★阿修羅♪ > 経世済民116 > 775.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
トランプ政策成功ならドル高継続リスクは欧州政治 トランプに挑むイエレン大統領 利上で安易な借金は幕引 円債金利は後半低下
http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/775.html
投稿者 軽毛 日時 2016 年 12 月 16 日 20:02:05: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 


Special | 2016年 12月 16日 18:06 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース

展望2017:

トランプ政策成功ならドル高継続 リスクは欧州政治

[東京 16日 ロイター] - 2017年の外為市場における焦点は、トランプ次期米大統領の具体的政策の実現度合いだ。景気拡大の期待が高まれば、インフレが高進し、金利は上昇、ドル/円JPY=は120円を大きく超えていく可能性が高まる。

しかし、失望となれば、足元のドル強気相場を支える期待の歯車が逆回転を起こしかねない。欧州の政治イベントで保護主義的な動きが強まることも警戒されており、円高リスクをはらんだ1年となりそうだ。

市場参加者の見方は以下の通り。

●トランプ期待はく落ならドル安/円高に回帰

<三菱東京UFJ銀行  チーフアナリスト 内田稔氏>

トランプ次期米大統領が打ち出す財政出動の行方が、ドル/円を左右する側面が強くなりそうだ。年前半は、市場の期待に沿う内容かどうか見極めが進むとみられる。

財政出動規模が、期待を下回るというのがメーンシナリオだ。その場合、すでに成熟状態にある米国経済の勢いが鈍化し、米連邦準備理事会(FRB)による利上げは3回どころか、今年同様に1回で打ち止めとの思惑が強まりかねない。

年央あたりから、次第にドル安/円高へと回帰するだろう。早ければ2月の予算教書や春先の予算編成の段階で、期待がはく落しかねないため、注意が必要だ。

ただ、トランプ政策への思惑が期待インフレを高めて米長期金利を押し上げ、ドル/円をけん引するというシナリオ継続の可能性も、従来に比べれば高まってきた。米10年国債利回りが2.6%に上昇しており、今後、2.5─3.0%レンジとなればドル/円は120円を超えてくるだろう。

次期政権が実際に期待通りの手腕を発揮する可能性もゼロではない。もっとも、米金利とドルが上昇すれば世界経済が圧迫されるリスクも高い。米金利とドルが上昇するにしても、ここからは緩やかではないか。

●「トランプ相場」は3月まで 年末にかけてドル反落リスク

<みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔氏>

トランプ次期米政権の財政政策への期待からドルや米長期金利が急騰し、米国の金融状況は強烈に引き締まっている。この影響は1─3月期の米経済に何らかのかたちで出てくるはずで、4月以降の経済指標でそうした傾向が確認されるようになるだろう。FRBも3月にぎりぎり利上げできるかもしれないが、それ以降は難しく、年3回など到底できないとみている。

米国の通貨政策に関しても、米財務省がこのままドル高を容認するとは思えない。象徴的には4月に出てくる為替報告書で問題視される可能性もあるし、3月のドイツG20における要人発言も注意が必要だ。政治・経済的にみて米金利高・ドル高・株高の「トランプ相場」は、続いても3月までとみている。

米大統領選以降のドル高/円安は米10年債利回りの上昇に強く反応したものである以上、米金利が低下した時に買われるのも恐らく円になるだろう。1カ月で15円上昇したものは、1カ月で15円下落してもおかしくはなく、来年末に100円近辺という展開も荒唐無稽ではない。上方向では120円を超えることもあると思うが、その水準では迷いなく戻り売りのチャンスと捉えたい。

●嵐の前の静けさ 基軸通貨の揺らぎを孕むトランプラリー

<三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏>

トランプラリーの推進力は、先進国で低成長が常態化し、リーマンショック後に世界経済をけん引してきた新興国に息切れが目立つ中、覇権国である米国がインフラ投資や減税を実施すれば、経済に相応の効果をもたらすとの期待だ。

日本が仕掛けた期待に働きかける相場は日本止まりだったが、今回米国が仕掛けたものはグローバルな広がりを持つ。アベノミクスラリーでさえ3年半続いたことに鑑みれば、トランプラリーも相応の時間、続くと予感させる。

