http://www.asyura2.com/16/hasan116/msg/318.html
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【第158回】 2016年12月1日 高橋洋一 [嘉悦大学教授]
日銀当座預金に債務性はあるはずがない。田中秀明教授に再反論
会計上負担になる
債務性がないのは明らか
筆者は4週間前に本コラムで「日銀当座預金を民間銀行の「預金」と勘違いする人々へ」を書いた。田中秀明・明治大教授がそれに反論した「埋蔵金と日銀の国債購入で日本の借金は消えるのか?高橋洋一教授に反論!」というので、今回はその再反論と思っていた。
ところが、ネットで探してみると、「民間銀行の日銀当座預金残高の本質〜日銀の保有国債は政府の負債と相殺して見ることができるか?〜」で、竹中正治氏が、田中氏と筆者の論考を比較し、筆者の主張が妥当であるとしている。
論争の本質部分は、これでおしまいである。
当然だろう、日銀当座預金に統合政府の会計上、債務性があるはずがない。これは、単純な思考実験でもわかる。今の日銀による金融緩和ではなく、政府紙幣の発行による金融緩和を考えてみればいい。日銀当座預金は、政府紙幣(これは日銀券と同じ)に置き換わるわけであるので、会計上負担になるような債務性がないのは、明らかだろう。
経済学者はすこぶる会計に弱い。連結BSとかいうと、さっぱりお手上げの学者が多いが、この程度は簿記レベルの話である。
統合政府のバランスシートで考えるというのは、日銀が購入した有償還・有利子の国債が、無償還・無利子のマネタリーベースと置き換えられることを意味する。このため、統合政府のバランスシートの負債は、負債側は国債等950兆円、日銀券100兆円、日銀当座預金300兆円となるが、マネタリーベースの400兆円は実質的に負債から除いて考えてもいい。
これは、中央銀行という発券銀行たるゆえんである。実務的に見ても、日銀が購入した国債の利払費は政府が払っても日銀納付金で返ってくるし、償還費も日銀乗り換え(日銀引き受け)で不要である。
実は、筆者のほうが妥当と結論付けてくれた竹中氏の論考なのだが、最後のところで残念なところがある。「日銀には金利の引き上げ幅次第で莫大なマイナス利鞘による損失が生じる」とされている点である。この点は、ほとんど識者が、金融政策の出口戦略のときのリスクとして指摘しているが、ちょっとミスリーディングである。
田中氏の論考でも、国債購入でどれだけ損をしているかとして、似たような言及がある。そこでは、深尾光洋氏や岩田一政氏の研究を引用して、日銀のコストを強調している。
日銀のコスト強調に呆れていた
バーナンキ氏やサマーズ氏
これは、コストを日銀だけで見るか、統合政府見みるかによって、異なってくる。これまでも、日銀官僚は、日銀のコストを強調してきた。
これに対して、海外の著名学者であるバーナンキ氏やサマーズ氏は呆れていたのを、筆者は実際に見ている。バーナンキ氏は誠実な人柄から、「そんなに日銀の損失が心配なら、一定の長期損失補填契約を日銀と政府で結べばいい」とまで公式に答えている。
サマーズ氏の場合、ぶっきらぼうに、日銀財務問題をくだくだと説明する日銀官僚に対して、「So what」(それで何が問題?)と答えた。
どうして、海外の碩学らが日銀の財務問題を取るに足りないと考えているかといえば、以下の通りである。
まず、中央銀行の決算の基本をおさらいしておこう。実際の決算は複雑になっているが、その基本的なところはかなりシンプルだ。
日本銀行のバランスシートを見ると、基本は、資産側に国債、負債側に日銀券と日銀当座預金だ。つまり、負債側はマネタリーベースとなる。つまり、資産側には有利子債権、負債側は無利子債務である。現状では、日銀当座預金250兆円のうち210兆円程度には0.1%、20兆円は無利子、20兆円には▲0.1%付利されているが、日銀券との代替が基本であるので、すべて無利子が本来の姿だ。民間銀行の当座預金が無利子であることを考えればわかるだろう。
このように、資産が有利子債権、負債が無利子債務が中央銀行の基本構造である。無利子債務は、常識的な意味では「借金」でない。
この場合、収益は総資産に金利をかけた利子収入になる。この意味で、金利が低下すれば、毎年の日銀の収益は少なくなっていく。これが将来にわたって続くわけだが、それらの現在価値の和は、高校レベルの「等比級数の和」の公式を適用すれば日銀が購入していた国債の額面金額になることがわかる。これが通貨発行益である。
