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ダイハツが設計したトヨタ車は古くからあったが、ダイハツの完全子会社化で、これからどんどん増えていく。写真はダイハツ・トールのOEM車、トヨタ・ルーミー
ダイハツ製トヨタ車、バカ売れは予定通り
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161219-00000014-zdn_mkt-bus_all
ITmedia ビジネスオンライン 12/19(月) 6:13配信
トヨタ自動車の新型車「ルーミー」と「タンク」がバカ売れしている。発表では、11月9日の発売から1カ月でルーミーが約1万8300台、タンクは約1万7600台。端数の処理がどうなっているのかは分からないが、単純合計すると3万5900台。月販目標は各3750台と発表されているので目標の10倍になろうかという勢いである。
このルーミーとタンクはダイハツの新型車「トール」のOEM(相手先ブランドによる生産)であり、スバルでは同じクルマを「ジャスティ」として販売している。要するに良品廉価を標榜(ひょうぼう)するダイハツの商品をグループ全体の販売網で売るという連係プレイである。
この仕組みはよくできている。スバルはそもそもこのクラスに適したエンジンを持っていないし、他社がどんどん3気筒に切り替えていく中で、軽自動車に最後まで4気筒エンジンを搭載していたあたりから見ても、こだわりが浮き世離れしているところがある。コストを気にしないで済むモデルなら良いが、低価格で薄利多売の競争をする商品を開発させるのはいかにも危ない。
では、トヨタはというと、どちらかと言えば小型車を得意とはしていないし、北米のゼロエミッションビークル規制が極端に理想主義的な規制強化したことの対応として、複数の電気自動車を早急に開発しなくてはならない。もちろんその電気自動車はグループ各社が売ることになるだろう。いずれにせよ猫の手も借りたい状況でもある。小型車のスペシャリストであるダイハツがクルマを作ってくれて、それをトヨタ自慢の販売網で売れるのだから、願ったり叶ったりだ。
ダイハツにとっても自社だけでは逆立ちしても売れない台数をトヨタが売ってくれるので、開発費の回収が早まり、資金の回転が良くなる。運転資金は、経営的に見ると永遠に眠っているに等しい無駄金なので、回転率が上がると塩漬けになっていた資金が回収できてウハウハだ。ということで、グループ全社がハッピーになる見事な絵図になっている。
●軽自動車のノウハウで小型車を変える
そもそもトールは、軽自動車で培った背高モデルのノウハウをリッターカークラスに適用したもの。だから軽自動車のノウハウが大きくモノを言う世界である。ネット上では口さがない人たちが「スズキ・ソリオのパクリだ」と言うが、筆者の正直な感想を言えば、軽のやり方を小型車に持ち込むという手法は誰が考えても思い付く普通の発想で、パクリだと騒ぐほど独創性に満ちた企画ではない。確かに、トヨタは過去に他社のヒットモデルをつぶすキラーモデルを投入してきた実績があるのは事実だが、今回ばかりはそれを糾弾するのはちょっと違うように思う。
さて、クルマの話に移る。まずは車両サイズを見てみよう。カッコ内は比較としてタントのサイズを記載してみる。
全長 3700(3395)mm
全幅 1670(1475)mm
全高 1735(1750)mm
ホイールベース 2490(2455)mm
室内長 2180(2200)mm
室内幅 1480(1350)mm
室内高 1355(1365)mm
前後乗員間距離 1105(1120)mm
最小回転半径 4.6(4.4)m
この数値を見ると外寸が前後左右に広がっており、そこで無理をしなくて良い分、全高が控えめになっていること。室内長は荷室ニーズの差の分、トールの方が短くなっているが、室内幅では130ミリも広がっている点が目に付く。
全幅を拡大し、かつ全高を抑えていることは乗り心地でも効いてくる。本来は前後トレッドの平均値と重心高の関係で見るべきだが、リヤのトレッドはモデルによっても異なるし、重心高は装備別に変わってしまう。モデルごとに計算しても煩雑だし、所詮は目安なので、簡易的に全高を全幅で割った値で見てみる。
トール 1735/1670=1.039
タント 1750/1475=1.186
つまり、左右のタイヤの踏ん張り幅に対しての背の高さの割合はタントの方がかなり高くなっている。こういうクルマをコーナーで倒れないように踏ん張らせようと思うと、サスペンションのばねを硬くせざるを得ない。3カ月前に試乗した女性向け軽自動車の「ムーブ・キャンバス」はユーザー対象とマッチしない硬い脚になっていたので、同じく背高ボディのトールも心配したのだが、乗り心地はぐっとマイルドで、心配は杞憂(きゆう)だった。
