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トランプノミクスはアベノミクスの再来 ドル円こう着招く欧州リスクと米国期待 日米国債を両天秤、利回上昇も悩める国内投資家
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投稿者 軽毛 日時 2016 年 12 月 13 日 20:42:45: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

コラム:
トランプノミクスはアベノミクスの再来

村上尚己アライアンス・バーンスタイン(AB) マーケット・ストラテジスト

FX Forum | 2016年 12月 13日 19:25 JST 関連トピックス: トップニュース


[東京 13日] - トランプ次期米大統領誕生が決まった11月9日から、金融市場では世界的な株高、金利上昇、ドル高が続いている。「トランプ相場は短命」などとの日本人コメンテーターの見込みは外れ、前回のコラムで筆者が指摘した通りの状況となっている。

今後の相場の行方を考える上で、例えばシカゴ先物取引所の投機ポジションの動きなど短期の需給要因にこだわるのは、投資リターンを損ねることにつながると筆者は考えている。というのも、ドル円など為替レートのすう勢は、各国のインフレ率・経済成長率の動向、それとともに動く金融政策の方向性で決まるからである。

トランプ氏の勝利以降、米債券市場では10年国債金利が1.8%から2.5%近くまで大きく上昇した。トランプ次期政権による経済政策の大転換で、想定する成長率が高まり、インフレ期待が引き上げられたのである。

2017年は米連邦準備理事会(FRB)もトランプ次期政権の景気刺激策を前提に、金融政策を行うと筆者は予想している。これまで米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーは2017年に2回程度の利上げを想定していたが、この見通しは2017年にかけて上方修正されるだろう。

2015年央から続いた円高トレンドに終止符が打たれ、経済政策の大転換が為替相場のすう勢を変えることは、標準的な経済理論に沿った動きでもある。2012年末のアベノミクス発動による、「2%インフレ目標設定」「日銀執行部の体制変換」「量的質的金融緩和(QQE)導入」、そして2014年末の「QQE2」に連なる金融緩和は、大幅なドル高円安をもたらした。それと似たことが、今回は米国の政権交代による政策転換とともに起きていると筆者は考えている。

<レーガノミクス再来説は幻想>

したがって、ドル高が続くかどうかは、トランプ次期政権が打ち出す経済政策に依存する。財務長官に就く見通しのスティーブン・ムニューチン氏が達成可能と公言するように、本当に3―4%の経済成長への上振れをもたらす、大規模な刺激策となるかどうかである。

具体策な政策メニューは、所得・法人税などの減税、設備投資を促進する制度改革、1兆ドルのインフラ投資を促す基金、規制緩和、環太平洋連携協定(TPP)に代わる貿易協定などが挙げられている。

現状、これらの政策がどういったスケジュールで実行されるかによるが、少なくとも所得・法人税の引き下げは実現する可能性が高いと筆者は考えている(むろん税率引き下げ幅などについては議会との妥協がある程度必要になるだろうが)。オバマ政権がこれまで成長率を押し上げる財政政策を発動せず、「財政の崖」問題で増税など緊縮的な政策を続けてきたのだから、減税額の規模はともかく大きな政策転換である。

また、医療保険改革法(オバマケア)の見直しについても、家計に対する負担を減らす方向で修正が進めば、家計所得を押し上げることになるだろう。これらの政策が、2017年の米経済の成長率を押し上げると筆者は見ている。

トランプ次期政権が打ち出す経済政策をトランプノミクスと仮に呼べば、それはレーガノミクスの再来だとメディアは囃(はや)し立てている。トランプ氏自身が、レーガノミクスについて言及しているし、減税や規制緩和などの政策メニューが似ていることは確かだ。

ただ、レーガノミクスの再来であるとの評価は全てが正しいわけではなく、異なる点も多い。まず、レーガン政権ではキャピタルゲイン課税の引き下げなど富裕層の所得を高める政策が実現した。サプライサイドを強化するための減税の一環だが、結果的に所得格差を拡大させた。豊かな家計はもっと豊かになり、それが成長をけん引するという前提があったと考えられる。

トランプ氏も大幅な税率引き下げを打ち出している。ただ、ムニューチン氏は「中間所得層への大型減税を実施するが、富裕層に対しては減税しない」と述べている。トランプ氏自身は大富豪だが、近年、格差拡大が政治的に問題になっており、政権を保つために格差縮小政策を重視するとみられる。