しかし、期待がけん引する株高、ドル高は中長期的なリスクを抱えている。

現在、主要国はリーマン直後のような財政余力を持ち合わせておらず、米国の財政収支は年間で6000―7000億ドルの赤字になろうとしている。無い袖は振れないことに、市場はいずれ気付くだろう。

また、HIA(本国投資法)など、世界で流通するドルを米国に還流させる措置は、見方を変えれば、ドルが基軸通貨としての役割をもはや果たせないことの表れだ。

トランプ政権4年間を見渡せば、結果的に、米国に都合の良いドル安が次第に浸透していくと考えている。現在のドル高は、そのバッファーを作るべく、発射台を高くするための準備だったと後々歴史を振り返ることになりそうだ。

来年については、ドル/円の上限を122.50円―125.00円とみている。

●ドル高継続、欧州政治イベントで調整も

<クレディ・アグリコル銀行 外国為替部長 斎藤裕司氏>

中国経済が底堅いという前提のもと、基本的にはドル高基調が続くとみている。トランプ次期米大統領が掲げる経済政策は、減税や財政出動などで景気を刺激し、米国内に雇用を生み出すというもの。米連邦公開市場委員会(FOMC)も年3回の利上げを予想するなど、ドル高に触れやすい。

貿易的に通貨安がいいといっても、ドル買いを促すような政策が多い以上、容易にドル安にはできないだろう。故意にドル安にしようとすれば、中国の通貨安誘導を批判できなくなる。実際、為替介入も現実的ではない。

調整があるとすれば、欧州の政治イベントがらみだろう。4、5月にフランス大統領選、9月にドイツ連邦議会選挙がある。今年はイギリスの国民投票、米大統領選と事前予想が外れただけに予断は許さない。

ドル/円は120円以上に上昇するが、3月末までに115─120円のところまでいったん調整されそうだ。その後は、米国の利上げを織り込みながら再び125円方向を目指す展開を想定。年末にかけて120円付近まで戻すイメージをもっている。

(為替マーケットチーム 編集:伊賀大記)

ロイターをフォローする

おすすめ記事


シカゴ日経平均先物(15日) 2016年 12月 16日
コラム:ドル円急騰の背景に「2つの損切り」の影=佐々木融氏 2016年 11月 25日
焦点:中国建設見本市で膨らむ2017年復活の夢、一帯一路構想で 2016年 11月 29日
http://jp.reuters.com/article/trump-risk-idJPKBN1450S5


 


Special | 2016年 12月 16日 18:06 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース

展望2017:トランプ政策成功ならドル高継続、リスクは欧州政治

[東京 16日 ロイター] - 2017年の外為市場における焦点は、トランプ次期米大統領の具体的政策の実現度合いだ。景気拡大の期待が高まれば、インフレが高進し、金利は上昇、ドル/円JPY=は120円を大きく超えていく可能性が高まる。

しかし、失望となれば、足元のドル強気相場を支える期待の歯車が逆回転を起こしかねない。欧州の政治イベントで保護主義的な動きが強まることも警戒されており、円高リスクをはらんだ1年となりそうだ。

市場参加者の見方は以下の通り。

●トランプ期待はく落ならドル安/円高に回帰

<三菱東京UFJ銀行  チーフアナリスト 内田稔氏>

トランプ次期米大統領が打ち出す財政出動の行方が、ドル/円を左右する側面が強くなりそうだ。年前半は、市場の期待に沿う内容かどうか見極めが進むとみられる。

財政出動規模が、期待を下回るというのがメーンシナリオだ。その場合、すでに成熟状態にある米国経済の勢いが鈍化し、米連邦準備理事会(FRB)による利上げは3回どころか、今年同様に1回で打ち止めとの思惑が強まりかねない。

年央あたりから、次第にドル安/円高へと回帰するだろう。早ければ2月の予算教書や春先の予算編成の段階で、期待がはく落しかねないため、注意が必要だ。

ただ、トランプ政策への思惑が期待インフレを高めて米長期金利を押し上げ、ドル/円をけん引するというシナリオ継続の可能性も、従来に比べれば高まってきた。米10年国債利回りが2.6%に上昇しており、今後、2.5─3.0%レンジとなればドル/円は120円を超えてくるだろう。

