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イタリア投資に「ローマの休日」はない
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イタリアの銀行最大手ウニクレディト PHOTO: MANTERO/FOTOGRAMMA/ROPI/ZUMA PRESS
By
JAMES MACKINTOSH
2016 年 12 月 6 日 13:29 JST
イタリアのマッテオ・レンツィ首相が改革に向けた国民投票で敗北し辞意を表明。つかの間の混乱があったが、国際投資家は気にしていないようだ。
確かにイタリア株は打撃を受け、銀行はそれ以上に苦しんだ。5日には、欧州優良株の中で値動きが最悪だった10銘柄のうち8銘柄がイタリア株だったうえ、同国国債の利回りが上昇した。だがユーロはドルに対して小幅に上昇し、資金逃避先のドイツ連邦債や金(きん)に対する需要は減退。欧州の主要株式相場はイタリアを除くと軒並み上昇した。
市場は肩をすくめて次に移ったようだ。
残念ながら、ころころ変わるイタリアの首相よりも大きなことが危機にひんしている。同国は銀行と経済の2つの深刻な問題に直面している。両者は互いに関連しているが、当座の問題は銀行だ。
ここでは、投資家が影響について冷静なのも当然だ。問題は深刻だが封じ込められている。世界最古の銀行バンカ・モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテ・パスキ)は、慢性的な不良債権問題に対処するため、年内に50億ユーロ(約6100億円)を調達しようとしている。さらに、規模のはるかに大きいウニクレディトが、来年早くに130億ユーロもの資金を調達する計画だ。
誰であれレンツィ首相の後任者は、まずモンテ・パスキの問題を目にするだろう。銀行筋は、国民投票の結果がどうであれ同行に必要な資金の調達見通しについて盛んに話していたが、イタリア投資の魅力は明らかに低下した。
別のシナリオはどうか。資金が調達されなかった場合、モンテ・パスキは救済を受けなければならない。でなければ、銀行破綻に関する欧州の規則を試す最初の試金石になる。欧州連合(EU)の欧州委員会は救済に反対しているため、規則を避けるのは外交的に難しいだろう。だが同委は、モンテ・パスキの株主や劣後債保有者の権利が消滅する場合、劣後債を購入させられた(多くの)一般預金者に政府補償がなされうることを明確に示してきた。政治は醜いが、システミックな危機をイタリア国外に拡散させることなく同行や規模の劣る一部のライバル行が破綻できると考えるのは理にかなっている。
ウニクレディトは別の問題だ。同行の時価総額(5日には株価が3.4%下落した)は130億ユーロ、債券発行残高は1890億ユーロに達している。同行に対する脅威は欧州銀行システムに対する脅威になる。しかし、ウニクレディトに対する驚異は実際には存在しない。同行が来年に予定している資本調達は政治的混乱のために一段と高くつき、そのため既存株主が被る打撃も一段と大きくなるだろう。だが混乱はそこまでだ。「五つ星運動」が即座に政権を握るとみられれば話は別だが。
上:欧州銀行株指数(青)とイタリア銀行株(緑)の動き 下:1997年以降の1人当たりGDP増減
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長期的な問題は、銀行の資本積み増しよりもはるかに根深い。イタリア経済は10年前よりも規模が小さく、国際通貨基金(IMF)によると1人当たり国内総生産(GDP)が1997年を下回っているのは先進国では同国だけだ。レンツィ氏は労働法改革でスタートを切ったが、経済成長を加速させるには、法律制度などに対して、ずっと多くのことが必要とされる。
改革の計画は既に停滞しており、有権者が今回それをずたずたにした。2018年に予定されている総選挙前にはほとんど何も進まないとみられる。成長が加速しなければ、対GDP比133 %に上るイタリアの公的債務はさらに制御が難しくなり、銀行で再び不良債権が膨らみ始めかねない。
しかし、ある意味ではイタリアのリスクは低下し始めたばかりだ。憲法が改定されれば政府の力は増大しただろうが、それとセットになっている選挙制度改革により、五つ星運動が政権を取る可能性が上昇していた。国民投票の結果は新たな選挙法を意味する。これにより、五つ星運動が政府で権力を握ることはより難しくなりそうだ。過去70年と同様、そうした権力を動かすことは今後も大半の国より難しいだろう。
欧州中央銀行の債券買い入れはイタリアを守り、慢性的な問題が危機的になる瞬間を先送りしている。その日は、差し迫っているようには見えないが、イタリアが経済成長を取り戻せなければいずれ到来する。
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トランプ相場最大級の受益者
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大統領選中、トランプ批判を強めていたバフェット氏だが、トランプ相場の最大の受益者の1人(英語音声のみ)