もう1つの相違点を挙げれば、政府歳出規模に対するスタンスだ。レーガノミクスでは、共和党の伝統的な経済政策方針である「小さな政府」という方針が徹底された。減税を重視したのは、肥大化した公的部門の関与を小さくするためでもあるし、民間の規制緩和を進めたのも同様の方針からである。財政収支均衡が極力重視された。

一方、トランプ氏は、インフラ投資拡大を打ち出すなど、政府支出を縮小させる「小さな政府」方針を重視していない。もともと、トランプ氏は、共和党のエスタブリッシュメントと全く異なる考えを持っている。

自身が不動産業などで成功してきた過程で、インフラ投資などの財政政策が経済成長にとって必要という認識を持っている可能性がある。その意味で、トランプ次期政権は、レーガノミクスのような共和党の伝統である抑制的な財政政策とは、全く異なる可能性がある。

<トランプノミクスの主役は金融財政政策>

さらに、当時と現在ではインフレ率を含めた経済状況が全く異なる。1980年代初頭は金融政策が緩和的過ぎたためインフレ率が10%超に加速し、それが経済活動を不安定にさせていた。

そうした状況で、成長率を押し上げるために必要だったのは金融財政政策ではなく、経済の供給側を強化するための規制緩和だった。つまり、レーガノミクスにとって、成長率を高める主役は規制緩和であり、財政赤字削減によるインフレ抑制が必要だった。

だが、トランプ次期政権を取り巻く経済環境は1980年代とは全く異なる。インフレ率は2%にようやく近づいたばかりだ。FRBは利上げを目指すが、労働市場には依然スラック(余剰)が残っているため、金融財政政策によるサポートが必要な状況である。したがって、経済政策の主役は、総需要を高めるための金融財政政策になる。

このため、歳出拡大と減税という財政政策のメニューになるのは妥当だし、トランプノミクスとレーガノミクスが異なる点が多いのも、また必然なのである。

つまり、トランプ次期政権の政策は、2012年に発動されたアベノミクス(金融緩和、財政拡大、成長戦略)との類似点が多い。筆者は、トランプノミクスは、レーガノミクスの再来ではなく、アベノミクスの再来と位置付けるべきだと考えている。

*村上尚己氏は、米大手運用会社アライアンス・バーンスタイン(AB)のマーケット・ストラテジスト。1994年第一生命保険入社、BNPパリバ、ゴールドマン・サックス、マネックス証券などを経て、2014年5月より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-naoki-murakami-idJPKBN1420QJ


 

 
FX Forum | 2016年 12月 13日 19:24 JST 関連トピックス: トップニュース

コラム:ドル円こう着招く欧州リスクと米国期待

鈴木健吾みずほ証券 チーフFXストラテジスト
[東京 13日] - 米大統領選挙でドナルド・トランプ氏の優勢が伝えられた11月9日、ドル円は101.19円の安値をつけ、1カ月後の12月9日には115.37円まで上昇。22営業日(日米祝日含む)で実に14円を超える値動きを示現した。

筆者は約10年間にわたり為替のプロップディーラーをしていたため、つい値幅を意識してしまうのだが、正直、1カ月でここまでの動きはほとんど記憶にない。実際に2000年以降のドル円相場を調べてみたところ、今回と同程度の期間で同等以上の値幅が発生したのは2008年9月後半から10月にかけて、つまりリーマン・ショック直後だけだった。

短期間にこれだけ急激な値動きを示すには、ドルと円、両方の動きが組み合わさらないと難しい。例えば、今年前半のドル円相場は1月の121円台から6月の99円台まで半年で約22円も動いたが、この間のドルと円の動きを確認すると、ドルインデックスは横ばい、円インデックスは約2割の円高となっており、値動きの主語は「円高」だったことが分かる。

貿易収支の黒字転換や日銀緩和に対する限界論などもあろうが、大きく動く場面では「原油価格下落」「中国経済への懸念」「米景気腰折れ懸念」「英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)」といったリスク要因がリスク回避の円高をもたらす構図が見られてきた。

今回、トランプ次期米大統領の政策に対する期待が素直な「ドル高」につながった上、その期待が世界的な株高をもたらし、楽観ムードがリスクオンの「円売り」にもつながっている。石油輸出国機構(OPEC)が8年ぶりの原油減産合意に踏み切ったことや中国経済に対する懸念の後退も楽観ムードの背景としてあるだろう。