もちろん、この通貨発行益は、日銀納付金として国庫に入るが、政府と日銀を合算した統合政府で見れば、統合政府のものだ。
日銀は法的に政府の子会社
統合政府で考えるべき
仮に、日銀保有国債で損失が出る場合、必ずその損失額は国債の額面金額より小さい。ということは、通貨発行益の範囲内であるので、統合政府で見れば取るに足りないことだ。
なお、「保有国債の損失が国債の額面金額より小さい」という話は、2015年4月6日付け本コラム「財政再建には順序がある 増税は最後の手段」の最後にも書かれている。
日銀が法的に政府の子会社である以上、統合政府で考えるべきであるが、日銀官僚はそう考えずに、日銀だけで決算をいう。そうした情報がマスコミに流れて、マスコミ報道は頓珍漢になる。
民間企業であれば、グループ決算が重要で、個別会社の決算は意味がないだろう。しかし子会社であるにもかかわらず、日銀官僚は、日銀保有国債の評価損が出る、引当金が必要だといい、騒ぐ。統合政府で見れば、取るに足らないことなので、政府も日銀が好きなようにしろという態度だ。
はっきりいえば、子会社の日銀の財務は気にする必要ない。むしろ親会社の日本を根っこで支える日本経済がよくなることが重要だ。
また、田中氏の論考では、筆者はいくらでも高いインフレでも許容するかのように書かれている。国家債務と株式を交換したジョン・ローの失敗も引用しているが、筆者が日本でほとんど最初にインフレ目標を提唱したことを無視している。
上に述べたように、統合政府のバランスシートで考えているというのは、日銀が購入した有償還・有利子の国債が、無償還・無利子のマネタリーベースと置き換えられることだ。それをやれば、インフレになるのはわかっている。ただし、筆者は過度なインフレにならないようにインフレ目標も主張している。こうした手が打てるのはデフレだからであり、インフレ目標2%を超えてまで行うことはない。
ちなみに、2015年12月17日付け『「お札を刷って国の借金帳消し」ははたして可能か」は一例であるが、「それはシニョレッジを大きくすればするほど、インフレになるということだ。だから、デフレの時にはシニョレッジを増やせるが、インフレの時には限界がある。その限界を決めるのがインフレ目標である。インフレ目標の範囲になるように、お札を刷ってシニョレッジを稼げというわけだ」と書いている。
財務省に洗脳されているのか?
「財政事情ガー」という政治家
最後に、筆者は、「『財政事情が厳しいから」○○をせよ』、という言い方が嫌いである。前提条件が正しくないからだ。政治家にはこうした物言いが多いが、財務省に洗脳されたからだろう。別の理由を付けて、正々堂々と改革を主張すべきで、「財政事情ガー」というのは、一流でないと考えている。
ちなみに、筆者は財務省が嫌う各種の改革を主張している。最近でいえば、「日本がノーベル賞常連国であり続けるには、この秘策を使うしかない!」、「年金の世代間格差、そろそろ「本当の話」をしよう【現役世代必読】」。こうした主張は、「財政事情ガー」という必要はなく、それぞれ主張の合理性を持っている。
http://diamond.jp/articles/-/109754
Business | 2016年 12月 1日 12:03 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース
設備投資の慎重姿勢続く、法人企業統計7─9月期3年半ぶり前年比減
[東京 1日 ロイター] - 財務省が1日発表した2016年7─9月期の法人企業統計(金融業・保険業を除く)によると、設備投資額(ソフトウエアを含む)は全産業で前年比1.3%減で、2013年1─3月期以来の減少となった。季節調整済み前期比(ソフトウエアを除く)は0.4%増となったが、直近3四半期が減少していた割には伸びは小さかった。設備投資は慎重姿勢が続いており、米次期政権の政策の行方が不透明なことからしばらくは様子見が続く可能性がある。
「設備投資は鈍い動き」(農中総研・主席研究員・南武志氏)ー─エコノミストからはこうした見方が目立つ。伸び率は縮小し続けていたが、今回3年半ぶりに減少に落ち込んだ。経常利益が7─9月期として過去最高にもかかわらず、設備投資はさえない動きとなっている。
内訳をみると、製造業は前年比1.4%減、非製造業は1.3%減だった。製造業は、円高による利幅減少などで前年比減益が続いていることも影響したもよう。非製造業は前年の建設業や情報通信業での反動減が大きく、インバウンド需要向けのホテル建設や鉄道整備の増加で補いきれなかった。
