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大金持ちを襲う「苦悩と後悔」〜10億円の大豪邸でも幸せになれない 家族が崩壊することも…
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50387
2016.12.08 週刊現代 :現代ビジネス
前を通る誰もが見上げる大豪邸。一体、誰がどんな暮らしをしているのか—。実際に訪ねてみると、内装も豪華絢爛。ただし、大金持ちの彼らにも、知られざる悩みがあるようで……。
■足が沈むビロードの赤じゅうたん
都内の閑静な高級住宅地、そのなかでも芸能人や会社経営者がこぞって住んでいるといわれている一角に、この「10億円クラス」の超高級物件はある。
その邸宅の外観は、まるで西洋の「宮殿」のような豪華さ。5階建てで、各階にはめ込まれた洋風の格子窓が雰囲気を醸し出している。一瞬海外に来たかと錯覚するような外観と敷地面積を有しているが、内装も想像を絶する「別格」な世界が広がっている。
玄関から入ると、動線に敷き詰められているのはビロードの赤じゅうたんで、足を踏み入れると、柔らかく沈み込む。そのほかの床すべてはよく磨かれたイタリア産の大理石が敷き詰められている。また天井にはシャンデリアが吊り下げられていて、まるで迎賓館に招かれたかのような気分になる。
この邸宅の設計を手掛けたのは、ある有名デザイナー。オーナーの「宮殿を建てたい」という強いこだわりを叶えるため、デザイナーは何度も海外へ渡航、完成までには普通の物件の倍の時間を要したという。
建物そのものがひとつの「芸術品」のような仕上がりのこの邸宅だが、その細やかなこだわりは枚挙にいとまがない。たとえば、階段の手すりは金属製で、ところどころに職人の手による精巧な細工が施され、おまけに1階から5階までつなぎ目がなく繋がっている。この手すりだけで1億円近くのおカネがかかっているのだそうだ。
また各階の階段の壁には大きなステンドグラスが輝いている。そのお値段はなんと1枚500万円。万が一のための「保証書」までついているというから驚きである。
軽く20畳はある広い居間を彩るのは、イタリア製の丁寧な刺繡が施されたソファーや、天井に描かれた天使の画。さらにその天井からもシャンデリアが吊り下げられており、部屋をまばゆく照らしていた。
「内装のなかには、今では再現不可能なものもあります。周辺の坪単価などを計算しても、同じものを建てたら、10億円では済まない金額になる」(高級物件を取り扱う不動産仲介業者)という。
このように、日本の高級住宅地には、選ばれし大金持ちだけが手に入れることができる「夢の住処」がある。左ページにズラリと並んでいるのは、今売り出し中の最低でも5億円を超える都内の豪邸の数々だ。
そんな大豪邸の主の一人、松田博嗣氏(仮名、60代)はこう語る。
「貿易関連のビジネスが軌道に乗って、まとまった年商を上げられるようになってきたのが50歳になるくらいのころ。一念発起して家を建てることにしたのですが、自分の理想の『終の住処』を構えようと、欲しかったものすべてを贅沢に取り入れようと思いました」
■幅4mのワインセラー
松田氏の邸宅は、都西部の主要駅に近い繁華街にある。一本裏道に入ると落ち着いた雰囲気の住宅街があり、その中で一際目を引く白い石造りの外壁がそびえたっているのが松田邸だ。住宅密集地ではあるが道路側には窓ガラスもなく、プライバシーやセキュリティーはしっかりと確保されている。
松田氏は、まず1階のガレージに招き入れてくれた。真っ先に目を奪われるのは、百貨店の立体駐車場のような車の回転台が床にあること。その回転台を囲むように並ぶ駐車スペースには、最高級クラスのBMWやベンツなどの外車が4台鎮座している。広さも、おそらくこのガレージだけで優に150m2はあるのではないだろうか。
「最近は忙しいし、買い物に行くときくらいにしか使わないんですけどねえ……」と頭を掻く松田氏は、続いて室内へと招き入れてくれた。長い廊下を抜けた先のリビング・ダイニングには、ホテルのスイートにあるような、美しく調度された家具が並ぶ。値段を尋ねると、控えめに「このソファーは100万円で、そのスピーカーは200万円くらいだったかなあ……」と教えてくれた。
さらに奥へ進もうと渡った廊下沿いには、幅4mはあろうかという大きなワインセラーがあり、大量のワインが陳列されていた。まるで高級イタリアンレストランに来たかのような光景だ。
「実は商売で、ワインの輸入も少しやっているので、結構な上物も持っていますよ。もともとお酒は好きだったので、やっぱりワインセラーは欠かせない、と家を買うときから思っていました」
その動線の先にあるのは、10畳程度の畳張りのゲストルーム。上座には掘りごたつになっているテーブルがあり、よく見るとその卓上には切れ目が入っていて、フタが開くようになっている。「これ開けるとね、網が敷いてあるんですよ。お客さんが来たときは、ここで焼き鳥とかをやったりしますね」と松田氏は楽しそうに語る。
