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金融庁、地銀への「監督・検査姿勢大転換」の衝撃
http://diamond.jp/articles/-/112134
2016年12月21日 宿輪純一 [経済学博士・エコノミスト] ダイヤモンド・オンライン
金融庁が金融機関の監督・検査姿勢を大きく転換、森信親長官の名を冠した「森ドクトリン」が注目を集めている。その対象は銀行、とくに影響が大きいのは地方銀行(地銀)だ。この転換は貸出が減少し、国債金利の低下で収益が厳しい地銀の経営に与える影響が極めて大きいと考える。金融庁の試算でも、2024年度には地銀の6割超が赤字になる見通しまで示している。
■リスクオフからリスクオンへの大転換
従来の銀行に対する金融庁の監督・検査は、不良債権を作らせないことがメインであった。最近、イタリアの銀行で増加している不良債権問題を見ても分かるように、銀行にとって、不良債権が少ないことが銀行経営の健全性において重要指標であることは間違いない。
しかし、その面ばかりが強調されると、銀行経営が「守り」一辺倒になってくる。たとえば中小企業への貸出は担保を前提としたり、さらに当局の信用保証協会(マルホ)の保証を前提としたり、リスクを最小限に抑えるようになってきた。
加えてビジネス面では、地銀の経営基盤は本来地方にあるが、そのエリアの経済が低迷する中、まだ比較的景気がいい東京など都市部での貸出を伸ばしてきた。
その姿勢が転換されたのだ。今後、地銀は地場企業を育て、地域経済の成長に重点を置かなくてはならない。しかも創業支援までもが項目に入っている。
今後、地銀は自身の分析と判断によって、企業への融資判断をすることになる。確かに、それは金融業本来の姿といえる。
■求められる地銀の経営転換
この姿勢の転換は大きい。180度といってもいいかもしれない。銀行の企業に対する融資というものは、あくまでも一般論であるが、企業の経営が安定してくる前に行うものではなかった。これまでは、銀行本体に不良債権を作らないことを最優先に、リスクを極めて低減させていたわけだ。
それが、地方企業の育成、それも創業支援も行う。さらに地域経済の成長にも責任を持たせようとしている。創業時というのはリスクが高い。筆者の銀行マンとしての経験では、基本的に創業時の貸出は聞いたことがない。出資という形に至っては、法的な制限もあり、銀行にとっては融資よりも困難であった。逆にいうと、銀行にとって最も苦手な部分といっても過言ではない。
いうなれば、銀行にとって極めて困難な転換なのである。組織全体の発想の転換が必要となる。創業時の分析・支援、担保なしでの案件毎の審査、加えて地域経済の成長という結果をもたらなければならない。当然、東京などの都市部への貸し出しは、地方の貸し出しに戻すことになる。さらに、リスクをとるために、どうしても不良債権は発生してくることにもなる。
■地銀の合併も急増か
銀行(地銀)にとって金融庁は免許を発行している監督官庁である。銀行にとってみれば、、極めて大きい権限を持っている。今回の姿勢の転換も徐々に実行されることになろう。しかし、昨年7月に着任した森長官の任期もそれほど長くはない。急がせることとなろう。その流れの中で、来年は地銀の合併が増えるのは必然だ。
銀行業というものを考えた場合、創業からの支援、地場産業の育成、そして地域経済への貢献は、本来の業務である。個人的に、この動きには基本的に賛成であり、日本経済の成長に寄与する可能性も高いと考えている。
これらは米国風にいうならば「投資銀行」業務でもある。収益性が高く、銀行の経営改善に資する可能性もある。いわゆる「持続性のあるビジネスモデル」だ。だが、銀行にとっては辛い決断だ。来年以降、まずは行内のノウハウ・人材の補強が、急務になるのはいうまでもない。
(経済学博士・エコノミスト 宿輪純一)
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