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過労死した男性が掛け持ち勤務をしていたファミリーマートの店舗=大阪府門真市
ブラックすぎる過酷コンビニ 8カ月で休み4日、1日15時間労働、親子2人で月給25万円…一家全員が正常な判断力を失い、必死で働き続けた
http://www.sankei.com/west/news/161229/wst1612290064-n1.html
2016.12.29 23:59 産経新聞
「ようやく終わったと思うと、ほっとした」。和解成立を受け、遺族らはそう口をそろえた。コンビニ大手ファミリーマートの男性従業員=当時(62)=が死亡したのは、過重労働が原因だったとして、遺族がフランチャイズ(FC)の店舗オーナーとファミリーマートに損害賠償を求めた訴訟。男性が勤めていたFC加盟店は、大手コンビニの看板を借りた“ブラック企業”だとしか思えなかったという。過酷な長時間労働から救い出したい一心で、店を手伝うことまでした遺族もまた、心身ともに疲弊しきっていた。
男性は大阪府大東市内の店舗のみで働く契約で雇われたが、平成24年4月以降は隣接する大阪府門真市内の店舗でも働かされていた。
平日の勤務は午後9時〜翌日正午までの15時間。大東の店で深夜1人きりの店番をした後、早朝に15分かけて自転車で移動し、休憩を挟まず門真の店に入る日々を繰り返した。
若いころに鍛えた体は、みるみるやせ細った。目から出血し、血の涙を流しても休日は与えられず、倒れるまでの8カ月間で休めたのは、過労で入院するなどした4日間だけだった。
待遇もひどかった。オーナーは6月、男性の長男(32)を門真の店長として雇った上で、男性に対する給料の支給を止めた。代わりに、本部から毎月送金されてくる店の人件費85万円から給料を捻出(ねんしゅつ)するよう指示したという。
雇っていたアルバイトに支払う人件費は60万円。残り25万円を、親子で折半した。長男自身も過重労働が重なり「何度も車道に飛び出して死のうと考えた」と振り返る。
妻(66)と長女(40)も店の手伝いに入り、男性と長男を支えた。「時間に追われて仕事をして、寝たと思ったらまた仕事。思考できなくなった」。辞めるように何度も男性を説得しながらも、一家全員が正常な判断力を失い、必死で働き続けた。
オーナーと本部には、長時間労働と給料の不払いをやめるよう求めていた。オーナーは「自分は病身なのにこんなに働いている。もっと頑張れ」ととりつく島もなく、本部から派遣されるスーパーバイザーも改善策を講じなかったという。
妻は「夫の命と私たちの生活を踏みにじったオーナーが悪いが、本部の体制もいい加減すぎた」と指摘する。長女は「コンビニはサービスがあふれていて仕事量が多すぎるのに、24時間年中無休で営業を続けること自体、無理がある。業界から二度と過労死を出さないよう、対策を立ててほしい」と要望した。
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