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【徹底予測!】日本の主要300社の株価、来年2月にこうなる 「買い」の業種・銘柄は?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50385
2016.12.07 週刊現代 :現代ビジネス
アベノミクスは期限切れ、株価は戻らない。そんな暗い話題が多かったこの1年。しかし、世界は変転、潮目は激変した。まさに「儲け時」のいま、各銘柄の行方を徹底予測する。
■まだ、これからだ!!
「思い出してみてください、'12年末から始まったアベノミクス初期の相場の強さを。'12年11月19日から'13年1月21日にかけて、株価は実に17%も上昇しました。現在の日経平均株価の動きも、当時の相場と酷似しています。
単純計算で11月18日の日経平均株価1万7967円から17%上昇すれば、トランプ大統領が就任するタイミングの1月21日(日本時間)には日経平均株価は2万1000円を超えるはずです」
こう話すのは、マーケットバンク代表の岡山憲史氏だ。同氏が言うように、年末までの株価の値動きが'12年と同じように動くならば、年末の大納会で日経平均株価が2万円の大台を回復する可能性は高い。
トランプ氏の米大統領当選から始まった「トランプ相場」は、いま日本の株式市場に4年ぶりの活況をもたらしている。
アベノミクスが「3本の矢」、つまり「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「投資を喚起する成長戦略」を柱に、日銀による異次元の金融緩和によって「円安・株高」を演出したことは周知の事実。トランプ次期大統領は大幅減税、インフラ投資の拡大、金融の規制緩和を軸に、米国の景気を浮上させようとしている。
「トランプ氏の政策は、アベノミクスを彷彿させるものです。その結果、米大統領選でトランプ氏が勝利した日から約10日間のうちに、業種別では証券(+18・6%)、保険(+18・5%)、海運(+17%)、造船(+16・4%)、銀行(+13・9%)、機械(+10%)といったセクターが上昇しました。これはやはり'12年の状況とほぼ同じです。逆に、食品(+1・3%)、水産(+1・9%)、医薬品(+6・3%)といったディフェンシブ銘柄の上昇は鈍かった。
全体的に上げ相場といっても、当然なんでも上がるわけではない。業種や銘柄の選別が重要なのです」(岡山氏)
そこでアベノミクス初期の個別銘柄の上昇率にトランプノミクスの恩恵などの事情を加味して、今年末と来年2月の予想株価を掲載した(銘柄は日本経済新聞社が「市場の実勢を的確に表すことを目的」として算出している「日経株価指数300」に採用しているものに準じた)。最終ページの表を見れば、業種や個別銘柄ごとに上昇率に差が出ていることが明らかだ。
それでは実際にどの業種・銘柄が「買い」なのだろうか。以下、個別に詳しく見ていこう。
最も注目を集めているのが、トランプ氏が10年間で1兆ドル(約110兆円!)の巨額資金を投じると明言している米国のインフラ投資関連だ。
セゾン投信社長の中野晴啓氏は「新幹線」に期待する。
「大規模公共投資は、公共投資があまり行われていない米国では大きなインパクトをもたらします。賃金上昇、雇用創出で中間層から低所得者層が潤い、消費が活発になる。
トランプ政権は、オバマ大統領時代に頓挫した鉄道インフラの整備に入るでしょう。東海岸と西海岸をつなぐ大陸新幹線構想が浮上すれば、鉄道運行システムを輸出できるJR東日本やJR東海、車両メーカーの日立製作所の株価は盛り上がる。線路が新しく敷設され、トンネルや陸橋が建設される。
新幹線用のロングレールを作れるのは、技術力の高い新日鐵住金。トンネル工事などでは鹿島建設など、ゼネコンも食い込んでいく」
インフラ整備に欠かせない基本素材である塩ビ(塩化ビニル樹脂)を生産する化学メーカー、信越化学工業も市場から大きな期待を集める。
「同社は塩ビの世界トップ企業で、米国子会社に世界最大の生産力を有するシンテックがあります。シンテックは一貫生産を行う工場を持ち、積極的な販売活動で世界中に高品質な製品を提供しています」(SBI証券投資調査部シニアマーケットアナリスト・藤本誠之氏)
現在8000円程度の同社の株式は来年2月には1万円に近づくと予想される。フィスコ情報配信部長の村瀬智一氏は、「機械セクターは強含み」だと断言する。
「米国のインフラ投資で恩恵を受けるのが、工作機械大手のオークマやエアコン世界首位のダイキン工業です。ダイキンはインフラ整備の初期段階で需要が増えるでしょう。
トランプ氏のエネルギー政策の影響で株価が上がりそうなのは、環境プラントに強みのあるクボタや荏原製作所といった機械メーカーです」