これらによる全般的なドルの上昇と円の下落が組み合わさった結果、ドル円はリーマンショック級の値幅を伴った値動きを示現している状況にある。

<ドルの下値を支える「トランプ期待」>

このドル円の上昇傾向が来年序盤も続くかに関しては、やはりドル高をもたらした「トランプ期待」の継続有無と、円高の鍵を握るリスク要因の見極めが重要になると見られる。

トランプ米次期大統領については、その言動と具体的な政策に注目が集まるだろう。大統領選での勝利以降、トランプ氏は過激な言動を封印し、真摯な姿勢で大統領職に臨む姿勢を示すとともに現実路線に舵を切っていることが市場に好感されている。

過激な言動はあくまで選挙対策用の仮の姿との見方もあるが、一方であの過激な言動こそが本来の姿ではないかとの懸念も脳裏をよぎる。直近では南シナ海問題などにおいて中国に対する厳しい表現も見られるなか、過激な言動が再び強まれば、政策に対する信用も低下しかねない。

トランプ新大統領の政策は1月20日に予定される就任演説に加え、1月末から2月中にかけての三大教書(一般教書、予算教書、経済教書)などを通じて徐々に具体性を増すだろう。ハネムーン期間と呼ばれる就任後の最初の100日間に、選挙中に公約した政策などについて立法化を目指すと予想される。

目玉となる大型減税やインフラ投資、財政出動の規模感、加えて為替市場で注目度の高いリパトリエーション減税(本国投資法)などが徐々に具体化する。全般的に、大胆な政策に対する期待はドルの下値を支え続けると考える。

ただ、すでに期待で上昇していることに加え、政策の実効性や有効性を見極めたいとの思惑が上値を押さえる要因になると予想されることから、大統領選後に見られたペースでのドル高は難しいだろう。

<リスク要因は中国より欧州>

リスク要因についてはどうだろうか。中国では2017年3月に全国人民代表大会(全人代)が予定されるが、2017年後半に共産党大会を控える中、すでに2016年11月29日の国務院常務会議や12月9日の中央政治局会議で、2016年からスタートした経済5カ年計画に沿った政策総動員での景気対策継続が示されており、リスクは限定的だろう。

足元では人民元の下落とともに外貨準備が急減しており、これが資本逃避を引き起こす可能性には一定の注意が必要だが、急減したといっても外貨準備の規模は世界ダントツ1位で2位日本の3倍前後となる300兆円規模だ。市場の動揺も限定的と見ている。商品市況に関しても鉄鉱石や銅相場の上昇基調に加え、12月の減産合意を受けた原油価格の堅調さもあり、2017年前半に市場のリスク要因とはならないだろう。

警戒が必要なリスクとして、欧州の2つのリスク、すなわち「ブレグジット」と「ポピュリズム伝播」に注目している。英国のテリーザ・メイ首相はEUに対する離脱の申告を2017年3月末までに行うとしている一方で、その方針はあいまいなままだ。

経済よりも難民問題を優先する「ハードブレグジット(強硬な離脱)」となるか、単一市場へのアクセスを優先する「ソフトブレグジット(穏健な離脱)」となるか、その道筋にはなお不透明感が残る。ハードブレグジットに加えてスコットランドが英国からの独立を目指すといった最悪のシナリオもくすぶる中、2017年3月にかけてのリスクとなろう。

世界的に反グローバリズムやポピュリズムの広がりが指摘されているが、2017年の欧州では選挙が多い。思えば2015年、ギリシャがEUの金融支援受け入れをめぐる国民投票で「ノー」を突きつけた時点ですでにこの流れが始まっていたのかもしれない。

今年のブレグジットやトランプ氏勝利もこの流れの中にあり、12月4日にはイタリアの国民投票で憲法改正案が否決された。イタリアでは次期首相が決まることで目先の総選挙は避けられる見通しだが、2017年の終盤以降、総選挙の可能性が残る。その場合、反EUを掲げる「五つ星運動」が第1党となる可能性が高い。

3月15日までに予定されるオランダの総選挙でも反EUの極右政党、自由党が躍進する可能性が指摘されている。4月から5月に行われるフランス大統領選挙でも反EUの極右政党、国民戦線のマリーヌ・ルペン党首が有力候補となっており、秋にはドイツの連邦議会選挙もある。ドイツ、フランス、イタリア、オランダといったユーロ圏の中核4カ国で反EUの流れが強まればユーロ崩壊といった話が再燃しかねない。