キャッフローは引き続き増加し、手元流動性は売上高の15.5%、前年同期より積み上がっている。「企業内部に使うあてのない資金が潤沢に蓄積された状況が長期間続いている」(南氏)という状況だ。
前期比は0.4%増加したことから、7─9月期国内総生産(GDP)統計の設備投資も1次速報の前期比0.0%から0.2%程度へ上方修正される可能性を見込む声もある。ただ2次速報では国際基準への移行で研究開発投資が含まれることや、基準年改訂も同時に実施され、過去にさかのぼって数値が改訂されるため、予測は難しい。
さらに今後の動向について「米国のトランプ次期大統領はTPPの否定と法人税率の引き下げを企図しており、既に二の足を踏んでいる日本企業が設備投資の拡大により後ろ向きとなるリスクがある」(SMBC日興証券・チーフマーケットエコノミスト・丸山義正氏)といった要因も働きそうだ。
*内容を追加し、写真キャプションを変更しました。
(中川泉 編集:田中志保)
http://jp.reuters.com/article/3q-capex-idJPKBN13Q2ZV
【第12回】 2016年12月1日 野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
中央銀行の仮想通貨発行が現実へ、その時何が起こるか
各国の中央銀行が、仮想通貨の検討に熱心に取り組んでいる。その主要な目的は金融政策の有効性確保だが、他方において、銀行預金の消滅、プライバシー喪失など、大きな問題がある。
中央銀行の仮想通貨への関心が
1年間で大きく変化
日本銀行が、11月の『日銀レビュー』で、仮想通貨に関するレポート「中央銀行発行デジタル通貨について―海外における議論と実証実験―」を発表した。
昨年12月にも仮想通貨に関するレポートを発表しているが、それと比べると、かなりの変化が見られる。昨年は、仮想通貨のメカニズムと、国際決済銀行(BIS)の仮想通貨レポートを紹介した程度だった。
それに対して、今年のレポートは、方向性は示していないものの、利害得失の検討などにも踏み込んだ内容になっている。
これは、この1年の間に、世界でかなり大きな変化があったことの反映だ。1年前にBISが「中央銀行が仮想通貨を発行する可能性がある」としたときには、「なぜ中央銀行が?」という受け止め方が大勢だった。
しかし、現在では、多くの国の中央銀行が、仮想通貨に強い関心を寄せている。今年6月にアメリカ連邦準備制度、世界銀行、IMFが主催した「ブロックチェーンとフィンテックに関するフォーラム」には、90を超える国の中央銀行が参加した(CoinDesk参照)。
雑誌Forbesは、このフォーラムを報道する記事で、「どこかの中央銀行が5年以内に仮想通貨を実現するだろう」という関係者の言葉を引用している。
以下では、仮想通貨の発行に関する各国中央銀行の取り組みを紹介し、その目的と、実現される姿、それがもたらしうる問題などについて述べる。
最も熱心に取り組んでいる
イングランド銀行
仮想通貨について最も熱心に取り組んでいるのは、イングランド銀行だ。
今年6月には、マーク・カーニー総裁が、つぎのように述べている。
まず、「イングランド銀行が即時グロス決済へのブロックチェーン技術適用に向けた研究を進めている」ことを明らかにしている。そして、「このような銀行決済システムにおいては、ブロックチェーン技術の有用性は計り知れない」と評価している。ただし、「実際に中央銀行が仮想通貨を発行するのは、しばらく先のことになる」としているイングランド銀行総裁スピーチ参照)。
なお、同行スタッフによる研究ペーパーなどが多数発表されている。
オランダ、スウェーデンなど
他国の中央銀行も続く
オランダの中央銀行がブロックチェーンを用いた暗号通貨のプロトタイプであるDNBCoinの開発に取り組んでいると報道されている(CoinDesk参照)。
それによると、3月16日にオランダ中央銀行から発表された最新の年間レポートに、この実験の詳細に関する記述があり、ブロックチェーン技術が同行のビジネスにとって有益であるとの見解が示されている。
スウェーデンのリスクバンク(スウェーデン国立銀行)は、1660年代に世界で最初の紙幣を発行した中央銀行だ。同行は、デジタル通貨について検討するプロジェクトを立ち上げたと、フィナンシャルタイムズが報じている。
