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コンビニエンスストアのお酒コーナー
ビール1缶の税額77円は「時代に逆行」の高止まりだった…発泡酒と第3のビールは大幅増税へ
http://biz-journal.jp/2016/12/post_17514.html
2016.12.20 文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト Business Journal
2017年度の税制改正大綱で、個人的にもっとも気になっていた項目がある。配偶者控除枠の見直しでも、タワーマンション節税対策の固定資産税引き上げでもない。ビール系飲料の税額を統一するというものだ。これは、庶民にとっては悲報というほかない。何がそんなに悲しいかといえば、毎日の晩酌代を節約するために選んでいた発泡酒や第3のビールが値上がりするかもしれないからだ。
これまで、ビール系飲料の税額は3つに分かれていた。350ml当たりの税額はビールが77円、発泡酒(麦芽比率25%未満)が47円、第3のビールが28円だ。その税額の差が価格に反映され、もっとも安い第3のビールに手が伸びるという光景が見られたわけだ。
そもそも、ビール自体の税額が高いことが問題であり、各ビールメーカーも税率引き下げを求めてきた。大手5社が参加するビール酒造組合らがまとめた「日本のビール・発泡酒・新ジャンルと税」(2016年)には、以下のような記述がある。
「香水には、かつて『物品税』が課せられていました。いわゆる、『嗜好品』『贅沢品』として認識されるようなものに、税金が課せられていたことになります。香水の物品税率は10%前後の水準で保たれていました。香水を10本購入すると、うち1本が税金である割合になります。ビール酒税率と比較した場合、ビール大ビンの酒税率は50%弱であり、ビール大ビンを購入する場合には、およそ2本に1本は税金である割合になります。ビールと同じように身近な存在である香水が『贅沢品』から外される一方、ビールはいまだ『贅沢品』に留め置かれてしまっています」(一部省略)
さらに、別のページでもこうした指摘がある。
「酒の税負担も、かなり低減されてきました。しかし、ビールと発泡酒は、消費量が多く、徴収額が多いこともあり、他の酒類に比べて、高い税率のまま据え置かれています。発泡酒に至っては、これまでに平成8年(1996年)と、同15年(2003年)の2回、増税されています。つまり、ビールと発泡酒の酒税だけが、時代の流れに逆行しているのです」
こんな具合にメーカーも怒っていた。つまり、ビールの減税はメーカーサイドにとっても悲願だったが、その願いは「ビールの税率は下がるが、発泡酒および第3のビールが増税になる」というかたちで実現されることになる。
政府は10年かけて、26年に350ml当たりの税額を54.25円に揃える方針だ。同時に、第3のビールというカテゴリーは消滅し、ビールと発泡酒の2種類になりそうである。350ml缶なら100円程度で買えた家計の救世主が消えてしまうのかと思うと、なんとももの悲しい。もし、これで業界全体が冷え込むとすれば、ビールメーカーにとっては痛しかゆしだろう。
■クーポンでは迷わずビールを選ぶべき理由
ここからが本題だ。そもそもビールの税額が高いということは、それは売価に跳ね返っている。年末年始の宴会シーズンでアルコールを飲む機会も多くなるが、中でもビールは欠かせない。飲食店にとっては、原価が高く儲けが少ないビールよりは、ワイン、チューハイ、ウィスキーの水割りなどを頼んでほしいところだろう。
前述の「日本のビール・発泡酒・新ジャンルと税」によれば、コップ1杯(180ml)当たりの税額はビールが40円、ワインが14円、水割りが16円、缶チューハイが14円。お客さんにチューハイや水割りを飲んでもらえばもらうほど、店が儲かることになる。
そこで、1ドリンク付きクーポン券を使える場合は、迷わずビールを頼もう。宴会の乾杯で「飲めないからソフトドリンクがいい」とのたまう方がいても、とにかく人数分はクーポンを使ってビールを頼み、そのあと個別にソフトドリンクをオーダーしてもらうといい。宴会が始まれば、そのビールは誰かが飲むだろう。店を儲けさせないためではなく、単純に一番高いものを選ぶというのが経済的合理性にかなっているからだ。
また、宴会を飲み放題付きコースにするかどうかも一考が必要だ。飲み放題にビールが含まれているのであればお得感があるが、別なら個々に頼んだほうがいい場合もある。そのため、コースは参加者の顔ぶれを見てフレキシブルに決めよう。
ビール好きが集まるのであればビール入りの飲み放題を選んだほうがコスパがいいが、女性メインなら得策ではない。筆者も、女性ばかりの宴会で飲み放題用の青りんごサワーがピッチャーでなみなみとやってきたときには仰天した。あれは、女性は全部飲めないと思う。
■幹事を任されたらイタリアンが狙い目?
宴会の幹事としては「値段の割にはしょぼかった」と言われるのが一番しんどい。その場合、気をつけたいのは炭水化物メニューだと筆者は考える。腹もちがいい炭水化物のメニューが宴会コースに複数含まれる店は、そこを計算しているに違いない。
たとえば、フライドポテト、ピザ、パスタ、グラタン、ドリア、焼きそば、チャーハンなどがそれにあたる。このうち3つが含まれていれば、満腹度は高いだろう。逆に、女性が多い宴会の場合は満腹度よりもデザートが充実しているほうが喜ばれる。安く、しかも満足度が高い宴会を目指すなら、炭水化物メニューが入りやすい洋食やイタリアンの店が狙い目だ。ポテトとピザとパスタの炭水化物重ねワザで、「物足りない」という声を封印できるはずだ。
筆者も愛用している価格コンシャスなファミリーレストランチェーン・サイゼリヤのメニューを見ると、ドリア、ピザ、パスタとコスパがよさそうなメイン料理が並んでいるではないか。サイゼリヤ会長の正垣泰彦氏の著書によると、食材の原価率は34.2%だという(08年9月の数字)。正垣氏は、「飲食店は食材の品質が第一で、原価率を下げるべきではない」と書いているが、サイゼリヤの値付けはイタリアンを低価格で実現できるという証明でもある。
宴会の幹事を任されたら、コースの料金だけでなく、飲み放題に含まれるアルコールの種類や料理の炭水化物割合をぜひチェックしてほしい。
(文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト)
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