<ドル円は110―120円のレンジ相場へ>

このように欧州の政治に対して一定の警戒が必要であると考えているものの、金融市場全般的には今のところ、今年前半のような悲壮感はない。欧州にしても経済指標の改善を背景に量的緩和縮小の可能性が指摘されるなど、最悪期は脱した可能性もある。原油価格や中国経済など後退したリスクを含め、リスク回避の円買いが進む状況とはなりにくいというのがメインシナリオだ。

結果、2017年半ばにかけてはトランプ次期米大統領の政策や欧州の選挙などをにらみつつ、ドル円は現状の1ドル=115円近辺を中心としたもみあいとなる展開を予想(トランプ氏の勝利と政策を反映して上方修正済み)している。レンジとしては110円から120円程度の値動きとなるのではないか。

メインシナリオではないが1ドル=110円を割り込むとすれば欧州のリスクが先鋭化する場合、一方で120円を超えるとすれば欧州のリスクが限定的に終わる中、世界的な景気回復傾向の強まりやトランプ次期米大統領の政策に対する期待が予想以上に盛り上がった場合などとなろう。

*鈴木健吾氏は、みずほ証券・投資情報部のチーフFXストラテジスト。証券会社や銀行で為替関連業務を経験後、約10年におよぶプロップディーラー業務を経て、2012年より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-kengo-suzuki-idJPKBN1420KL?sp=true

 

 

アングル:日米国債を両天秤、利回り上昇でも悩める国内投資家

[東京 13日 ロイター] - 世界的な金利上昇が続いている。急激な金利上昇・債券価格の下落によって、国内勢を含む世界の投資家は含み損の発生に苦しんでいるが、利回りという観点からは魅力も増している。日本の超長期債利回りが上昇するなか、生損保など日本のバイサイドは為替ヘッジ付き米国債などと天秤にかけて、投資判断を行うことになりそうだ。

<超長期債VSヘッジ付米国債>

「一時的な資金の置き場所として、選択肢の1つになってきた」(国内生保の運用担当者)──。日本国債はその利回りの低さから、しばらく投資の対象外となっていたが、ここにきての金利上昇で無視もできなくなってきたという。

特に金利上昇が激しいのが超長期債だ。13日の市場で10年債利回りは0.08%とプラス幅はわずかだが、20年債は0.645%、30年債は0.805%とそれぞれ今春の水準まで一時上昇している。

米国債の10年利回りは一時2.5%に乗ったとはいえ、ドルのヘッジコスト(3カ月物)が足元で1.8%程度に上がっているため、「仕上がり」は0.7%程度。日本の超長期国債の利回りとほぼ変わりない。12月米利上げがあれば、ヘッジコストはさらに上昇する可能性もある。

ただ、依然として日本国債に積極的に投資できる利回りではないとの声も多い。住友生命の古河久人執行役常務は11月24日の決算会見で、日本国債に投資するめどとして、30年債で1%の利回りを挙げていた。

現在、積極的に日本国債を買っているのは、為替スワップで有利に円を調達できる海外勢や、日銀オペを前提にした「日銀トレード」を行う一部の証券会社などだ。中長期資金の買い手が国内回帰にためらいを見せていることで、金利がじりじりと上昇する構図になっているとも言える。

<米国債の「敗戦処理」で手一杯>

国内勢が、本格的な日本国投資に踏み切れないのは、米国債の価格急落も一因だ。「米国債投資はヘッジコストでやられ、含み損でもやられた。円債利回りは魅力的になってきているが、米国債の『敗戦処理』で精一杯」(国内中堅生保の運用担当者)という。

米大統領選後、10年米国債の利回りは、1.7%付近から2.5%まで約0.8%ポイント上昇した。単純計算では、米国債に1兆円投資していたとすれば、700億円程度の含み損が発生する。

11月27日―12月3日における国内勢の対外中長期債投資は、8876億円の売り越しだった。市場では「米国債の処分売りが出たのではないか」(りそな銀行・総合資金部チーフストラテジストの高梨彰氏)との見方がもっぱらだ。

為替ヘッジを付けないオープン外債投資を選択すれば、10年米国債で2.5%近い利回りを得られる。しかし、米大統領選後、ドル/円が116円台まで15円近く上昇。今度は円高リスクを考慮しなければならない水準に来ており、悩ましいことに変わりはない。

「金利上昇は世界共通の現象だ。ここからさらに金利上昇、つまり債券価格の下落が起きる可能性もある。利回りの魅力がそれなりに高くなってきたとはいえ、日米ともに債券への投資は難しい状況にある」と、フコクしんらい生命・財務部長の林宏明氏は話す。