ゲストルームといえど、設備に抜かりはない。専用の浴室には、旅館の個室風呂のような檜造りの浴槽がしつらえてある。
さらに驚くのは、ゲストルーム上座のガラス張りの窓から見える、サファイアブルーにライトアップされて煌く水面である。15m×10mほどの本格的なプールだ。
「うちには社会人の息子と大学生の娘がいるんですが、息子が大学生のころは、夏になると息子の友人たちが掃除を手伝ってくれた。そのあと『プール開き』といって遊んでくれていました」
誰もが憧れるような生活を送る松田氏だが、やはり「これからもここに住み続けたい」と語る。
「息子は一般企業に就職して、今は地方に勤めています。娘もそろそろ就職なので、この家を出ていくかもしれません。夫婦二人だけになれば持て余すところも増えてくるのかな、と思っています。
ですが、息子が東京に帰るときは必ず寄ってくれるし、結局この家を気に入っているので、引っ越しは今のところ特に考えていないですね。もちろんみんなで暮らせれば理想的ですが、子供に手がかからなくなったぶん、友人を招いて、パーティ三昧で楽しくやっていくのもありかな、と思っています」
■「芸能人仕様」の家
松田氏の邸宅と同じように、オーナーの理想が詰め込まれた「超豪邸」はほかにもある。
都内の地下鉄沿線にあるその豪邸は、近くに世界各国の大使館が密集している地域で、街を歩けば青いナンバープレートをつけた外交官車両とすれ違う。
高さ3m近くはあろうかという扉を開き玄関を進むと、30畳の広いリビングルームがあり、壁には大理石で造られた暖炉が備え付けられている。
またリビングの窓を開けると、15m2はありそうなウッドデッキの中庭があった。20人集めてホームパーティを開いても問題ない広さだ。
玄関へ戻り、キッチンへと続く廊下にある小さな扉を開けると、4畳ほどのこぢんまりとした部屋があった。部屋の奥にはトイレとユニットバスが完備されている。豪邸に似つかわしくない水回りだと訝しく思っていると、実はここはメイドルームで、住み込みのお手伝いさんが生活している部屋なのだと判明した。
2階へ上がるとメインの居住スペースが広がっていて、寝室が3つ、ゲストルームが1つ、そして風呂場は合計3つある。メイドルームのものも含めると、1つの家に風呂が4つあることになる。この設計、庶民感覚ではちょっと理解できないところだが、「家族もお客さんも気兼ねなく、好きな時に風呂に入れるように」とのオーナーの要望が盛り込まれているというのだ。
だがこれだけの邸宅、固定資産税もバカにならない金額である。地元の不動産業者に改めて概算してもらうと、「細かい計算はできませんが、だいたい年200万円くらいにはなりますね……」という。
こだわりの強い邸宅といえば、ある「超有名作詞家」が購入した邸宅もその一つである。
その豪邸は、まず「門構え」からして別格。大通り沿いに立地するにもかかわらず、通りに沿って巨大な塀が取り囲んでいるため、外からは一切様子がうかがえない。帰宅時には塀の一部がオープンになり、そのままガレージにすべりこめるという「芸能人仕様」になっている。
玄関から入ると、いきなり地下一階へと降りる階段が出現。それを降りると、30畳近くのLDKがあり、トップライトが居室を照らしている。リビングルームの横はガラス張りになっていて、そこから室内に外光が差し込むので、地下一階にもかかわらず日中はライト不要で過ごせるのだそうだ。あまりに洗練された仕様である。
明らかに一般の家との違いを感じるのは、その独特すぎる間取りだ。マスターベッドルームとゲスト用ベッドルームの間を仕切るように風呂があるのだが、これは「ガラス張り」になっていて、両部屋から中が見える。ホテルのスイートでも見かけることのできないような光景だ。
また、リビングルームから通路を進むと、15畳ほどの音楽スタジオがある。天井から吊るされているのは無数のフラッシュライト。あたかもライブハウスにいるかのような空間が広がっており、防音にも完璧な配慮がなされている。
■妻に負担をかけすぎて
「夢の住処」を手に入れた大金持ちたちは、まさにこの社会の「勝ち組」。庶民にとっては憧れの的だと言える。こんな広大な家に住み、自由気ままに生活できたら—。誰もがそう思う。
ところが、そんな大金持ちが、実際には意外な悩みを抱えていることもあるというから、世の中というものはわからない。都心を離れ、日本有数の高級リゾート地に邸宅を購入した黒川慶介氏(仮名、50代)もその一人だ。
「もともとこの地に家を買おうと思ったのは、二人の子供のうち下の子が重い喘息を患っていたからなんです。空気がきれいなところで、子供たちをのびのびと育てたいと思っていました」
黒川氏は外資系証券会社で数々の上場案件をこなし、独立後は投資や企業再生で大儲けした名うての金融マンである。そんな黒川氏がこのリゾート地に土地を買ったのは約15年前。大企業の保養所や芸能人の別荘が並ぶ由緒ある地区に、なんと1200坪もの土地をポンと購入したのだ。