By
NICOLE FRIEDMAN
2016 年 12 月 6 日 16:57 JST
著名投資家のウォーレン・バフェット氏は米大統領選挙戦の終盤、トランプ候補の最大の批判者の1人だった。そのバフェット氏は今、銀行株、鉄道株などを押し上げたトランプ相場の最大の受益者の1人となっている。
バフェット氏が率いる投資持ち株会社バークシャー・ハザウェイは11月にこの6年間で最高の業績を上げ、同社株は過去最高値の24万ドル(2700万円)近くで取引されている。バフェット氏が1965年にその元繊維会社を買収したとき、バークシャーの時価総額は約2000万ドルだったが、今では4000億ドルをわずかに下回る水準で推移している。
保険会社、鉄道会社、公益事業会社、製造会社といった従来型の事業会社を保有しているバークシャー。その時価総額は、ハイテク大手と肩を並べている。調査会社ファクトセットによると、時価総額ではアップル、アルファベット、マイクロソフトに次ぐ米国企業第4位だ。フォーブス誌によると、バークシャーの会長で筆頭株主であるバフェット氏は世界で第3位の大富豪だという。
トランプ政権と共和党が支配する議会は減税や規制緩和を実現するだろうという見通しから、米国株は大統領選挙以降、上昇してきた。11月8日から12月2日までにS&P500種指数は堅調に推移。
バークシャーのクラスA株とクラスB株は同期間中にそれぞれ7.9%、7.8%の上昇を示した。12月2日には両クラスとも少し値を下げ、A株は0.3%安の23万9070ドル、B株は0.5%安の159.39ドルとなった。
民主党員であるバフェット氏は大統領選挙中、クリントン候補を応援し、トランプ候補を批判した。あるテレビ討論会でトランプ氏がバフェット氏も「巨額の」税控除を受けていると主張すると、バフェット氏は自分の納税記録を公表し、トランプ氏にも同じことをするように促した。
11月11日に放送されたCNNとのインタビューでバフェット氏は「10年後、20年後、30年後の米株式場は現在よりも上昇しているだろう」と指摘。「クリントン氏が勝っていたとしても、そうなっていただろうし、トランプ氏が大統領でもそうなるだろう」
バークシャーの株価上昇を後押ししたのは、その保険会社や銀行の保有を通じた金融業界への広範なエクスポージャーである。米金融大手JPモルガンとゴールドマン・サックスは、ダウ工業株30種平均構成銘柄の中でも特にパフォーマンスが好調だった。
バークシャーの投資ポートフォリオには、ウェルズ・ファーゴ、アメリカン・エキスプレスなどの金融企業の株式が大量にあり、最近購入した米4大航空会社の株式もある。米銀大手ウェルズ・ファーゴの株価はこの秋、販売慣行をめぐるスキャンダルを受けて急落したが、大統領選挙以降は他の銀行株と一緒に値を上げてきた。
アナリストたちによると、トランプ政権は金利上昇のペース加速を促し、その業界の規制緩和を推進するだろうという考え方が金融株全般に恩恵をもたらしたという。
バークシャーの時価総額は4000億ドル近くで米企業では4位
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バークシャーが広範な業種に分散投資していることを踏まえると、同社株の購入は米国経済の成長を見込んでの投資でもある。バークシャーは子会社を通じて電力、家具、自動車、新聞、その他の製品を販売している。同社の傘下には米国で最大級のバーリントン・ノーザン・サンフェ鉄道もある。
米投資銀行キーフ・ブリュイエット・アンド・ウッズのマネジング・ディレクター、メイヤー・シールズ氏は「今回の衝撃的な選挙の後、トランプ次期大統領下の成長はクリントン氏が勝っていた場合よりも急激なものになるという共通認識がある」と話す。「バークシャーは米国経済のすべての要素を代表しているのだ」
バフェット氏は元々東部ニューイングランド地方の繊維会社だったバークシャーを50年かけて大手企業に育て上げた。長期的な株式投資や幾つもの企業買収が実を結んできたのである。同社の揺るぎない強みの1つに、数年後まで払い戻さなくてもいい保険料収入を元手に儲かる投資をするという能力がある。バークシャーは第3四半期末時点での保険料フロートを910億ドルと報告している。
バフェット氏がバークシャーを買収した1965年から2015年までの同社株の複利での平均年率リターンは21%である。同社のクラスA株は年初来で21%の急騰を示している。
バークシャー株を保有しているラウンツィス・アセット・マネジメントのポール・ラウンツィス社長は、大統領選挙後にディフェンシブ銘柄としてバークシャー株を購入している投資家もいるかもしれないと述べた。バフェット氏のバリュー志向の投資戦略は株価暴落時にアウトパフォームし得るからだ。
「バークシャーには多種多様な収入源があるので、資金の逃避先としても安全だ」とウランツィス社長は言う。「株式にとって非常に厳しい局面に向かうとしても、バークシャーなら極めて安全だということが何度も証明されている」
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