<「切り札」の日銀指し値オペ>

世界的な金利上昇圧力が継続し、国内勢が日本国債投資をためらうなかで、国内金利はじりじりと上昇する可能性がある。だが、国内金利が上昇し過ぎては、景気への悪影響が出るほか、円安材料としても弱くなってしまう。

市場の関心は、金利上昇抑制のため、いつ日銀の「指し値オペ」が入るかだ。前回、日銀が初めて通告した11月17日は、中短期ゾーンへのオファーが入り、応札がゼロだったにもかかわらず、2年債や5年債は4ベーシスポイント下落し、その威力を見せ付けた。

ただ、市場では「指し値オペ」は当面入らないとの見方も多い。円安と株高も進んでおり、金利上昇がリスク資産市場の圧迫要因となっていない以上、ここであえて金利を抑える必要はないとみられているためだ。

特に超長期ゾーンについて日銀の黒田東彦総裁は、金利変動は市場に委ねられる部分が小さくないとの趣旨の発言をしている。

世界的に金利上昇が進む中で、日銀が無理矢理、指し値オペで金利を押えようとしても失敗するおそれがある。そうなれば、イールドカーブ・コントロールの枠組みは瓦解しかねない。

三井住友アセットマネジメント・理事兼債券運用グループ副ヘッド、深代潤氏は「指し値オペはやればやるほど、市場に慣れが生じ効果が薄れる」と指摘。日銀が想定する10年債金利の「のりしろ」は0.1%よりも大きいのではないかとの見方を示す。

金利上昇下で「切り札」をいつ使うか、日銀と市場の神経戦となりそうだ。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/crossmarketeye-idJPKBN1420UQ?sp=true


 

きょうの国内市況(12月13日):株式、債券、為替市場
Bloomberg News
2016年12月13日 15:52 JST

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国内市況の指標はここをクリックしてご覧下さい。過去の国内市況の記事はこちらです。
●日本株6日続伸、中国統計と根強い円安期待−NTTなど内需中心買い
(記事全文はこちらをクリックしてご覧下さい)
  東京株式相場は6営業日続伸。朝方は反落して始まったが、工業生産など中国経済統計の堅調や為替市場での根強い円安期待を背景に切り返した。情報・通信や医薬品、小売、建設株など内需セクター中心に買われ、通信では自社株買いが好感されたNTTの上げが目立った。
  TOPIXの終値は前日比8.82ポイント(0.6%)高の1540.25、日経平均株価は95円49銭(0.5%)高の1万9250円52銭。連日の年初来高値更新で、TOPIXは昨年12月30日以来、日経平均は同17日以来の水準を回復。
  しんきんアセットマネジメントの鈴木和仁シニアストラテジストは、「中国経済指標が堅調で買い安心感が広がったほか、トランプ米次期政権の人事も金融市場からみて安心感のあるメンバーで、期待が剥げる要素が見当たらない」と言う。相場格言の「押し目待ちに押し目なし」の状況で、下げそうで下げない相場が続く可能性があると予想した。
  東証1部の売買高は23億1300万株、売買代金は2兆8390億円。それぞれ前日に比べ22%、14%減少した。上昇銘柄数は1395、下落は493。東証1部33業種は医薬品、通信、石油・石炭製品、電気・ガス、小売、建設など22業種が上昇。その他製品や機械、保険、証券・商品先物取引、鉄鋼、銀行など11業種は下落。相対的に内需セクターの強さが顕著で、前日までの出遅れ感や米市場での電気通信、ヘルスケア株の堅調もプラス材料となった。
  売買代金上位では1500億円を上限に自社株買いを行うNTT、中期経営計画が好感された花王が高い。有機EL企業の子会社化で、液晶と有機ELを一体運営すると13日付の日本経済新聞朝刊が報じたジャパンディスプレイは大幅高。半面、空売り調査会社が売り推奨したSMC、アンハイザー・ブッシュ・インベブから東欧5カ国のビール事業を9000億円で買収すると日経新聞電子版で伝えられたアサヒグループホールディングスは安い。
  