「建物の敷地自体は500坪くらいなんですが、隣接するテニスコートも業者に拝み倒されて買ってしまいました。でもすぐにこのあたりの雰囲気に惚れ込んで、私としては満足していました」
そう言って黒川氏は、草木生い茂る広大な敷地を案内してくれた。
「見てください。木漏れ日がきれいでしょう。空気は澄んでいて、蚊もいない。敷地内にある木は、クヌギやクルミ、そして栗です。クヌギにはクワガタが寄ってくるし、クルミにはリスが来るので、特に夏場は最高ですね。冬だっていいところですよ。スキー場もそばにあるし、星がまたきれいなんです。ほら、我が家を見てください。煙突があって、薪が積んであるでしょ。家には暖炉があって、これが雰囲気があっていいんですよ」
再び邸宅に戻ると、総面積200m2はくだらない居宅の隣に、さらに広いガレージがある。かつてはここにフェラーリなどの高級車が並んでいたが、今では卓球台などが置かれている。
「実は、私たち今ではこの家をあまり使っていないんですよ。今年もまだ、6日しかこの家に帰ってきていません。しかも、このテニスコートに至っては、買ってから一度もテニスをしていないんです。何に使ったかといえば……思い返せば、遠い昔、ここで子供たちが自転車に乗る練習をしていたような気がします」
子供が成長するにつれて、都市から遠く離れた邸宅がだんだん不便に感じるようになってきたという黒川氏は、次のように続ける。
「子供たちが大きくなってくると、彼らも忙しくなってきた。いまは二人とも大学生になりましたが、受験で忙しくなりはじめたころから、ここから足が遠のいていって、都市部に近い別宅で生活するようになりました。
さらに、長年連れ添ってきた妻にも長い間負担をかけてきたことに最近気づきました。妻は結局、都市部の別宅でも家事をやらなければならず、特にこっちは広いから掃除も大変。たまに家族が全員こっちに揃って来ても、妻だけはいつもと変わらず家事を強いられる。
都会の喧騒から離れた生活というのは、たしかに男としては憧れかもしれません。でも家族のことを考えると、それは単なる自己満足でしかないと気づかされたのです」
黒川一家が強いられている負担はこれだけではない。リゾート地ならではの維持費が黒川氏に降りかかってくる。
「地元の管理会社と契約していますが、その契約費だけでも150万円は取られる。加えて固定資産税と住民税があわせて100万円ほどかかる。さらに警備会社に年間40万円くらい払っています。ざっと見積もっても、年間の維持費は300万円くらいになっています」
さらに建物は使わないと朽ちるのが早く、これまでに1000万円台の修繕を2回も行ったという。このリゾート地の冬はマイナス15度くらいになるが、雨水が凍ると木材が膨張してしまう。だから傷みが早いのだ。
■豪邸のせいで家族崩壊
これまでに数千万円の維持費を豪邸に投じてきたという黒川氏の表情からは、後悔の念がにじみ出ている。
「この維持費で、妻を海外旅行に連れて行ったり、のんびり過ごさせたりしてあげていればなあ……と考えることもあります。確かに、後悔しているのかもしれません」
成功の証として大豪邸を買い、そこで暮らし始めたはいいが、それが家族の崩壊につながることもある。不動産業で財を成した大塚啓二氏(仮名、70代)がそうだ。
大塚邸は500m2はある日本家屋の豪邸で、庭の大きな池では鯉が泳いでおり、庭石や石灯籠が並ぶ。大塚氏がこの邸宅を購入したのは15年ほど前。都内の別の場所にもマンションを一棟持ち、管理運営しているという大塚氏だが、「この家を買ったのが失敗のはじまりだった」と強く悔やむ。
「この家は、侘びさびが利いた日本庭園が自慢で、テレビ局が昔取材に来たこともあるんです。維持費は年間200万円くらいかかりますが、それでも私はお気に入りなのでいいのですが……。
私の失敗は、こんな大きな家に住ませ、家族に贅沢をさせてしまったことです。特に子供たちが、贅沢な生活に慣れすぎて感覚がおかしくなってしまった。
実は最近、40代になっている勤め人の息子が、私に無断で大きな借金をしていることが発覚したんです。現金などの資産は私が自分で管理しているのですが、息子はそれが不満だったのか、自分が贅沢できるおカネを作ろうと投機に手を出して、数千万円の借金を作ってしまった。息子には『一円も払わん』と言って突き放しましたが、『俺を見捨てる気か』と騒ぎ出して大ゲンカですよ。そもそもこんなことになったのも、私が『1円の大切さ』をきちんと教えてこなかったからです。
この家は私が生きているあいだはなんとかするつもりですが、そのあとはダメだろうなと思っています。息子たちの価値観では、この家を守っていく力はないのではないかと……。寂しいですね」
普通の生活をしていたら、一生に一度足を踏み入れられるかどうかもわからない超豪邸を手に入れた人々。だが、住む前に思い描いていた暮らしと、現実とが一致するとは限らない。
「週刊現代」2016年12月10日号より
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