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ECB総裁、「何でもやる」宣言の限界知る イタリア、銀行救済で八方ふさがり トランプ相場 米国は来年後半以降4%成長も
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投稿者 軽毛 日時 2016 年 12 月 13 日 02:25:02: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 


ECB総裁、「何でもやる」宣言の限界知る
ユーロ圏の歴史を振り返るとき、先週のECB理事会は非常に重要な出来事と記憶されるかもしれない

By SIMON NIXON
2016 年 12 月 12 日 15:20 JST

 ユーロ圏の歴史を振り返るとき、先週の欧州中央銀行(ECB)理事会は非常に重要な出来事と記憶されるかもしれない。

 ECBのマリオ・ドラギ総裁は、自身が8日に発表した一連の措置は量的緩和のテーパリング(段階的縮小)を意味するものではないと断言している。債券買い入れ額をゼロまで減らしていく工程に着手するという厳密な意味でのテーパリングは少なくとも否定した。それどころかECBは一段の金融緩和に踏み切ったとも言える。なぜなら、月額800億ユーロの国債買い入れを6カ月間延長するのではなく、毎月の買い入れ額を600億ユーロに減らし延長期間を9カ月にしたことで、ECBがユーロ圏経済に追加供給すると約束した資金の総額は、市場の予想を600億ユーロ上回ったからだ。さらに、残存期間がわずか1年の国債や利回りがECBの預金金利を下回る国債も買い入れ対象に加えたことで利回り曲線(イールドカーブ)はスティープ化した。これは銀行の利ざやにとって追い風で、信用供給全体に好影響が及ぶことになろう。

 とはいえ、こうした理事会の決定は、激しい駆け引きの末の妥協の産物であり、ユーロ圏の政策決定過程の底流に未解決の課題や緊張が残ることを浮き彫りにした。毎月の債券購入規模を削減する代わりに、ドラギ総裁が量的緩和を17年末まで延長し、政治リスクに満ちた17年を通して国債市場に対する「火消し手段」を保持するのを容認するという譲歩を欧州北部の中銀総裁らから引き出した。17年にはオランダ、フランス、ドイツで選挙が行われ、イタリアでも実施される可能性がある。

 同様に、ECBは自らに課している量的緩和の制限について若干修正することで合意したが、その内容は市場の大方の予想を大きく裏切った。個別銘柄の33%超の買い入れや国別の国債購入比率の見直しをECBに認めることなどが数カ月にわたり議論されてきたが、そうした思い切った改革は実現しなかった。

 ドラギ総裁は2012年、単一通貨ユーロを守るために「何でもやる」と宣言した。その宣言が今回初めて政治的な制約に直面したことに総裁は気付きつつある。「何でもやる」宣言は当初、非常に高い効果を発揮した。ドラギ総裁は、金融と財政を安定させるためにECBの任務の限界に挑戦する構えであり、しかも前任者と違って新たな政策が政治的に黙認されるよう事前に根回しするのではなく、政策を打ち出してからそうなるのを待つ覚悟ができていると市場が認識したためだ。その結果、ECBは積極果敢な行動に出るようになり、毎回ではないものの市場の期待に直ちに応えてきた。

 それでも、ユーロ圏のインフレ率は0.6%にとどまり、ECBが目標とする「2%弱」を大きく下回る。19年の段階でも1.7%と目標に到達しない見通しだ。しかも、ポルトガル国債とイタリア国債の利回りは、ECBの政策金利やドイツ国債利回りとの差が特に大きい。このような状況下で、ECBがこの先断固とした措置を取ることができるかには疑問符が付く。

 実際には、ECBの措置に対する政治的な反発は非常に大きく無視できなくなっている。しかもこれは、超低金利が貯蓄者に及ぼす影響への不満が政治的な課題となっているドイツに限った話ではない。例えばオランダでは、年金基金の運用難を受けて退職年金の削減を余儀なくされている。一方、アムステルダムでは住宅価格が今年に入って25%近く上昇し、金融緩和政策が金融バブルをあおっているとの懸念が高まっている。