また、村瀬氏は非鉄・金属の三菱マテリアルにも大きな期待を寄せる。
「同社は'12年に米カリフォルニア州で生コンのシェアトップだったロバートソン・レディ・ミックス社を完全子会社化し、米西海岸で生コン・セメント事業を展開しています。そのため、インフラ整備などで恩恵を享受する可能性が大きい」
現在3500円前後の同社の株価が来年2月には3割増となる可能性もある。
グロースアドバイザーズ主席アドバイザーで株式評論家の山本伸一氏は建設機械が一押しだ。
「トランプ氏は、インフラ整備でGDPを4%押し上げると公言しています。そこで、米国に建機を輸出している小松製作所や日立建機が注目されています。大統領選での勝利宣言で米国経済を立て直すと発言しましたが、その直後から小松製作所などは株価が上昇。この動きは就任後、さらに強くなるでしょう」
トランプ氏は「米国第一」を謳い、「世界の警察」の地位から撤退することも匂わせている。その結果、日本が自主防衛を強化せざるを得なくなると見て、防衛関連銘柄の株価も動意づいている。
「トランプ氏が選挙期間中に公言してきた米軍による日本の防衛、基地負担のあり方、核開発の問題の見直しから、日本の防衛費も増大していきそうです。その結果、防衛関連企業は注目されています。たとえば、防衛省への機器、機材の納入が多い三菱電機の株価は一時1600円を超えて年初来高値を更新していますが、これからさらに上乗せして先々2200円を目指す」(ちばぎんアセットマネジメント調査部)
そのほかにも、NEC(日本電気)、三菱重工業、IHI、三井造船、川崎重工業といった銘柄も、防衛関連として注目される可能性が高い。
ニューヨーク証券取引所。11月22日、ダウ平均株価が1万9000ドルを超えた〔PHOTO〕gettyimages
■メガバンクも大躍進する
これまで米国ではリーマンショックの反省から、オバマ政権によって法律で金融機関の活動に大きな制限が加えられてきた。トランプ氏はこの法律を撤廃し、金融の規制緩和を行うと明言している。
株式評論家の渡辺久芳氏が解説する。
「たとえば米国の投資銀行はヘッジファンドへの投資や融資が規制されてきました。これがトランプ氏の言うとおりに解禁になれば、大量の資金が株式市場に流れ込むわけで、当然、株価は上がります。
三菱UFJフィナンシャル・グループや三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループといった日本の3メガバンクも米国で活動しているので、大きな恩恵を受けます。中でも三菱UFJフィナンシャル・グループは米銀行のモルガン・スタンレーに22%出資し、持分法適用会社にしています。米国での収益向上の旨みを直接受け取れるのです」
一時期700円に迫った三菱UFJ株は、年明けには800円を優に超えそうだ。
その一方で、地方銀行は「マイナス金利の深掘りが予想され、経営は厳しい」(前出・中野氏)との見方が根強い。
トランプ氏の当選で、すでに米国債の10年物の利回りが1・8%から2・3%へと上昇を始めているが、金利高の流れは世界的にも波及していきそうだ。
「欧州も金利が反転、日本もマイナスから徐々にプラスへと浮上しています。今後、長期金利がマイナスになることはなくなるでしょう。金融機関としては調達金利が低い一方、民間への貸出金利が上昇すれば利幅が膨らむことになります。
しかも景気がよくなれば、銀行以上に需要が増えるのがノンバンク。とくに消費者金融は、これまで業績の足を引っ張ってきた過払い金問題も一段落して収益が回復する見通しです。日経株価指数300に採用されている銘柄で言うと、アコムに注目です」(アセットマネジメントあさくらアセットコーディネーター・長谷川伸一氏)
米国債の金利上昇は、保険会社にも追い風になりそうだ。松井証券シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏は、日本の株式市場で「トランプ相場」の主力セクターと見られているのが、この保険業界だと指摘する。
「日本国内の保険会社も外国債券に投資しており、利回りが上がれば全体的に恩恵を受けると見られています。米国で財政拡大や減税政策が具体化して、金利がさらに上昇すれば、第一生命ホールディングスや東京海上ホールディングスが、今後も恩恵を受ける代表銘柄となってくる」
■資源開発で総合商社も復活する
米国の石油政策の転換も、日本企業に影響を及ぼしそうだ。
「サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコの上場観測もあり、サウジは原油高にもっていきたいでしょうし、米国もトランプ氏が大統領になると、シェールオイルを増産する可能性が高い。
