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榊淳司氏(右)/(C)日刊ゲンダイ
「将来が危ない街」 住宅ジャーナリスト榊淳司氏に聞いた
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/196465
2016年12月24日 日刊ゲンダイ
少子高齢化が進む日本では、売るに売れない空き家や老朽化したマンションが増えている。2017年はこの動きが加速するとみられている。住宅ジャーナリストの榊淳司氏に「住んではいけない街」を聞いた。
「今、住宅ローンは1%未満で借りられます。『借りなきゃ損』という風潮がありますが、非常に危険だと思いますね。ローンを組めば、わずかとはいえ金利を払うわけだし、借金もできる。何より不動産バブル崩壊の予兆があるからです。2020年の東京五輪の前に社会問題化する恐れがあります。『将来が危ない街』で、私が思い浮かべるのは『千葉ニュータウン』です。今も新しいマンションの供給が続いていますが、ディベロッパーは無責任だと思う。恐らく、15年後には徒歩数分の駅近物件でも買い手がつかなくなるでしょう」
日本はこれから人口減少が急速に進み、住宅価格も家賃もどんどん下がっていく。それなのに、片道1時間以上、交通費1000円もかけて東京まで通うのは理にかなわないというのが榊氏の分析だ。
「同じ理由で多摩ニュータウン、港北ニュータウンの未来も暗いでしょうね。最近、若い世代に人気の『越谷レイクタウン』や『柏の葉国際キャンパスタウン』といった新興系のニュータウンもお勧めしません。新築3LDKで80平方メートル超の駅近物件が3000万円台前半で購入でき、近くに映画館や大型ショッピングモールもある。たしかに子育てには便利でしょう。ただ、都心まで通勤に1時間もかかる点は古くからあるニュータウンと一緒です。今35年ローンで買えば、恐らく20年後、資産価値よりもローン残高が上回る“逆ザヤ状態”になっていることでしょう」
■新市場移転で注目の豊洲も10年後は?
かといって、都内ならどこに住んでもいいわけではない。「手持ちの予算で買えそうだ」と足立区や墨田区の端っこにある物件に飛びつくのはダメ。北千住や綾瀬は暮らしやすく便利な街だが、将来、高値で売却できるとは限らない。街は“ブランドイメージ”も大切だという。
「江東区の湾岸エリアの物件も警戒した方がよさそうです。東京五輪開催が決まった直後から始まった局地バブルはハジけつつあります。とくに交通手段が『ゆりかもめ』しかない有明のタワーマンションは避けた方が無難です。『ゆりかもめ』は不動産業界では『バス便』扱い。新市場移転で注目を浴びているお隣の豊洲も、有楽町線がありますが、決して便利な場所ではありません。10年後はどうなっていることか……。二子玉川、成城学園、千歳烏山といった“住みたい街”の上位にランクインする街も、駅から徒歩15分近く離れた物件はガクンと下がるでしょう」
空き家のある街は、不人気となり、価格が下がり、さらに空き家が増えるという悪循環に陥りやすい。
「不動産の資産価値は9割が立地で決まります。どの『街』を選ぶかは極めて大切です」と榊氏はクギを刺す。
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