理由は上述の通りで、全幅が広がり全高が減った。それにより、ロールに対抗するのにムーブ・キャンバスほど硬いばねを使う必要がなくなったからだ。乗り心地はこの種のクルマとしてはマイルドで、直進安定性がとても高い。高速道路でレジャーに出掛けることが苦痛にならない、良い出来だ。騒音面は直進安定性ほど特筆するには及ばないが、かなり静かな部類に入るだろう。余談だが、この仕上がりの差を見るにつけ、軽自動車の寸法規定のいびつさを感じざるを得ない。
●トールとソリオの思想の違い
エンジンはダイハツ製KR型の3気筒で、無過給と過給が選べる。ダイハツではターボモデルを「1.5リッタークラス相当のトルクを発揮する」と言う。エンジニアと話をする限り、速く走らせたい人に向けたユニットと想定しているらしい。
そこはちょっと筆者と意見が違う。乗ってみるとなるほどターボ付きはパワーがあるが、一方でノンターボがどうにも力不足という印象は受けない。しかしながら、それはCVT(Continuously Variable Transmission)がせっせと仕事をして低速トルクの不足を補っているからで、少し加速したいつもりでアクセルを開けても、勇ましくエンジン回転を上げて加速を始める。だから穏やかに落ち着いて乗りたい人にこそ、あまり変速比を変えずにエンジンのトルクで走らせようとするターボモデルの方が合っていると思う。エンジンが加速の度に吹き上がることが気にならない人ならば、ノンターボには燃費面でメリットがある。
せっかくこうしたクルマに乗るのだから、直接のライバルであるスズキ・ソリオに事前に乗っておいた。スペック上は似通った2台だが、クルマ作りの方向性には違いを感じた。ソリオはある意味素っ気ない道具感が魅力で、できる限り安くてちゃんと走るものを作ろうと言う姿勢が見える。良くも悪くも開き直っている。それを清々しいと感じるか、高級感がないと感じるかは人それぞれだが、ソリオの潔さそのものはとても共感できた。
しかし、限られた予算の中で少しでも高級感がほしいといった要望にソリオは応えてくれない。トールはそういう人の性のようなものをすくい上げてくれる部分がある。例えば乗り心地がそうだ。ソリオは、突き上げは突き上げとしてあるがままに伝えてくる。その分ドライバーの意図する操作に対するクルマの動きも夾雑物(きょざつぶつ)がなく伝わるキビキビとしたキレの良さがある。
一方でトールは、そこを少しでもマイルドで柔らかなものにしたいというエンジニアの気持ちが感じられる、柔らかく厚ぼったい印象のものになっている。それは小型車とはどういうものかというリファレンスが、ダイハツとスズキで違うということなのだと思う。極めて端的な例で言えば、トールのインパネの各部樹脂にはステッチを模したデザインがあしらわれている。言うまでもないが、それは革張り内装の文法をコピーしたものだ。しかしながら誰もそれを本物の皮革だとは思わないだろうし、クルマに乗り込むときに本革内装を期待する人もいまい。それでもステッチを入れたい心が良くも悪くもトールにはある。
●タブレットをフィーチャーする?
結果として、運動体としてのトールはそれなりに優れたファミリーカーになっていると思う。ただしインテリアのデザインあたりを見ると、共感できる部分が少ない。大画面のタッチパネル式モニターを置き、それを軸にデザインしたと思しきセンター部の平面は、インパネ造形との整合性が皆無である。ダイハツの人は「タブレット的に見せたかった」と言うが、本当にそれを望むならインパネ全体を米Appleがデザインしたらどうなるか考えるべきだと思う。
しかし、タブレットは運転中の操作を前提としたユーザーインタフェースではないので、変にそれをフィーチャーしようとしたことに筆者は疑念を感じる。クルマ屋のプライドを持って、今やクルマにとって欠かすことのできないモニター経由の情報提示をどうしていくべきなのかを提案し、それで世界の自動車を変えていこうとする意気込みがほしい。
「アップルなんぞにクルマのことは分からない。クルマのITならダイハツを手本にしろ」と豪語してほしい。ブラインドモニターなど既に機能の一部はそういう提案になっているが、見せ方そのものはまだ然るべき進化をしているとは言えない。
ファンクションキーの操作で何でも見せられますというのは、情報のプライオリティを作り手自身が考えることの放棄だ。運転中に何を見せ、何を見せないのか。停止して何かを調べたいときに何をどう見せるのか。そういう人とクルマの関係性についてダイハツは世界屈指のプロではないのか? タブレットの真似をしている場合じゃなく、それはダイハツが切り開いていくべき問題だと思う。
なぜならトヨタの完全子会社としてトヨタグループの小型車開発を一気に引き受けるという責任は、子会社で部分的に協業してきたこれまでとは重みが違うからだ。トールの兄弟車であるルーミーとタンクは、冒頭に書いたようにひと月で3万5900台も売れた。これからダイハツが作る小型車は数万台単位で売れるものになっていくのだ。
(池田直渡)
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