それによると、スウェーデンで流通している紙幣と貨幣は2009年から40%も減少しており、国立銀行もこの変化に応じてデジタル通貨を検討しなければならなくなった。スウェーデン中銀の総裁代理は、「これは300年前に紙幣が発行されたのと同じくらい革命的なことだ」と述べている。
カナダは、前述した6月のフォーラムで、CAD-Coinという名のコインを発行するとした(Forbes参照)。
アジアでも、中国、韓国、シンガポールの中央銀行が取り組んでいる。中でも熱心なのがシンガポールの中央銀行で、仮想通貨技術を使った資金取引システムの実証実験を始める。これには、三菱UFJフィナンシャル・グループのほか、米バンクオブアメリカ・メリルリンチや、クレディ・スイス、英HSBCなど9社が組む連合体と、米ベンチャー企業のR3、シンガポール取引所が加わる。実証実験では、まず仮想通貨技術を活用した24時間対応の送金サービスを取り上げ、その後、国境を越えた取引に検討対象を広げる(日本経済新聞参照)。
中国の中央銀行である中国人民銀行は、今年1月に北京で行なわれたデジタル通貨検討会で、同行が独自の仮想通貨を作成する構想について前向きであるという姿勢を明らかにした。範一飛副総裁は、同行発行誌「中国金融」の特集の中で、中央銀行が検討している独自の仮想通貨作成について発言し、その方向性などについて言及している(Coin Portal参照)。
日本銀行が東京大学と開催したシンポジウムで、中曽副総裁が「日本銀行が現時点で、銀行券に代わりうるデジタル通貨を発行するといった具体的な計画を持っているわけではない」と述べている。しかし、同時に、「ブロックチェーンや分散型元帳など新しい技術の理解に努めるとともに、そうした技術を中央銀行の業務の中で活用し、自らのインフラを向上させていく余地がないかも含め、調査研究を続けていく必要がある」としている(「フィンテックと金融・経済・中央銀行」参照)。
なぜ中央銀行が
仮想通貨を発行するのか?
中央銀行が仮想通貨を発行しようとする第1の理由は、防衛的なもの、つまり仮想通貨が広く使われるようになれば、中央銀行の必要はなくなってしまうということだ。中央銀行が自らデジタル通貨を発行すれば、紙のコストゆえに銀行券が仮想通貨に凌駕される事態を避けることができる。今年11月の日銀のレポートでも、この点に言及している。
より積極的な理由としては、つぎのようなことが挙げられる。
第1は、ユーザー利便性の向上だ。
シンガポールでは、紙ベースの決済手段(現金や小切手)の利用に伴うコストがGDPの0.52%に達すること、北欧を中心にキャッシュレス化が進んでおり、銀行券の発行・管理に伴うコストを削減しようとする動きが活発化していること、などを紹介している。
第2は、金融政策の有効性確保である。とくに、「名目金利のゼロ制約」を乗り越えやすくなる可能性だ。これによって、通貨に対して直接にマイナス金利を適用することが可能になる。この点は、イングランド銀行の論文でも強調されているが、同行のスピーチでもその論文に言及している。
中央銀行が仮想通貨を発行すると
どのような姿になるか?
中央銀行が仮想通貨を発行すると、何が起こるだろうか。
イングランド銀行の紙幣部門責任者が、ロンドンで開催された世界P2P金融システムワークショップにおいて、かなり詳細な姿を描いている(「Fintech: Opportunities for all?」参照)。
http://www.bankofengland.co.uk/publications/Documents/speeches/2016/speech919.pdf
それを参考にすると、つぎのような形になることが予想される。
現在は、中央銀行に口座を作成できるのは銀行だけだが、そのような制約は完全に取り払われ、個人や企業が、中央銀行に口座を作成できるようになる。
中央銀行のほうが便利だろうから、強制しなくても人々はそちらに預金を移す。すると、商業銀行から預金が失われる。これによって、貸付が減少することになる。この結果、銀行は信用創造ができなくなる。
1930年代に、経済学者が、預金準備率を100%にする「完全準備制」を提案したことがある。これは、「シカゴプラン」と呼ばれた。それが実現する状態と似たものが実現されることとなる。
こうした動きに、当然のことながら、銀行は強く反対するだろう。それを考えると、実現は難しいかもしれない。また、中央銀行が、自らが発行する仮想通貨にマイナスの金利をつけるようなことになれば、人々はそれから離れていくだろう。
詳細な個人情報を
中央銀行が握る?
