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OPECが減産合意
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52886275.html
2016年12月01日 在野のアナリスト
OPECが減産に合意し、市場は円安株高にふれています。サウジが日量約49万バレル、イラクが21万バレル、クェートが13万バレルを削減し、イランは経済制裁前の400万バレルを主張したものの、380万バレルで合意し、実質的には増産です。ナイジェリアやリビアは削減対象から除外、インドネシアは合意を拒否しました。合計すると日量3268万バレルから117万バレルの削減、となります。
露国が段階的に30万バレル削減する方針を示し、OPECも非加盟国との会談を今月中に行って、世界全体で削減する方針です。しかし10月の生産量からの調整としても、OPECの会議を控えて生産を増やしていた国などもあり、供給過剰の状態が解消される見こみはありません。さらに監視員を置いて、減産の状況を監視するといいますが、すべての油田に人を配置できるわけではないでしょうから、国家ぐるみで生産量を捏造されれば、供給量は減らないどころか、増えるかもしれない。合意に加わらなかったインドネシア、非加盟国会合に加わるかどうかも分からない米国、そしてOPEC非加盟の中南米の動向、等々不透明なことが多いにも関わらず、原油相場だけは急騰しました。
産油国の問題は、史上空前の生産能力を維持しながら、『つくらない』ということが果たして達成できるのか、です。国家ぐるみで生産を調整している中東などはまだしも、米国のように小さな企業体が、独自に生産するような国は、生産調整が利きにくい。価格が上昇すればすぐに生産しようとするでしょう。産油国が価格上昇を企図しても、これはイタチゴッコにしかなりません。今回の価格上昇も、長続きはしないでしょう。
しかし減産合意で、リスクオフとして円安になってしまうことが問題です。様々な試算もでていますが、110円を越える円安は行き過ぎ、という見方が大半なのに、115円を試しに行ってしまう。米系大手や欧州系大手が円売り、株買いを仕掛けていることが、楽観に傾くとそちらにバイアスをかけてポジションを増やす、ということにつながっていますが、原油高は日本のコストプッシュインフレにしかつながらず、景気を悪化させかねないにも関わらず、その材料は無視です。ただただ円売り、株買い。しかも米系大手は日銀のETF買いに合わせるようTOPIX先物に高いポジションを組んでおり、今後の動向が警戒されます。
中東では「屠殺人が多いと肉が腐る」という諺もあります。作り過ぎてしまう、というほどの意味ですが、まさに今の産油国、石油開発企業の多さは、その作り過ぎを生んでしまう状況です。みなが作り過ぎない、という合意を得たわけでもない今回、全員が痛みを被るのではなく、一部が痛みを被り、一部がそれを高笑いしながら眺める、という構図が生まれたとき、それがOPECの影響力の低下と、調整能力の減退を招くことになりそうです。
そしてこの減産合意は、さらに日露による北方領土交渉を遠のかせた、とも言えるのでしょう。露国は余裕をえて、日本の経済協力の価値が低下する。どうしても欲しいお金ではなくなってくる、ということです。しかも円安になれば、相手を満足させる額を準備するにも、日本の負担が大きくなります。例えば円で1兆円、という合意をしても、円の価値が下がればそれが露国からみて8000億円、7000億円に見えてしまう。円安のときの海外投資は、よほど気をつけなければいけませんが、まさに12月は悪材料が重なってきた、といえるのでしょう。
屠殺人が多いと肉が腐る…それは、売りものの肉について語ったことですが、実は屠殺人が腐って、その業界から去ってくれるまで供給過剰がつづく、という意味にもうけとれます。みんながきちんと約束して、仲良しこよしで解決できる、とした今回の合意。多すぎる屠殺人が満足するぐらい価格が上がらなかったとき、果たしてどうなるのか? 屠殺人同士の競争、それこそ殺し合いのような熾烈なものに突っこんで行くのかもしれませn。一先ずの楽観が演出されましたが、今後の動向次第では、世界は殺伐とした状況に陥る展開も予想されるところなのでしょうね。
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