共和党は元々石油業界寄りの政策を取る傾向が強いことを考えても、原油価格は上昇するでしょう。世界的に景気がよくなれば、石油の需要も増える。日本の石油業界にとっても追い風です。具体的にはJXホールディングスに上昇余地があるでしょう。
世界的に資源が動くことを考えれば、総合商社の業績もよくなる。三井物産や三菱商事は世界に石油の権益を持っています。現状ではまだ株価は割安で、配当利回りも高い」(前出・長谷川氏)
また、両社はロシアのサハリン沖で石油や天然ガスを開発する「サハリンプロジェクト」にも関与している。
「日本とロシアの経済的な関係から、日ロ共同開発のサハリンプロジェクトは成功し、エネルギー分野に強い総合商社の存在感は増す」(前出・ちばぎんアセットマネジメント調査部)
両社の株価は来年2月に2割弱は上昇してもおかしくない。
また、原油価格が上昇すれば、海外で資源プラント建設を手がける日揮などにも注目が集まる。
「トランプノミクスが成功し、米国経済が立ち上がれば、消費が増える。米国への物流も増えるし、トランプ氏がエネルギー輸出に舵を切れば、海運業界が恩恵を受けます。商船三井や日本郵船はアベノミクス初期でも大幅に値を上げましたが、今回も同じことが見込めるでしょう」(前出・岡山氏)
■自動車は両にらみで注視せよ
精密機械セクターは円安の恩恵を受けそうだ。前出の中野氏はヘルスケア分野に注目する。
「海外投資比率の高い日本の精密機械のヘルスケア事業は、今後も米国で収益を拡大していけるでしょう。内視鏡で世界シェアトップのオリンパスに加えて、ニコンも医療機器の体制を整えている。とくにニコンはリストラを進めたばかりで、収益拡大のチャンスです」
もちろん、円安だからといって日本の輸出企業すべてが潤うわけではない。中でも自動車はトランプノミクスによるメリットとデメリット双方が指摘されている。
「トヨタ自動車は'16年度下期の想定為替レートを1ドル=100円に設定していますが、1円下がれば400億円くらい営業利益がプラスになる。想定レートより10円ほど円安になれば、約4000億円の利益を上乗せすることが可能になり、それだけでマーケットには好感をもたれるでしょう」(カブドットコム証券投資ストラテジスト・河合達憲氏)
ただし、その一方で懸念材料はトランプ氏の「保護主義」だ。自国の経済を優先するあまり、世界各国の自動車メーカーが不当な仕打ちを受ける可能性も指摘される。
大和証券企業調査部日本株シニアストラテジストの高橋卓也氏がこう解説する。
「中でもメキシコの工場を持つ自動車メーカーにとっては脅威です。トランプ氏は選挙期間中にNAFTA(北米自由貿易協定)の見直しに言及し、メキシコで製造された自動車に高い関税をかけることを示唆しました。メキシコでの生産にウエイトを置くトヨタ自動車や日産自動車には逆風になるかもしれません。
とはいえ、トランプ氏を見ていると、当選前と比べて、発言を現実主義的なものに修正しています。油断はできませんが、株式市場が好感する政策が優先されるでしょう」
■見逃せない意外なカジノ銘柄
繊維や窯業といった分野でも、株価の明暗は分かれそうだ。
「航空機に使用される炭素繊維だけは日本の技術力が突出しています。繊維セクターからは、この分野に強みのある東レと帝人に注目しています。
ガラスやセメントを扱う窯業は特別な技術が必要となるわけでもなく、業界全体は厳しい。ただ、日本ガイシは期待できます。同社は自動車の排気ガスを浄化する触媒に強みがあり、他社が真似できない高い技術力がある。米国の自動車メーカーも同社の製品を買わざるを得ないのです」(証券アナリスト・植木靖男氏)
通信の分野ではソフトバンクが、買収した米スプリント社の業績好転の影響を受ける以外、目立った動きはなさそうだ。
国内のカジノ関連では定期的に動意づく銘柄もある。一般にはあまり知られていない港湾運送業の上組がそれだ。
「全国の港湾に広大な土地を持つ上組は、大阪・舞洲周辺にも土地や倉庫を保有しています。大阪でカジノができるという報道のたびに株価は上昇し、すでに1000円を超えてきています。短期で1100円を超えてくるでしょう」(ちばぎんアセットマネジメント調査部)
12月15日に発売が予定されているスマートフォン向けゲーム『スーパーマリオラン』で、任天堂にも再び注目が集まっている。
「現在、株価は3万円を割り込んでいますが、今夏『ポケモンGO』で賑わったときの高値3万2700円を再度目指すのではないでしょうか。
この恩恵を受けるのが、ゲームを任天堂と共同で開発したディー・エヌ・エーです。こちらも株価は4000円を目指していくでしょう」(前出・山本氏)
少なくとも来年2月までは安心して見ていられる「トランプバブル」。今世紀最大のチャンスへの投資は、まだ間に合う。
「週刊現代」2016年12月10日号より
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