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日本は世界一の金融資産大国だ
日本経済 なぜ借金ばかり強調する悲観論が横行するのか
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161202-00010001-moneypost-bus_all
マネーポストWEB 12/2(金) 16:30配信
「このままでは日本の財政は破綻する!」──財務省とメディアはそう煽り、国民は「それなら増税もやむなしか」と思い込まされている。しかし、経済評論家の上念司氏は、日本は「借金大国」どころか、世界一の「金持ち国」だと解説する。
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2015年末の統計では対外資産948兆円に対し対外負債609兆円、対外純資産は339兆円。要するに日本は世界に対する“金貸し国”なのだ。
対外資産の中に「外貨準備高」が148兆円あることも指摘しておきたい。外貨準備で為替介入のための資金をこれほど保有している国はない。これだけ日本政府の資産には余裕があるのだから、消費税1%で2兆円の税収が見込めるというのであれば、外貨準備で保有している米国債100兆円を売却すれば、理論的には今後25年間は2%消費増税する必要がないことになる(もちろん現実に売ればアメリカが黙ってはいないが、少なくとも増税する根拠は乏しいと言える)。
また、財政再建が国債を減らすことを指すのであれば、政府系機関の民営化を推し進めて民間企業として再生させればいい。例えば政府の出資を受けるUR(都市再生機構)は都心の一等地に高級賃貸マンションを建設しているが、そんなことを政府が支えて行う必要はない。こうした政府系機関を民間にシフトさせれば、数兆円規模で国庫に取り戻せるはずだ。
日本経済の強みを財務省、および政府も強調すべきなのに、なぜこれほど借金ばかりが強調される悲観論が横行するのか。
今はかつての財政投融資のように政府の投資に頼る時代ではない。長期的には産業を淘汰して新陳代謝を促す政策を取るべきだ。個人レベルでも自分のセンスで投資や起業するダイナミズムが必要とされている。
しかし天下り団体の既得権益を守りたいがゆえの規制も多く障害となっている。増税も慣例主義の官僚たちが、これまで先輩が築き上げた路線を否定できなくなっているのではないか。または財務省がすでに機能不全に陥っているとしか思えない。そんな無駄は今すぐ排除すべきだ。
官僚や一部の日本経済悲観論者は自分らは現実主義だと胸を張る。しかし彼らは悲観論を目指す理想論者・非現実主義とも言える。
世界一の金融資産大国であるのにその資産を活かさない現実から目を背けていることこそ、「日本は危ない」のではないだろうか。
今の日本にはIT、外食分野を中心に、規制に縛られず、ビジネスチャンスを海外に見出している成長分野の企業も少なくない。政府が既得権に固執する成長性のない産業から別の分野に潤沢な資金をシフトできれば、日本経済はさらに強固なものとなるだろう。
【PROFILE】じょうねん・つかさ1969年、東京生まれ。中央大学法学部法律学科卒業。2007年、勝間和代氏と株式会社「監査と分析」を設立。著書に『財務省と大新聞が隠す 本当は世界一の日本経済』(講談社+α新書)、『経済で読み解く明治維新』(ベストセラーズ)など多数。
※SAPIO2016年12月号
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