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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 トランプショック
http://wjn.jp/article/detail/5222823/
週刊実話 2016年12月1日号
6週間前の本欄で、私は「トランプが勝利する気がしてならない」と書いた。その悪い予感が現実のものとなってしまった。11月9日、大方の予想を裏切り、トランプが勝利を手にしたのだ。日経平均は一時、1000円超の大暴落となり、早くも日本経済に暗雲が漂い始めた。
トランプ大統領の誕生で日本経済が受ける影響は、主に三つある。一つは、安全保障だ。
トランプ氏は一貫して、“日本は米国の防衛力にタダ乗りしている”という主張を繰り返してきた。日本は、自力で防衛すべきとして、一時は日本の核保有を容認する発言さえしていたのだ。
しかし、それはトランプのホンネではない。彼は、こうも言っている。「もし日本が引き続きアメリカに守ってもらいたいなら、米国の防衛に対する負担を大幅に増やさなければならない」。
日本政府が自主防衛路線を採る可能性はほとんどないので、日本は少なくとも数千億円単位で負担を増やさなければならなくなるだろう。それは、財政の大きな重荷になる。
二つ目の影響は、TPPだ。トランプ氏はTPPに反対だ。実は、いまのTPPの合意は日本に非常に不利な内容になっている。農産物の50%の品目が関税即時撤廃、81%が最終的に関税撤廃になる。一方で、自動車の対米輸出は、関税の撤廃が30年先という不平等条約だ。
だから、トランプ氏がTPPをご破算にしてくれれば、日本経済にプラスのようにもみえるのだが、トランプ氏の通商政策は、そんな甘いものではない。彼は、TPP合意というちゃぶ台を一度ひっくり返して、ゼロから日本にとってはるかに厳しい要求を突き付けてくるということなのだ。これは、じわじわと日本経済のクビを締めていくことになろう。
三つ目の、そして最大の影響は、為替政策だ。
昨年の演説で、トランプ氏はこう言っている。「日本の安倍は、(米国経済の)殺人者だが、ヤツはすごい。地獄の円安で、米国が日本と競争できないようにした」。「キャタピラーがコマツより売れないのは円安誘導のせいだ」。
為替レートは、表向きは市場で決まることになっているが、実はそうではない。資金供給の比率で為替は決まる。つまり、日本が金融緩和で資金供給を拡大すると、為替は円安に向かうのだ。トランプ氏が批判しているのは、アベノミクスの金融緩和政策なのだ。
民主党政権の末期、為替が1ドル=79円の超円高を迎え、日本経済は危機に陥った。当時、私は民主党の幹部に、「いますぐ大規模金融緩和をしないと日本経済が危ない」と進言したのだが、その幹部は私にこう言った。「金融緩和なんて、アメリカが認めるはずがないだろう」。
日本はアメリカの属国だから、アメリカのお許しがないと金融緩和ができない。だから、トランプ大統領の誕生で、日銀は追加の金融緩和を封じられてしまうだろう。そうなったら、超円高が日本を襲い、製造業が次々に海外流出、そして製造業で働く派遣労働者が一斉に派遣切りにあうという、4年前の悪夢が再現されることになるだろう。
トランプは、アベノミクスを破壊するのだ。
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