次期政権が実際に期待通りの手腕を発揮する可能性もゼロではない。もっとも、米金利とドルが上昇すれば世界経済が圧迫されるリスクも高い。米金利とドルが上昇するにしても、ここからは緩やかではないか。

●「トランプ相場」は3月まで 年末にかけてドル反落リスク

<みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔氏>

トランプ次期米政権の財政政策への期待からドルや米長期金利が急騰し、米国の金融状況は強烈に引き締まっている。この影響は1─3月期の米経済に何らかのかたちで出てくるはずで、4月以降の経済指標でそうした傾向が確認されるようになるだろう。FRBも3月にぎりぎり利上げできるかもしれないが、それ以降は難しく、年3回など到底できないとみている。

米国の通貨政策に関しても、米財務省がこのままドル高を容認するとは思えない。象徴的には4月に出てくる為替報告書で問題視される可能性もあるし、3月のドイツG20における要人発言も注意が必要だ。政治・経済的にみて米金利高・ドル高・株高の「トランプ相場」は、続いても3月までとみている。

米大統領選以降のドル高/円安は米10年債利回りの上昇に強く反応したものである以上、米金利が低下した時に買われるのも恐らく円になるだろう。1カ月で15円上昇したものは、1カ月で15円下落してもおかしくはなく、来年末に100円近辺という展開も荒唐無稽ではない。上方向では120円を超えることもあると思うが、その水準では迷いなく戻り売りのチャンスと捉えたい。

●嵐の前の静けさ 基軸通貨の揺らぎを孕むトランプラリー

<三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏>

トランプラリーの推進力は、先進国で低成長が常態化し、リーマンショック後に世界経済をけん引してきた新興国に息切れが目立つ中、覇権国である米国がインフラ投資や減税を実施すれば、経済に相応の効果をもたらすとの期待だ。

日本が仕掛けた期待に働きかける相場は日本止まりだったが、今回米国が仕掛けたものはグローバルな広がりを持つ。アベノミクスラリーでさえ3年半続いたことに鑑みれば、トランプラリーも相応の時間、続くと予感させる。

しかし、期待がけん引する株高、ドル高は中長期的なリスクを抱えている。

現在、主要国はリーマン直後のような財政余力を持ち合わせておらず、米国の財政収支は年間で6000―7000億ドルの赤字になろうとしている。無い袖は振れないことに、市場はいずれ気付くだろう。

また、HIA(本国投資法)など、世界で流通するドルを米国に還流させる措置は、見方を変えれば、ドルが基軸通貨としての役割をもはや果たせないことの表れだ。

トランプ政権4年間を見渡せば、結果的に、米国に都合の良いドル安が次第に浸透していくと考えている。現在のドル高は、そのバッファーを作るべく、発射台を高くするための準備だったと後々歴史を振り返ることになりそうだ。

来年については、ドル/円の上限を122.50円―125.00円とみている。

●ドル高継続、欧州政治イベントで調整も

<クレディ・アグリコル銀行 外国為替部長 斎藤裕司氏>

中国経済が底堅いという前提のもと、基本的にはドル高基調が続くとみている。トランプ次期米大統領が掲げる経済政策は、減税や財政出動などで景気を刺激し、米国内に雇用を生み出すというもの。米連邦公開市場委員会(FOMC)も年3回の利上げを予想するなど、ドル高に触れやすい。

貿易的に通貨安がいいといっても、ドル買いを促すような政策が多い以上、容易にドル安にはできないだろう。故意にドル安にしようとすれば、中国の通貨安誘導を批判できなくなる。実際、為替介入も現実的ではない。

調整があるとすれば、欧州の政治イベントがらみだろう。4、5月にフランス大統領選、9月にドイツ連邦議会選挙がある。今年はイギリスの国民投票、米大統領選と事前予想が外れただけに予断は許さない。

ドル/円は120円以上に上昇するが、3月末までに115─120円のところまでいったん調整されそうだ。その後は、米国の利上げを織り込みながら再び125円方向を目指す展開を想定。年末にかけて120円付近まで戻すイメージをもっている。