 ECBの分析によれば、超低金利は実際には資産価格の上昇を通じて退職者に恩恵をもたらしており、ユーロ圏の全加盟国が金融の安定や経済の健全性向上というメリットを享受している。ただこうした分析結果に政策立案者や政治家の多くは納得していない。こうした向きはむしろ、量的緩和が各国政府を市場の圧力から守り、政府財政やユーロ圏全体を安定させる上で避けて通れない厳しい決定の先送りを容認していると懸念している。

 結果として、ユーロ圏はドラギ総裁が就任する前の状態に戻り、深刻な構造問題を解決する責任は再び政治家が負うことになった。これは必ずしも、ユーロ圏に新たな危機が差し迫っている、あるいは危機は避けられない、という意味ではない。ドラギ総裁は、国債買い入れを少なくとも17年末まで続けるという公約(そして、現時点のインフレ見通しを踏まえて18年以降も買い入れを続けるという暗黙の公約)によって、少なくとも9月のドイツ総選挙が終わるまで市場が平静を保つことに期待するだろう。

 これによって政治家は、長期の生産性や潜在成長力を高める措置、あるいはユーロ圏の金融システムの弾力性を高める措置を講じることにより、各国が抱える債務負担の長期的な持続可能性に関する市場の懸念に対処する時間を稼ぐことができるはずだ。例えば、銀行システムに共通の預金保険を導入すれば、国境を越えたリスク共有の促進に道を開くことになり、そうした懸念を払拭(ふっしょく)できるだろう。

 だが、ユーロ圏がこうした改革に取り組めるようドラギ総裁が稼いだ時間はすでに4年に達するが、その成果はほとんど出ていない。時間稼ぎはもうあまりできないとECBは示唆しているため、市場が知りたいのは欧州の政治指導者に「何でもやる」用意があるのかどうかだろう。市場はその答えを1年も待ってくれないかもしれない。

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イタリア、銀行救済で八方ふさがり
モンテ・パスキは50億ユーロの増資について、国内の政情が落ち着くまで完了期限を延長するよう要請した

By PAUL J. DAVIES
2016 年 12 月 12 日 13:24 JST

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 欧州の銀行規制当局は、経営危機に直面しているイタリア3位の銀行バンカ・モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテ・パスキ)に警鐘を鳴らしている。

 モンテ・パスキは50億ユーロ(約6100億円)の増資について、国内の政情が落ち着くまで完了期限を延長するよう要請した。この増資は、国民投票で憲法改正が否決され、マッテオ・レンツィ首相が辞任する以前からすでに難しいとみられていた。

 だが要請は拒否された。これは、欧州規制当局が年末の完了期限の延長を一度認めてもさらなる延長要請がないという保証はなく、その一方でモンテ・パスキ以外のイタリア銀の問題を悪化させてしまうと懸念したためと思われる。

 目下の疑問は、モンテ・パスキに増資を完了させるだけの時間があるのか、できない場合に同行の劣後債投資家や他のイタリア銀にはどのような影響が及ぶかだ。イタリアの銀行最大手ウニクレディトは、最大130億ユーロの資本調達計画を13日に発表するとみられている。

 カタールや米国のファンドをはじめとする大型投資家にモンテ・パスキの株式売却支援を促せるほど安定した印象の新政権が週末にかけて発足する可能性は、限りなくゼロに近いがある。そうなれば同行は公募増資を行い、目標を達成できるか見極めることが可能になる。

 イタリアではこの週末、暫定政権の樹立に向けて一定の進展が見られた。モンテ・パスキもこれに対し、増資の手段としてデット・エクイティ・スワップ(債務の株式化)を再び提示する方針を明らかにした。より多くの債券保有者が応じることに期待している。これにより、株式売却の支援が期待される大型投資家の信頼感は高まる可能性がある。

 ただ、最終的に何らかの公的資金注入が行われる可能性はまだ十分にある。銀行の破綻処理方法に関する欧州の新規則により、既存株主や劣後債保有者に多額の損失を負わせることなく公的資金を利用することはほぼ不可能となっている。

 問題は、モンテ・パスキの劣後債の約半分を個人投資家、言い換えるなら有権者が保有していることにある。レンツィ氏を含む政治家がこの事実への対処を渋ったこともあり、同行はこうした窮状に追い込まれている。

 イタリアには、不良債権に圧迫されているモンテ・パスキなど銀行の一角に資金を注入する余裕がある。100億?150億ユーロで十分かもしれない。だが、目下の問題は法律であって、コストではない。