●債券下落、日銀指し値オペ通知なしで−超長期ゾーンへの売り圧力続く
(記事全文はこちらをクリックしてご覧下さい)
  債券相場は下落。日本銀行が金利上昇を抑制する指し値オペの通知を見送ったことを受けて、売りが優勢となった。超長期債ゾーンへの売り圧力が継続し、新発20年債利回りは10カ月ぶり高水準を更新した。
  長期国債先物市場で中心限月2017年3月物は、前日比1銭安の150円03銭で開始。直後に150円19銭まで上昇したが、日銀金融調節でオペが通知されないと水準を切り下げ、149円81銭まで下落。結局149円82銭と、この日の安値圏で引けた。
  三菱UFJ信託銀行資金為替部の鈴木秀雄課長は、「取引の序盤は日銀の指し値オペ期待もあって、昨日のイブニングで売り過ぎた分の買い戻しや12月限が最終日ということでの買い戻しを誘発した形。その後は指し値オペがなかったこともあり、行って来いとなった」と説明した。
  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の345回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)低い0.065%で開始し、いったん0.055%まで低下。その後は水準を切り上げ、0.08%と前日に付けた2月16日以来の高水準に並んだ。
  20年物の158回債利回りは一時1.5bp高い0.65%と、新発として2月以来の高水準を更新した。30年物の53回債利回りは0.5bp高い0.805%と、新発として3月以来の水準まで売られた。
●ドル・円は115円台前半、米金利上昇で小反発−FOMC見極めへ
(記事全文はこちらをクリックしてご覧下さい)
  東京外国為替市場では、ドル・円相場は1ドル=115円台前半へ小反発。米連邦公開市場委員会(FOMC)を前にドル売りが先行したが、トランプ次期政権の財政拡張策への期待や米金利先高観が支えとなった。
  午後3時35分現在のドル・円は前日比0.2%高の115円27銭。前日は原油高を受けたリスク選好の動きや米金利の上昇を背景に一時116円12銭と約10カ月ぶりの水準までドル高・円安が進んだが、原油価格が急速に伸び悩み、米金利が低下に転じるとドル・円も反落。この日は朝方に114円74銭まで下げた後は下げ渋り、午後は米金利の反発を背景に115円40銭まで上昇する場面があった。
  野村証券外国為替部の高松弘一エグゼクティブ・ディレクターは、「目先的にはFOMC前ということで短期勢中心とした利益確定の売りが上値を抑えている感じがするが、センチメントそのものは変わっていない」と指摘。FOMCについては、大きな材料にはなりにくいとみているが、「足元のセンチメントの障害にならないということが確認できれば、ドル・円はまた上がりやすくなるかも知れない」と語った。
  ユーロ・ドル相場はほぼ変わらずの1ユーロ=1.0633ドル。前日に1週間ぶり安値の1.0520ドルから1.06ドル台半ばまで値を戻し、その後もみ合いとなっている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-13/OI3ZKY6KLVRE01  

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コメント
 
1. 2016年12月13日 21:06:32 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[3409]

>レーガノミクスにとって、成長率を高める主役は規制緩和であり、財政赤字削減によるインフレ抑制が必要だった
>トランプ次期政権を取り巻く経済環境は1980年代とは全く異なる。インフレ率は2%にようやく近づいたばかりだ。FRBは利上げを目指すが、労働市場には依然スラック(余剰)が残っているため、金融財政政策によるサポートが必要な状況である。したがって、経済政策の主役は、総需要を高めるための金融財政政策になる。
>つまり、トランプ次期政権の政策は、2012年に発動されたアベノミクス(金融緩和、財政拡大、成長戦略)との類似点が多い。レーガノミクスの再来ではなく、アベノミクスの再来

これは間違いだろう

現実には、アベノミクス発同時の民主党デフレ不況の日本とは違い、

今の米国は既に、FRBの超緩和策の結果、インフレ率は高まり、失業率も完全雇用を下回り

賃金の上昇が加速しつつある。当然、日本と違って金融緩和は終わり、これから金利上昇が始まる

本来なら、クリントン民主党政権が、緊縮と富裕層増税、そしてグローバル化を推進するはずの状況だったが

全て引っくり返って、富裕層減税と、バラマキと、保護主義で、金利が上昇しドル高になり

さらにOPEN減産で資源価格も反転して、米国一人勝ちになったのが現状であり

金融政策のみに依存していたアベノミクスとは程遠いことは明らかだ


今後、トランプが、方向転換し、賢く、保護貿易を抑えて、自由貿易の恩恵もしっかり取れるなら

かなり米国経済にとって実質的にもプラスになるが、中国や欧州などの強敵も、そう易々と騙されるものではないし

いずれは騙されたことに気付いた底辺層も反逆してくる


こうした富裕層にとってハッピー状況が長期間続くと見るのは、明らかに甘いだろう


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