(為替マーケットチーム 編集:伊賀大記)

ロイターをフォローする

おすすめ記事


シカゴ日経平均先物(15日) 2016年 12月 16日
コラム:ドル円急騰の背景に「2つの損切り」の影=佐々木融氏 2016年 11月 25日
焦点:中国建設見本市で膨らむ2017年復活の夢、一帯一路構想で 2016年 11月 29日
http://jp.reuters.com/article/trump-risk-idJPKBN1450S5


Special | 2016年 12月 16日 18:07 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース

展望2017:円債金利は後半にかけ低下、日銀YCCで変動小幅か

[東京 16日 ロイター] - 2017年の円債金利は前半に上昇し、後半に低下するとの予想が多い。トランプ次期米大統領の政策に対する期待と失望が入れ替わるとみられているためだ。

ただ、為替や株式と異なり、日銀のイールドカーブ・コントロール(YCC)政策があるため、金利の変動幅は限られる見通し。金利上昇局面ではターゲット金利の引き上げ、金利低下局面では買い入れ額減額が市場の関心を集めそうだが、大きな政策変更はないとの見方も有力だ。

市場参加者の見方は以下のとおり。

●日銀のYCC政策は強力、国債買い入れ減額も

<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 シニア債券ストラテジスト 稲留克俊氏>

日銀のYCC政策は強力だ。10年最長期国債利回り(長期金利)はマイナス0.10%─プラス0.10%を予想。国債投資は今年と同様に、カーブの傾きに着目した「キャリー・ロールダウン効果」を活用した手法が有効だろう。

基本的に物価上昇のモメンタムは維持されているとの見方から、金融政策変更は想定していない。しかし、日銀が年間80兆円をメドとした国債買い入れを進めた場合、一段と国債需給がひっ迫しかねない。長期金利操作目標を維持するために必要と判断すれば、「現状程度(年約70兆円増)」といった表記に改め、実質的に買い入れ額を減らすかもれない。

18年4月に任期満了となる黒田日銀総裁後任人事の議論が本格化するだろうが、アベノミクスが続く限り、大きな路線変更を伴う人事はないのではないか。

●円金利は低位安定、リスクは海外動向

<クレディ・アグリコル証券 チーフエコノミスト 尾形和彦氏>

日銀のYCC政策で、円金利は安定して推移するのではないか。10年最長期国債利回りはマイナス0.10%─プラス0.10%のレンジを想定。レンジを上下に抜けるような局面があれば、日銀は介入姿勢を強めるだろう。

リスクは海外動向。米国では、トランプ新政権の政策実現性や利上げ動向に加えて、18年初頭に任期が終了するイエレンFRB議長の後任人事も注目だ。新政権が実質成長率4%を目指すことになれば、金融政策への負荷が掛かりやすくなる。仮に利上げペースを遅らせた場合、イールドカーブはスティープ化しやすくなるだろう。

世界第2位の経済大国、中国の住宅バブルがハードランニングを余儀なくされた場合、世界経済の波乱要因になりかねない。また、欧州では仏・伊・独などで選挙が相次ぎ、政治不安が意識されやすい。リスクオン・オフの材料が混在する1年になるのではないか。

●円債金利は春先から低下方向

<東海東京証券 チーフ債券ストラテジスト 佐野一彦氏>

トランプ次期米政権について、所得減税に関しては、税率の引き下げ幅を圧縮することを議会・共和党と折り合ったうえで実施するので、実現の可能性がある。

ただ、法人税率については15%は非現実的ではないか。減税の経済効果は、ブッシュ減税があったが、成長率を大幅に押し上げたかというと、そうではない。インフラ投資の10年間で1兆ドルという額も非現実的と考えている。

トランプ次期大統領の政策は今期待しているほどでないことに加え、もっとも重要なことは、世界経済が長期的な低迷期にあることを認識する必要がある。

1月の大統領就任から100日間がハネムーン期間といわれるが、失望する期間になる可能性がある。あと半年ぐらい待てばドル高は止まっている可能性があり、米金利上昇も止まることになりそうだ。来年の米利上げ回数も個人的には1回だと思っている。

