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準備通過となるには未熟な人民元(写真・ZHANG PENG/GETTYIMAGES)
未熟さを抱える人民元は、ハードカレンシーとなるか
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8520
2016年12月29日 大西康雄 (日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所・上席主任調査研究員) WEDGE Infinity
人民元は、その為替レートの動向や中国当局による為替操作の問題に焦点があてられることが多いが、10月1日から正式にIMFの準備通貨となったことを考慮すれば、中長期的観点からの検討が必要な段階となっている。
まず、準備通貨としての未熟さをどう克服するかだ。IMFバスケット内の構成比率は米国ドル、ユーロに次ぐ10.92%で円8.33%、ポンド8.09%を上回る地位に立ったが、国際金融市場で通用する国際決済通貨(ハードカレンシー)としてみると、「為替市場の市場化=自由化」や「資本取引の自由」といった点で未熟さを抱いている。
前者については、毎日の取引の起点=仲値は前日取引の終値を採用し、1日の変動幅を上下3%に制限する管理変動相場制の段階にあり、他の準備通貨と比較して市場化の程度は全く不十分である。後者の資本取引については、規定上は自由だが、実際の取引では中国当局の許可が必要であり、外資系企業などの海外送金の許可が下りないといったトラブルが頻発している。
もっとも、当局が資本取引に目を光らせる背景には、同取引を装った投機資金の動きがある。人民元レートの先高観があった時期には、投機目的でマネーが流入したが、先安観に転じた現在では、マネーの流出が始まっている。準備通貨となった人民元レートの安定を図るために中国当局が外貨売り・人民元買い介入を実施していると見られるが、皮肉にもこれが為替操作として非難される構図となっている。
次に、人民元国際化のゴールであるハードカレンシー化をどう達成するかである。まずは市場に任せて実力相応の為替レートを模索すると同時に、貿易決済や投資などで利用しやすいよう中国の金融市場の対外開放を本格化する必要がある。
この点で注目されるのは自由貿易試験区(上海、天津、福建、広東を手始めに現在も拡大中)だ。同区内に設立された企業は、対外投資の際に従来のような煩雑な許認可をとる必要がなく、試験区内の銀行口座は投資資金の出し入れの自由度が高いなど、改革を先取りする内容となっている。
それでも、徐永紅・中国人民大学財政金融学部教授が国際的使用状況から計算した人民元の「国際化指数」は3.6%で、IMFバスケット内の構成比率10.92%に大きく劣っている。
もう一つ注目されるのは「一帯一路」構想だ。今後構想の対象諸国においては、人民元を用いた貿易決済や直接投資が拡大し、徐々に人民元経済圏が形成されていくと予想される。
このプロセスと人民元国際化が並行して進めば問題ないが、国際化が遅れて「デファクトな人民元経済圏」だけが先行すれば、米国ドルなどの基軸通貨と切り離された経済圏となりかねない。人民元がどのようなハードカレンシーになっていくのか、今後とも注視する必要がある。
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