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領収書に自分で手書き、経費で私的飲食…即刻で会社クビも!備品持ち帰りも違法
http://biz-journal.jp/2016/12/post_17502.html
2016.12.18 文=鉾木雄哉/清談社 Business Journal
貸切バスやタクシー事業を手がける両備ホールディングスが11月9日、スマートフォン向けゲームアプリ「ポケモンGO」を操作しながらバスを運転していた男性運転手を懲戒解雇した。
懲戒解雇とは、いわゆる“クビ”のことで、従業員の違反行為に対する懲戒処分のなかではもっとも重い。同じ解雇でも、普通解雇の場合は退職金が支払われ、30日前に予告が必要(即日解雇の場合は30日分の賃金を支給)だが、懲戒解雇は即日クビで退職金も支払われないケースもある。再就職も難しくなるため、次の仕事がなかなか決まらず路頭に迷うことにもなりかねない。労働者にとっては、かなりの不利益を被ることになる処分だ。
そのため、日本の法律では、よほどの違反行為をしない限り、会社側は容易に懲戒解雇することはできなくなっている。しかし、実は多くの人が職場で当たり前のようにやっている行為のなかにも、懲戒解雇になり得るものが潜んでいるのだ。
■会社の備品を持ち帰ると業務上横領罪?
たとえば、会社に提出する領収書の日付や宛名を改ざんしたり、白紙の領収書に自分で金額を書いて請求したりする行為。「自分自身はやっていないが、先輩や上司がやっているのを見たことがある」という人もいるかもしれない。
しかし、これはれっきとした犯罪行為である。みらい総合法律事務所の谷原誠弁護士は、「領収書の日付や宛名を改ざんするのは、私文書変造の罪に問われる可能性があります。さらに、実際の支払額より多い金額を請求した場合は、詐欺罪に問われる可能性もあるでしょう」と語る。
過去の判例では、領収書を改ざんして10万円を着服した管理職に対する懲戒解雇を有効とした判決が出ている。また、「会社のプロジェクトなどで余った予算を使って同僚などと飲みに行く」というのも、立派な犯罪だ。
「会社のお金を私的に流用すると、業務上横領罪に問われる可能性があります。会社は営利を追求するのが目的です。お金を横領するということは、会社秩序を破壊する重大な違反行為になり得るので、懲戒解雇になる可能性は十分あります」(谷原弁護士)
実際、過去には警察官の男性が捜査諸雑費を同僚や部下との飲食代に流用したことで、業務上横領罪で書類送検されている。これは公務員の事例だが、民間企業の会社員が行っても同様だという。
また、会社の経費で購入したボールペンやハサミを家に持ち帰る行為も、悪質とみなされると同様の罪に問われる可能性があるという。金額が小さい備品とはいえ、会社の物を勝手に持ち出すのはご法度だ。
■社員の悪口に社長が激怒して解雇を画策
そして、今の時代に一番気をつける必要があるのが、多くの人が利用するようになったフェイスブックやツイッターなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)だろう。
残業がつらかったり上司に理不尽な怒られ方をしたりして、仕事のグチや不満をつぶやいたり、会社の内部事情を書き込んだりしたことのある人もいるだろう。しかし、谷原弁護士によると、この行為はかなり危険だという。
「悪質な誹謗中傷であれば、名誉毀損罪に問われるかもしれません。さらに、炎上して社名が流布すれば会社から損害賠償請求される可能性もあります。また、職場の機密情報を漏洩させると、不正競争防止法違反という重い罪になる可能性があります」(同)
情報漏洩で不正競争防止法に違反した場合の個人の罰則は、最高で懲役10年、罰金3000万円。懲役刑と罰金刑の両方を科されることもあり、それだけ重大な犯罪行為といえる。
谷原弁護士は、インターネット上に社員による自分の悪口を発見した社長が感情的になり、「その社員を懲戒解雇したい」と相談されたこともあるという。
「その社員を調べた結果、これまで述べてきたような違反行為があれば、それを理由に懲戒解雇できるということもあります」(同)
今、企業においてコンプライアンスは最重視しなければならない問題だ。今回お伝えした行為に少しでも心当たりがある人は、行動をあらためたほうが身のためだろう。「みんなやっているから大丈夫」と油断していると、人生を棒に振ることになるかもしれない。
(文=鉾木雄哉/清談社)
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