円債金利は春先から低下方向になるのではないか。来年春以降、円高の芽は残っていると考えており、日銀の追加緩和の可能性は消えていないとみている。来年の10年最長期国債利回りはマイナス0.2%─プラス0.15%のレンジを想定している。

●米金利は前半上昇、後半に低下へ

<ドイツ証券 チーフ金利ストラテジスト 山下周氏>

来年前半にかけて金利の上限を探る動きになるだろう。マーケットとしては、リスクオン方向にトランプ米次期政権の不透明感が強いので、先回り的に高めのドット(FRBの金利予想)を織り込む動きが出やすいとみている。

しかし、実際に蓋(ふた)を開けてみると、財政拡大規模が膨らまず、インフレも高まらない可能性がある。前半にかけて金利が上昇した分、後半に若干戻してくる経路を米金利については考えている。

円債市場に関しては、海外金利が上昇する中でも日銀のYCC政策がワークすることで円金利の上昇を抑制することになるだろう。日銀の物価目標2%へ向けて現行の金融政策を維持することになるとみている。基本的には国債の買い入れ額を減らせないということになりそうだ。10年最長期国債利回りは、年前半は上昇の可能性があり、年後半はマイナス圏に入ってくることを想定している。

(金利マーケットチーム 編集:伊賀大記)

ロイターをフォローする

おすすめ記事


日経平均は8日続伸、FOMC後の円安が支援 下げ転換後切り返す 2016年 12月 15日
中国:韓国製の電子機器半数に品質問題=山東省当局の報告 2016年 10月 28日
中国偽装GDPを晒す(4)個人消費割合が米国並なら日本と同等【世界の金融市場シナリオ分析、中国のヤバイ経済学編(11)】 2016年 10月 24日
http://jp.reuters.com/article/ycc-boj-idJPKBN1450TC?sp=true

FX Forum | 2016年 12月 16日 16:43 JST 関連トピックス: トップニュース

コラム:
トランプ氏に挑む「イエレン経済大統領」

鈴木敏之三菱東京UFJ銀行 シニアマーケットエコノミスト
[東京 16日] - 米国では14日、1年ぶりに利上げが再開され、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は0.25―0.50%から0.50―0.75%に引き上げられた。

また、米連邦準備理事会(FRB)が発表した連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの経済見通しでは、0.25%ずつ利上げをした場合、2017年の利上げを3回とするのが標準的との見方が示された。9月の経済見通しでは、2回という見方だったが、その回数が増えたことになる。

ここで注意すべきは、この見方がトランプ次期政権の経済政策に対し影響を与えようとしていることだ。今回発表された経済見通しを見ると、成長見通しは16年と17年分については、前回よりも0.1%引き上げられているが、18年は据え置かれている。潜在成長率にあたる長期(longer-run)の成長率は1.8%で前回から変更がない。

17年の成長率引き上げは、今年第3四半期の成長率が前期比年率3.2%と高く、第4四半期の数字もしっかりしているので、年間成長率の上のせとなる「ゲタ」の分を勘案すれば、実質的にはほとんど上方改定をしていないことになる。トランプ次期政権が積極的な財政拡張に走るとすれば、その予算が執行される18年の成長率は高められるが、まだ政権も発足していないので、当然、その分の数字の上乗せはない。

一方で、失業率は「完全雇用の失業率」といえる長期の失業率を4.8%としながら、17年から19年まで4.5%に置いた。そして、インフレ率は18年に目標の2%に達し、それが続くという見方を示している。経済刺激策を取らずとも、米国経済は理想的な状態になるというのである。

<FRB議長が示した経済政策全般の方向性>

イエレンFRB議長は記者会見で、財政政策の決定は議会に委ねるべきとの姿勢を示したが、この経済見通しの提示で、しっかりと財政発動のあり方に注文を付けていると見ることができよう。今の米国経済は、完全雇用に見合う失業率より低い失業率であり、この状態で総需要の刺激は必要ないというのである。もし、その状態で次期政権が財政拡張に走れば、利上げペースをさらに引き上げると予告しているようなものだ。

