3兆円企業となった今も「中小企業」を自認するスズキが、2016年の国内自動車業界で良くも悪くも主役級の役割を演じた。5月には三菱自動車に続き燃費データ不正問題が発覚したが、不正対象車の燃費はすべてがカタログ公表値を上回るという異例の「プラス不正」となり世間を驚かせた。10月にはトヨタ自動車と業務提携に向けた検討に入るなど新たな合従連衡の糸口もつくった。会見などでのユニークな発言で「オサム節」として知られるワンマントップの鈴木修会長(86)の語録からスズキ激動の一年を振り返った。
■「定められた測定方法を用いていなかった。深くおわびする」
燃費データ不正問題に絡み、スズキでも不正な走行試験が発覚した5月18日。100人超の報道陣でごったがえす国土交通省の記者会見室にゆったりとした足取りで現れた修会長はこう述べ、頭を下げた。
スズキの当時の発表では、国内販売する全車種の燃費データについて、10年ごろから法令で決められた方法で算定せず、不正に測定していたと説明。対象はスズキが販売した軽自動車のアルトやワゴンRなど16車種と、他社供給分11車種を合わせた全27車種の計約210万台超としていた。
■「不正はない」
それから遡(さかのぼ)ること8日前の5月10日の決算会見。記者から「燃費データの不正はないか?」と問われた修会長は「はい、はい」と言い切っていた。その後の18日の記者会見でその点を突っ込まれた修会長は、決算会見のやりとりを振り返り「その時点では調査が終わってなく、報告を受けていなかった」とし、齟齬はなかったと釈明に追われた。
■「(必要な)設備投資にいたらなかったという点は反省している」
スズキが不正を起こした最大の理由は、燃費データの信頼性にかかわるわずかな投資を渋ったことに起因した。本来は、法令で定められた屋外での走行試験で集めなければいけない走行抵抗値と呼ばれるデータを屋内の装置を使って間に合わせていた。スズキの相良テストコース(静岡県牧之原市)は海に近い丘の上にあり、風などの影響を受けず正確に測定するには防風壁を設置する必要があった。担当部署は、そのための2億円程度の投資の必要性を認識していたが、コストを気兼して経営陣に言い出せなかった。これを受け、慌てて相良コースに風を防ぐための壁の設置を決めたが、修会長は会見の中で、会長の顔色をうかがう組織であったことを暗に認め、防風壁の設置とは対称的に組織は「風通しをよくしなければいけないと思っている」と強調した。
しかし、そこは老練な修会長だ。会見では、燃費データの改竄(かいざん)を行っていた三菱自とは違い燃費性能自体を偽る不正行為がなかった点を強調。「燃費はカタログ値と変わらず顧客に迷惑を掛けることはない。販売は続ける」とし、三菱自とは不正の質が違うことを繰り返し、早期収束につなげたい思惑が透けてみえた。
■「法律を守る基本がなっていなかった」
5月31日。国交省へ報告するために行った社内の再調査で不正のあった車の数に修正点が見つかり、再び開いた緊急会見で修会長は、組織の不備をこう悔いた。改めて正しい方法で測り直した結果も各車種の燃費値は変わらなかったが、不正があった車の台数を約214万台と修正したからだ。
■「(トップダウン型に)限界があった」
長年強力なリーダーシップでスズキを率いてきた自身の経営手法に無理がきていることを認め、自身の責任についても「再発防止策を立てて見届けるのが責任だ」と初めて言及した。
■「世間では『独裁』といわれることもあるが、私一人で(経営全体を)見ることは不可能だ」
それから9日後の6月8日。修会長は燃費不正問題の責任を取り兼務していた最高経営責任者(CEO)職を返上する人事を発表した会見で、こう述べた。その上で、新たな経営体制については「チーム・スズキでやってもらう」とし、実息の鈴木俊宏社長を中心にした集団指導体制に段階的に移行するとの考えを表明した。そして、6月29日に浜松市で開いた株主総会。そこで、修氏が会長に残ることや俊宏社長のCEO就任が正式に承認された。
■「再発防止のために徹底的に会社に残って責任を全うすることが男として大切なことだ」
株主総会の席上、株主からは修会長の会長退任を求める声もあった。それに対し修会長はこう応じて、会場はわれんばかりの拍手に包まれ、修会長のカリスマ性と人気を印象づけた。
そして、8月30日。スズキの燃費不正問題はついに収束の日を迎えた。国交省がスズキの26車種の検証結果を公表し、いずれも燃費がカタログ公表値を上回っており問題はなかったと認定したためだ。
燃費不正問題にひとまずのめどがついたとみるや、修会長は今度は将来の経営を見据えた大胆な戦略に打って出た。軽自動車などの小型車を安く製造する技術に定評があるほか、インドにいち早く進出し新興国市場に強みを持つものの、自動運転などの先端技術では出遅れており、スズキの生き残りには“後ろ盾”が不可欠だったからだ。
■「このままでは、将来が危ういことを理解していた」
10月12日にトヨタとの提携検討を発表した会見で、修会長はこう強い危機感をあらわにした。研究開発費がトヨタの8分の1しかなく、先端技術への全方位対応は到底難しい。そう見越した修会長は9月初めに旧知の間柄であるトヨタ自動車の豊田章一郎名誉会長に相談に訪れた。それをきっかけとして、一気にトヨタとの提携に向けた検討が始まり、自動運転などのITや環境対応車、安全技術といった先端分野での連携を模索することに決まった。
トヨタとの提携検討が始まったことで、修会長は俄然(がぜん)やる気を示している。
■「経営者はこれで一段落とは考えないと思うし、私も同じだ」
トヨタとの提携検討会見で、トヨタという後ろ盾を得たことで「今後は俊宏社長が前面に出るべきでは?」と問われた修会長はこうかわし、しかも「私の考えはあなたとは全然違う」とまで言い切って、会場に大きな笑いを呼んだ。
■「あと20年は第一線で頑張ります」
修会長は17年1月30日で87歳になるが、今年7月の元スズキ会長の葬儀で、こうあいさつした。俊宏社長を中心とした合議制による集団指導体制への移行には時間がかかる見通しで、生涯現役にこだわる姿勢を示したものだ。トヨタとの提携の行く末も含め、修会長の決断が自動車業界にどんな化学反応を起こしていくのか。トヨタとの提携の具体策が見えてくる17年も、オサム節に対し、自動車業界から熱い視線が注がれることになりそうだ。(経済本部 今井裕治)
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