 他のイタリア銀にとっては昨年のように他行の損失を穴埋めする資金を負担する必要がない限り、いかなる解決策でも構わない可能性が高い。

 こうした不確実性のさなか、奇妙なことが起きている。イタリア銀行株のパフォーマンスが9日午後までの間に2009年以来最高の水準に達したのだ。モンテ・パスキが救済を余儀なくされる可能性は高まったとの見方が背景と思われる。

 投資家らは、イタリアがテクノクラート(技術官僚)的で安定した政権を樹立する一方、モンテ・パスキの問題は最終的にシステミックな影響を形成することなく何らかの形で解決するとの見方を支持している。ただ、いずれの見方も楽観的だと判明する可能性はまだある。

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2016年12月12日 田中泰輔(ドイツ証券グローバルマクロリサーチオフィサー)

為替市場透視眼鏡

トランプ相場で1ドル115円超
米国は来年後半以降4%成長も

 米大統領選挙でのトランプ氏勝利を受け、来年のドル円予想を90円台から115円超へ切り替えた。予想の一大転換は節操なく思われるかもしれないが、相場における節操とは有効な予測の根拠に軸足を据えることと考えている。


拡大する
 100円の節目を超えるか否かで中短期相場の潮目が一変し得ること、現局面のドル円の方向を決定づけるのは米経済の堅調さであることを、一貫して主張してきた。今年のドル円下落を日本の経常黒字や購買力平価対比での割高修正で説明する向きも巷間多かったが、それでは今回の相場の潮目を捉えられないことは明らかだ。

 トランプ政権によって米経済は高速ギアにシフトすると判断し、ドル円予想を上方へ切り返したが、反省もある。選挙前には、大統領選も上下両院選も共和党が勝利する可能性、トランプ氏が打ち出した極端な政策案の実現性を、それぞれ低く見積もっていた。

 115円予想の公表時には大きな反響があったが、現実の相場はその後2週間で114円台に達した。今や125円、130円の予想まで現れている(トランプ政権の政策にまだ多くの不確実性があるため、現段階でこのような予想にはくみし難いが)。

 選挙前、数年の拡大期を経た米景気サイクルは2017年に鈍化すると想定していた。昨年12月にただ1回引き上げられた政策金利の観点からは、現在の米経済は上のグラフのA点に位置するとみられるが、内実はすでにB点に至っていた。

 完全雇用状態の一方、ドル高と外需低迷で米企業は収益悪化と輸出減に見舞われ、原油安によるシェール部門の痛手から設備投資もマイナスになった。しかしトランプ氏の公約の減税やインフラ投資が満額で実現されるなら、米GDP(国内総生産)成長率は17年後半〜18年前半に3.5〜4.0%に加速し得る。FRB(米連邦準備制度理事会)は今年12月と来年に2回以上の利上げを行い、長期金利は2.5%以上に上昇しよう。

 この金利前提から来年115円予想を算出した(下のグラフ)が、ひとたび明快な方向感を得た相場はこの中期予想水準近くまで一気に進んでいる(これも相場の常)。政策の実現度次第で一段の上振れもあり得る。

 米新政権の政策が部分的にしか実現されない事態や、政治的摩擦、来年の欧州主要国選挙にまつわるユーロの動揺、ドル高による新興国・資源国の再脆弱化、中国からの資本流出懸念再燃など、リスクオフの円反発要因はそこかしこにある。しかし今後数カ月は、米新政権の布陣と、どの程度の公約が早期実現され得るかをにらみ、ドル円の上値を試す余地と持続性を探る場面と認識している。

(ドイツ証券グローバルマクロリサーチオフィサー 田中泰輔)
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http://diamond.jp/articles/-/110882 
 

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コメント
 
1. 2016年12月13日 19:58:42 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[3408]

>ECB総裁、「何でもやる」宣言の限界知る

日銀同様、金融政策には明らかに限界がある

当たり前の結論だが

トランプや安倍さらに中国など世界全体で財政拡張政策が広がり

保護主義による生産性の低下が進めば、日銀同様、

かなりのインフレ率上ブレという恩恵を受ける可能性はある

もちろん国民生活にとって、それが良いかどうかはまた別問題だw


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