一方で、潜在成長率は据え置いている。財政政策を投入するならば、この数字を引き上げることが求められるというメッセージだろう。つまり、潜在成長率を高めるインフラ投資などには肯定的だと考えられる。そうした財政発動であれば、FRBは利上げを、今回のFOMCで示した見通しよりも急がなくてよいということだろう。

記者会見では、金融規制のあり方についても答弁があった。11月17日の上下両院合同経済委員会での発言にも通じるが、リーマン・ショック後の金融規制の整備、ドッド・フランク法の規制体系を評価している。これによって、米国の金融システムは強靭(きょうじん)さを増して、人々を安心させているというのである。

トランプ次期大統領の経済政策は、減税とインフラ投資の財政政策、規制緩和、生活水準が上がらない労働者の不満に応える保護主義的政策が柱になると予想されている。規制緩和が経済成長を刺激することへの期待は大きい。イエレン議長は、そこに挑戦的な姿勢を示している。

振り返れば、グリーンスパン氏は18年間、FRB議長の任にあった。その間、末期はバブルを見過ごし、惨澹(さんたん)たるものだったが、18年間の過半は、経済の安定を確保し、「経済大統領」として尊敬を集めていた。

それを引き継いだバーナンキFRB前議長は、果敢な金融政策で、恐慌の淵(ふち)にあった米国経済を、極めて短い時間で、成長・失業率ともに安定した状態に戻すことをやってのけた。経済大統領の地位に相応しい仕事をした。

14日の経済見通しの提示と記者会見の発言は、イエレン議長が、前述の通り、経済政策全般の方向性を示しているところがある。経済大統領として振る舞おうとしていると言って過言ではないだろう。

<トランプ次期大統領の人事カード>

では、イエレン議長の示した方向性は現実になるだろうか。それを左右するのが、大統領が指名できるFRB理事の人事になる。

FRB理事の定数は7人だが、現在、空席が2つある。この空席分をトランプ次期大統領が指名できる。次期財務長官に指名されているスティーブン・ムニューチン氏は、この空席を迅速に埋めると発言している。実際、承認権限を持つ上院は政権政党である共和党が優位なので、迅速に行われるだろう。

FRB理事は、FOMCで常時投票権を持つ。空席とは別に、今の理事が離任する動きもあるかもしれない。イエレンFRB議長の任期も18年2月3日までであり、再任は可能だが、いずれにしても次期議長指名の権限は大統領にある。今回のイエレン議長の主張(総需要刺激の必要性は当面乏しく、現行の規制政策が有効)に不服であれば、トランプ次期政権はFRB理事の指名を通じて、影響力を行使できる。

トランプ次期大統領がそのカードをどう切るか。これが、当面の懸念事項だ。それによっては、今回のFOMCの経済見通し、利上げの進め方は書き換えられてしまう。FRB理事の指名、承認があるまで、不確実性の高さから、市場のボラティリティ―は大きくなりそうだ。

*鈴木敏之氏は、三菱東京UFJ銀行市場企画部グローバルマーケットリサーチのシニアマーケットエコノミスト。1979年、三和銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行。バブル崩壊前夜より市場・経済分析に従事。英米駐在通算13年を経て、2012年より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

ロイターをフォローする

おすすめ記事


〔需給情報〕日経225、TOPIX期近ともにドイツが買い越しトップ=14日先物手口 2016年 12月 14日
コラム:2017年の資産運用は「リアル二刀流」=重見吉徳氏 2016年 12月 15日
為替こうみる:ドル/円はチキンレース、目先の節目は感謝祭か=ソニーFH 石川氏 2016年 11月 21日

http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-toshiyuki-suzuki-idJPKBN1450KW?sp=true

 


Column | 2016年 12月 16日 11:45 JST 関連トピックス: トップニュース

コラム:米利上げで企業の安易な借金は幕引きか

Tom Buerkle

[ニューヨーク 15日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米国では実質ゼロだった政策金利が上がり始めたことで、借金の魅力は低下している。米連邦準備理事会(FRB)による14日の利上げは、企業がむやみに借り入れを行う局面が幕切れを迎える前兆だ。銀行が融資の金利を引き上げるとともに、企業にとっては金融工学ではなく実体のある成長が勝負になるだろう。