前記日銀のレポートには、興味深い記述がある。それは、「より根本的な問題として、中央銀行が全ての取引にかかる情報を把握し得るような形でデジタル通貨を発行する場合、中央銀行はこれらの情報をどのように取り扱うべきかといった問題もある」というものだ。
この問題は、仮想通貨を用いるための秘密鍵をどのように作成し、どのように管理するかに関連している。ビットコインの場合、秘密鍵は自分で作成することも不可能ではない。そのようなシステムであれば、匿名性を維持しつつ利用できるだろう。
しかし、メガバンクなどが発行する仮想通貨の場合には、本人確認の上で銀行が秘密鍵を各自に与える形になるのではないかと思われる。その場合には、システムの管理者である銀行は、取引者を知ることができるわけだ
中央銀行が仮想通貨を発行する場合、どちらのシステムをとるかが問題となる。
スウェーデン国立銀行が仮想通貨を計画中と上で述べたが、「電子的にやり取りされた記録は後から追跡が可能なものなのか」という問題について、関係者は、「個人的には現金に近い形で実現したいと考えている。しかし、違法な行為には使われないようにしたい」と語っている。これから考えると、現金とは違って、個人の使用経歴を中央銀行が追跡できる可能性も残っていると思われる。
仮に詳細な個人情報が得られたとしても、中央銀行がそのような情報を直接に利用することはないだろう。前記日銀の記述には、戸惑いの様子が感じられる。
しかし、他の政府機関から情報提供の要請はあるだろう。それに応じれば、捜査機関は、捜査令状なしに情報を得ることができる。
これは、「バックドア問題」として議論されてきたことだ(バックドアとは、「裏口」のこと。「正規の手続きを踏まずに内部に入ることが可能な侵入口)。
2015年12月にカリフォルニア州で起きた銃乱射事件に関して、これが大きな問題となった。FBIからの解除要請をAppleは拒否したのだが、公的機関である中央銀行が、民間企業と同じように拒否できるかどうかは、疑問だ。
これは、中央銀行の仮想通貨に関して最も基本的な問題として今後議論されることになるだろう。
http://diamond.jp/articles/-/109753
Business | 2016年 12月 1日 12:11 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース
量と金利で金融緩和継続、長期金利操作は順調=桜井日銀審議委員
[大津市 1日 ロイター] - 日銀の桜井真審議委員は1日、滋賀県・大津市内で講演し、9月に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)政策を導入して金融政策の軸足を「量」から「金利」に移したが、引き続き量・金利の両面で金融緩和を続けていくスタンスに変化はない、と語った。また、長期金利操作は、これまでのところ順調に機能しているとの認識を示した。
<大規模な国債買い入れ続ける>
桜井委員は、新たな金融政策の枠組みの下で長期金利を操作対象に加えたことによって「金融仲介機能への影響等にも配慮した、より柔軟な政策運営が可能となり、政策の持続性も高まった」とし、長期金利操作は「これまでのところ順調に機能している」との認識を示した。
金融政策の軸足をそれまでの「量」から「金利」に移行したものの、「金利と量は表裏一体。金利をコントロールするために、大規模な国債買い入れを続けていくことになる」と主張。「引き続き量・金利の両面で金融緩和を続けていくスタンスに何ら変わりがない」と強調した。
日銀が大規模な金融緩和を続ける中で「持続的な物価の下落という意味でのデフレではなくなった」としたが、「物価安定の目標は達成できていない。持続的な経済成長という点でも、まだ十分な成果は得られていない」と指摘。
依然として、企業や家計は先行きの物価や成長率が高まらないとの前提で経済活動を行っている「均衡状態」にあるとし、そこから抜け出すには「幅広い主体の粘り強い努力が必要」との認識を示した。
賃金の引き上げに向けた政府と民間部門の取り組みは「物価の安定を強く支持する」と述べるとともに、今後の物価動向を占ううえで「来春の賃金改定交渉に大変注目している」と強調した。
これらの取り組みによって物価や経済成長の見通しが高まれば、「実質金利の低下や自然利子率の上昇を通じて、金融緩和の効果も一段と高まる」と述べた。
<世界経済の不確実性、短期的な払しょく困難>
また、世界経済について「減速傾向に歯止めがかかりつつある」としながらも、「現在抱えている不確実性を短期的に払しょくすることは困難」と指摘。市場では米新政権による財政拡張などへの期待が高まっているが、「具体的な政策の内容は明らかでなく、当面はその影響を慎重に見極めていく」と語った。
(伊藤純夫)
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http://jp.reuters.com/article/boj-sakurai-idJPKBN13Q36W
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