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アホノミクスのトランプ頼み 株バブルと円安の行方と死角
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2016年12月22日 日刊ゲンダイ 文字お越し
棚ボタなのに…(C)日刊ゲンダイ
こんな強気で明るい表情は久々に見た。日銀の黒田総裁のことだ。
20日の金融政策決定会合で、日銀は国内の景気について、「緩やかな回復基調を続けている」として、1年7カ月ぶりに判断を引き上げた。先月の判断から、「輸出・生産面に鈍さがみられる」の文言を削除。追加の金融緩和も見送った。
「現在の円安・株高は日銀の金融政策の結果ではなく、完全に米国のトランプ効果によるものです。景気判断の上方修正は棚ボタなのに、まるで自分の手柄のようにドヤ顔をするのはおかしいし、自分たちの金融政策は破綻が明らかなのだから、浮かれている場合ではないはずです」(経済アナリストの菊池英博氏)
決定会合後の会見では、最近の急激な円安と、それに伴う株高についての質問が相次いだが、黒田は「円安というよりドル高」との認識を示しつつ、「円安が行き過ぎて問題になるという見通しは持っていない。今年2月くらいの水準で、驚くような数字ではない」と、円安を容認する姿勢を鮮明にした。
21日の東京外国為替市場では、連休前の調整売りもあり、1ドル=117円台半ばまで下落。心理的節目の120円台をやすやすと突破し、一気に130円台を試しにいきそうな勢いだ。
「米大統領選でトランプ氏が“予想外”の勝利を果たして以来、円は対ドルで101円台から117円台にまで急落しました。メキシコ・ペソを除くと、主要通貨の中で突出した下落ぶりです。中央銀行としては警戒しなければならないレベルなのですが、黒田総裁は手放しで歓迎するような態度を見せている。
このままの流れで1ドル=130円、140円となっていけば、輸入コストが上がって物価が上昇し、日銀が諦めかけていた『物価上昇率2%』の目標が黙っていても達成できるとほくそ笑んでいるのでしょう。ただでさえ生鮮食品が値上がりしているところに、OPECの減産による原油高でガソリン代も上がってくる。そこに円安コストが降りかかってきたら、消費者はたまりません。黒田総裁は、目標達成というメンツのために、庶民生活を犠牲にしようとしているのです」(経済評論家・斎藤満氏)
■日米の金利差拡大で富が流出
日銀が10年国債金利をゼロ付近に「ピン留め」しようとしていることも、円安傾向に拍車を掛ける要因になった。先月17日には、指定した利回りで国債を無制限に買い入れる「指し値オペ」を実施。今月14日にも国債買い入れ額を増額し、金利上昇を牽制した。これは実効力に乏しくても、何が何でも金利上昇を抑えるという意思表示をすることに意味がある。
トランプが掲げる大規模減税や公共投資を織り込んで、米国金利が上昇すれば、日米の金利差が確実に拡大するからだ。それだけ円安に賭けやすくなる。海外投資家は安心して円を売れるわけだ。
「金利差が広がれば、投資家が円を調達して外貨に交換し、さらにリターンが大きい投機に回す『円キャリートレード』が盛んになる。その円がニューヨーク株式に向かったので、過去最高値を更新し続けた。それにつられて日経平均も上昇した面があるし、円キャリートレードは畢竟、円の海外流出なので、円安が定着する。それが輸出企業の業績改善が見込めるという理由になって、株高に向かう傾向もあります。ただ、こうした円安では、日本の富が米国に流れ込んで奪われているということを考える必要があります。今はたまたまトランプ効果で株が上がり、政府・日銀の政策ミスが隠されていますが、金融を緩めて円安にしても、庶民生活が圧迫されて消費が低迷し、景気は良くならなかった。アベノミクスは完全に失敗だったのです。日銀はむしろ、FRBの利上げに合わせて、金利を上げるべきです」(菊池英博氏=前出)
金融緩和だけで実体経済は良くならないことが実証され、世界中で緩和政策を見直す機運が高まっているのに、日本だけ「この道しかない」と、アベノミクスの異次元緩和策にしがみついているのも、円安の要因になっている。
「第二のプラザ合意」もあり得る(C)AP
円安地獄の後の急激な円高という往復ビンタ
20日に発売された同志社大教授の浜矩子氏と評論家の佐高信氏の対談本「大メディアの報道では絶対にわからない どアホノミクスの正体」では、行き詰まったアベノミクスはもはや「アホノミクス」を超えて、「どアホノミクス」になっていると警告する。2人は「週刊現代」の最新号でも対談しているが、「どアホノミクス」をケチョンケチョンだ。
〈日銀は「チームアホノミクス」の中央銀行支部になっている〉〈金融政策と現実の辻褄がどんどん合わなくなってきている〉(浜氏)
〈日銀は、小手先のテクニカルなことばかりやろうとしている。それが日本経済を殺すような、とてつもない結果をもたらす〉〈このまま現実から目をそらし続けていると、日本全体が、近い将来とんでもない落とし穴にはまってしまう〉(佐高氏)
1ドル=140円台に突入すれば、日経平均はバブル期の高値を更新して4万円に達する――。そんな超楽観予想が幅を利かせ、市場はイケイケのお祭り騒ぎになりつつあるが、冷静に考えれば、危ういマネーゲームの裏では、深刻な事態が進行しつつあると考えるべきだ。前出の斎藤満氏が言う。
「海外投資家は、為替がどちらに振れても儲かるように動いている。仕掛けて流れをつくり、そこに一般投資家の“提灯”がつけば、投機筋の売り持ちは一層の利益を呼びます。米国は、トランプ政権で大規模な財政支出が控えている今、ドル高を容認していますが、かつてプラザ合意で大幅な修正を迫られたのと同じことがいずれ起きる。円安・ドル高が修正される時は、極端な円高になるはずです。投機筋にとって絶好の稼ぎ場ですが、日本の輸出企業には大きな負担になる。まずは円安地獄で個人の負担が高まり、その後、急激な円高で企業が軒並みやられるという往復ビンタを、日本経済が食らうことになりかねません」
トランプ頼みの相場がいつまで続くか分からないのに、浮かれる日銀や市場はいい気なものだ。
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