低コストでの借り入れは、低成長時代に苦しむ企業にとって大きな助け舟になってきた。米証券業金融市場協会(SIFMA)によると、年初から11月末までの社債発行額は1兆4500億ドルと、5年連続で過去最高を更新するペースだ。調達された資金は合併・買収(M&A)に使われたり、自社株買いに回されて、企業の利益押し上げに役立つなどの効用があった。

FRBが今回、政策金利を0.5─0.75%に上げる前から既に、クレジットサイクルは成熟段階に入ったことを示していた。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)によると、投資適格級の非金融企業が抱える債務水準の中央値は利払い・税・償却前利益(EBITDA)の3倍と、金融危機が最も深刻だった時期に並んでいる。高利回り債の借り手になると、債務がEBITDAの5倍超というのも珍しくない。投機的級格付け企業の約5%は毎年デフォルト(債務不履行)を起こしており、これはふつう景気後退期の近辺しか見られない現象だ。ただ足元の原油価格上昇で、エネルギーセクターの厳しさは今後緩和されるだろう。

債務返済はまだ大きな問題にはなっていない。多くの企業は社債発行ブームを利用して償還期限を長期化した。米大統領選後に10年国債利回りが2.5%超に跳ね上がったといっても、金利水準自体は歴史的に見れば依然として低い。

とはいえ基本的な指標となるいくつかの金利と、借り手が信用力に応じて要求するリスクプレミアムはいずれも今後上昇していく態勢にある。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチによると、シングルA格の社債の対米国債利回りスプレッドは2月の164ベーシスポイント(bp)から足元で105bpまで縮小し、高利回り債の利回りスプレッドもこの間に半分強下がって420bpになった。だがFRBが自らの想定ペース通りに来年利上げし、債券投資家が信用リスクをより意識するようになれば、スプレッドは急拡大に転じるだろう。

金利上昇に力強い成長や企業利益の伸びが付随している限り、米経済と大半の企業は安泰とみられる。それでも成長や収益が欠けた場合、それを借金で穴埋めするのは間違いなく難しくなる。

●背景となるニュース

*FRBは14日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を25bp引き上げて0.5─0.75%とした。また来年末までに計75bpの利上げを想定していることを明らかにした。

*SIFMAのデータによると、年初から11月末までの米社債発行額は1兆4500億ドルとなり、前年同期を上回っている。昨年全体は1兆4900億ドルで、4年連続の過去最高記録だった。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

ロイターをフォローする

おすすめ記事


コラム:日本政治「安定」の謎=河野龍太郎氏 2016年 10月 29日
コラム:ドル高に潜む「円高スパイラル」の芽=亀岡裕次氏 2016年 10月 25日
今週のドル/円は調整含み、FOMCで来年の米利上げペース確認 2016年 12月 12日

http://jp.reuters.com/article/usa-fed-breakingviews-idJPKBN145083?sp=true


債券週間展望】長期金利の上限探る展開か、日銀のオペ対応を見極め
三浦和美
2016年12月16日 17:08 JST

関連ニュース
日経平均1年半ぶりの9連騰、米統計良好と金利高、円安進行を好感
Mount Fuji stands behind a highway under construction in Fujiyoshida, Yamanashi Prefecture, Japan, on Saturday, July 18, 2015. Mount Fuji, the highest mountain in Japan at 12,389 feet (3,776.24 meters), is open to climbers from July to September. Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg
失われた20年から脱する「歴史的瞬間」、来年にも−BofAハリス氏
パスキ銀:債務の株式交換拡大目指す、期限延長で年内の新株発行模索
バフェット氏の棚ぼた利益終了−ダウ・ケミカルが優先株を普通株転換


円安・株高基調で投資家の積極的な買いは見込みづらい−岡三証
日銀会合、10年債利回りの目標引き上げも視野−マスミューチュアル


来週の債券市場で長期金利は上昇余地を探る展開と予想されている。米長期金利の先高警戒感やドル高・円安基調を背景に、引き続き売り圧力が掛かりやすい。一方、急速な金利上昇局面では日本銀行が抑制に動くとみられ、市場とのせめぎ合いになるとの見方も出ている。
  今週の長期金利は週初にいったん0.08%に上昇したが、日銀が14日の買い入れオペで10年超を増額し、次回のオペ実施日を予告する異例の措置を取ったことを受けて、いったん0.05%まで買い戻された。その後、米長期金利が2.6%台と2年3カ月ぶりの高水準を付けると、16日には一時0.10%と1月29日以来の高水準を付けた。
  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「世界経済の回復期待から主要国では長期債利回りの上昇が続いている。円安・株高基調が強まっており、投資家の積極的な買いは見込みづらい」とし、来週の債券相場は上値の重い展開を見込む。その上で、「超長期債中心に利回りの上昇圧力が続くため、日銀は市場動向を慎重に見極めながら、過度な利回り上昇を抑える姿勢を示すだろう」と言い、「新発利付国債の入札もないため、良好な需給環境が下値を支える」とみる。

  超長期ゾーンは20年入札への警戒感から売り優勢の展開。新発20年債利回りは一時0.65%と2月以来、新発30年債利回りは0.805%と3月以来の高水準を付けた。しかし、14日の日銀オペをきっかけに買い戻され、16日には新発20年債が0.565%、新発30年債が0.665%まで下げた。
黒田日本銀行総裁
黒田日本銀行総裁 Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  日銀は19、20日の日程で金融政策決定会合を開く。ブルームバーグがエコノミスト39人を対象に実施した調査では、全員が政策の現状維持を予想。黒田東彦総裁の任期の2018年4月まで追加緩和はないとの見方が25人と多数を占めた。任期中はマイナス0.1%の短期政策金利の引き上げはないとの予想は9割となった一方で、長期金利目標については26%が引き上げを予想した。
  マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長は、日銀会合について、「10年債利回りの目標水準の引き上げを行う可能性も視野に入れたい」と言い、「場合によっては0%〜0.10%をめどにするレンジ目標の導入も排除できない」と予想。また、国債買い入れ額については、「60兆円〜100兆円のレンジでの運営に切り替えることも想定される」と付け加えた。
  21日には流動性供給入札が予定されている。発行予定額は5000億円程度で、残存期間5年超15.5年以下の銘柄が対象になる。
  パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「年内はほぼ入札が終わっているので、リバウンドする局面。いったんは金利上昇を見据えたショートポジションはクローズし始めた感がある」と分析。来週の日銀会合については、「14日に超長期のオペを増額したことで、80兆円の買い入れ目標が残る可能性がある。長期金利の目標水準も据え置かれた場合、指し値オペのタイミングを探る展開になる」とし、「そうすると金利が低下してもおかしくない」とみる。
市場関係者の見方
*T
◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
*日銀は当面現状の金融緩和政策を維持するだろう
*投資家の活発な動きは見込みづらいが、新発国債入札はなく、良好な需給環境が下値を支える
*長期金利の予想レンジは0.05%〜0.10%
◎三井住友アセットマネジメントの深代潤グローバル戦略運用グループヘッド
*フラットニングの持続性はあまりなく、スティープニングが速過ぎた反動の踊り場
*20年債利回り0.65%程度で止まる感じは全然しない
*長期金利の予想レンジは0.04%〜0.10%
◎マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長
*ECBが実質的なテーパリング、FOMCが来年の利上げペース加速を示唆する中、来週は日銀金融政策決定会合に注目
*海外金利が上昇する中、長期的に40年債利回りは1%が視野、超長期ゾーンには利回り上昇圧力が続きそう
*長期金利の予想レンジは0.05%〜0.15%
◎パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長
*長期金利についてはマーケットが日銀の意思を確かめにきている
*日銀政策据え置きなら、指し値オペのタイミングを探る展開へ
*長期金利の予想レンジは0.05%〜0.10%
◎アムンディ・ジャパンの浜崎優市場経済調査部長
*トランプ相場がいつまで続くかによるが、円安・インフレ圧力を背景に金利は上向き
*日銀は長期金利が0.1%を上回るとさすがに指し値オペを打つだろう。0.1%を抜けてどんどん上昇するとはみていない
*長期金利の予想レンジは0.04%〜0.10%
*T
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-16/OI9OAD6JIJV701
 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民116掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
経世済民116掲示板  
次へ